記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年4月21日(土曜日)17時15分 於:羽田空港)
【記者】北朝鮮が核実験とICBMの実験開発などの中止を決めました。これについての大臣の受け止めをまずお願いします。
【河野外務大臣】これまで北朝鮮は非核化に向けて全く対外的に言及をしておりませんでした。この発表については核保有を前提とし,また,核兵器の廃棄については言及しない,不十分なものでありますが,それでも北朝鮮の中で様々手続きを経て,こういう核実験場の閉鎖,あるいはしばらくの間,発射をしないというような言及があったことは一歩前進だというふうに思っております。ただ,国際社会が求めている非核化のレベル,あるいはミサイルの廃棄ということとは差があるということは申し上げておかなければならないと思いますし,また,国際社会が求めているのは現実の行動でありますから,対外的にこうした言及があったからといって,制裁が緩和されるというわけではないということを申し上げた上で,それでもこういう発表があったということは,北朝鮮が前向きに非核化,あるいはミサイルの放棄に向けて,国内の様々な手続きを進めているというふうに考えますので,今後核あるいはミサイルの放棄といったことに向けて,具体的に動きがあることを期待をしたいというふうに思います。
【記者】これからG7の外相会合に出られると思うんですけれども,具体的な行動について参加国とどのように協議していくお考えでしょうか。
【河野外務大臣】もう国際社会は,核・ミサイルの完全かつ不可逆的,そして検証可能な廃棄が必要だということで一致しておりますから,特にこの発表で何か変わることはないと思います。
【記者】同じく朝鮮中央通信は,朝鮮労働党中央委員会の決定で,経済建設に有利な国際環境を作るため,周辺国や国際社会との緊密な連携と対話を積極化するとも報じています。これを受けてですね,拉致問題を巡る日朝交渉について,現時点での大臣のお考えを教えて下さい。
【河野外務大臣】南北の首脳会談が27日に行われるだろうと思いますし,米朝の首脳会談についても,今様々準備が行われておりますので,その状況をしっかりと見極めて行きたいと思います。
【記者】日朝交渉に向けて意気込みや,今現時点で日本政府として意気込みなどはございますか。
【河野外務大臣】申し上げたように,南北の首脳会談並びに米朝の首脳会談の様子をしっかり見極めていきたいと思います。
【記者】非核化に向けた動きが,今回の発表で加速するというお考えは。
【河野外務大臣】北朝鮮の中で,所要の手続きを経て,こういう発表が行われたんだろうというふうに思っておりますが,南北の首脳会談あるいは米朝の首脳会談の中で,非核化あるいはミサイルの放棄に関して北朝鮮がどのように話すのか,あるいはどのような行動の計画があるのか,それをしっかり見極めていかないと,今の段階で何か申し上げるのは早いのかなというふうに思っています。
【記者】南北と米朝の会談が控えている中で,これもいわゆる微笑み外交の一環なのではないかという見方も出来るかと思います。その中で,北朝鮮の内部での手続きが整った,前向きな部分のほうが今回は大きいとお考えでしょうか。
【河野外務大臣】北朝鮮の中で,所要の会議が行われた上での発表ですから,国内での必要な手続きをとってのことというふうには理解をしております。ただ,申し上げましたように,核保有を前提とし,また核の廃棄については何も言っていない。実験場の閉鎖,あるいはミサイルの発射をしないということはこれは国際社会の言っているCVIDから見れば不十分ではありますが,今までこうした対外的な言及が無かった中でこういう発表が行われたというところは,一面評価をし,今後の具体的な行動につながることを期待していきたいと思います。
【記者】今回の北朝鮮の核実験場の閉鎖は,大臣が先月末から,北朝鮮に次の核実験に向けた動きがある,と言った発言と異なるような対応となりましたけれども,これについては。
【河野外務大臣】昨日の北朝鮮の中での会合を経て,こういう結論を出して対外的に発表したというふうに思います。核実験場が明確に破壊されるかどうかというような検証はこれからしかるべくやっていかなければならないと思いますので,まだこの対外発表があったからといって,何かどうこうということではないと思います。
【記者】トランプ大統領は大きな進展だとツイートして,韓国大統領府も意味のある進展だという発表をしていまして,若干ちょっと温度差があるように聞こえるのですが。
【河野外務大臣】温度差はありません。
【記者】G7の外相会合ではどういうふうなことを日本の立場として伝えますか。
【河野外務大臣】日本の立場もなにもなくて,これはもう国際社会で一致している立場です。