記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成30年4月20日(金曜日)8時50分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)河野外務大臣のカナダ,スイス及びベルギー訪問
【河野外務大臣】21日から25日まで,カナダ,スイス,ベルギーを訪問いたします。
カナダのトロントでは,G7外相会合に出席し,北朝鮮やシリア,テロ・暴力的過激主義といった国際社会が直面する喫緊の課題や地域情勢につき,忌憚のない意見交換を行い,国際秩序の牽引役としてのG7の連携を確認したいと思います。
またこの機会に,ドイツの新しく外務大臣になりましたマース外相などとの間で,二国間会談を行う予定でおります。
その後,スイスのジュネーブでは,NPT運用検討会議第2回準備委員会の一般討論演説等に出席し,「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の提言をインプットする予定です。また,ブガイスキー第2回準備委員会議長とNPT体制の維持強化に関し,率直な意見交換を行うほか,この機会に,WTOのアゼベド事務局長とジュネーブでお目にかかる予定にしています。
その後,ベルギーのブリュッセルでは,「シリア及び地域の将来の支援に関するブリュッセル会合(ブリュッセル2)」に出席し,シリア問題に対する日本の取組を発信するともに,関係国外相などとシリア情勢について意見交換を行う予定です。
(2)外務省の業務合理化等
【河野外務大臣】また,この出張から,これまでの外務大臣の出張のロジを大幅に簡素化することをやろうと思っております。簡素化の詳細については,事務方にお尋ねをいただきたいと思っております。
また,外務省の産休の規定が明らかに,ちょっと合理的でなかったので,外務省の産休の規定をこの度改めました。これも詳細は,事務方に聞いていただきたいと思います。
それから可及的速やかに,外務省のビルそのものを全面的に禁煙にしたいということで検討をしております。たばこ,電子たばこを含め,建物内は全面禁煙にする予定でございます。たばこを吸いたい方のために屋外に喫煙所は設けようと思っておりますが,霞クラブを始め,皆さんにも影響が出ると思いますので,ご協力をお願いしたいと思います。
G7外相会合
【記者】G7についてお尋ねします。化学兵器を使用した者を特定するための国際的な枠組みの設置を含めてですが,日本側としてどのような提案をしたいとお考えでしょうか。
【河野外務大臣】特にシリアで,国連とOPCWの共同調査メカニズムのマンデートの延長を日本が安保理に提案をし,否決されたということがございます。今回,OPCWが行っておりますが,OPCWの調査は化学兵器の種類の特定にはつながりますが,なかなかその使用者まで特定するのが難しいというのが現実でございます。
日本は化学兵器の使用を認めてはならない,断じて容認してはならない,使用した者は処罰されるべきと考えておりますので,その実効性を高めるためにも,そうしたメカニズムを恒常的に作る必要があると思いますので,G7等,折に触れて日本の主張をしっかり述べて実現に向けて努力してまいりたいと思います。
外務省の業務合理化等
【記者】先ほどの,外遊の簡素化というのは何を指すのかというのと,一連の外務省改革というのですか,この狙いというのはいかがですか。
【河野外務大臣】分かりやすく,例で言いますと,俗にピジョンホールと言われている手紙を誰々さんのという箱がありますが,あれがいまだに設置されていますけれども,だいたい書類はメールでやっていますから,そのようなものは必要ないのではないか,ということもございます。
それから外務大臣のロジが,異様に細かく記載されているロジブック,これはもう前回からも,いらないよということにはしていますが,多少,外務大臣の移動が滞っても大したことではなかろうと思いますので,不必要な人数を外務大臣の出張のために,周辺の公館から集めてきたりという必要がないようにしたいと思います。
外務省の職員も限られていますので,本来業務に集中してもらうために,多少,外務大臣の出張に不便があってもサブスタンスに影響がなければ,それで良し,ということにしたいと思っておりますので,今回,思い切ってやってみようということに一応しております。
【記者】禁煙の件ですが,かつて大臣,自民党の会議も禁煙にしようと動かれたことありますけれども,今回,改めてこのタイミングで禁煙に動いた狙いというのを教えていただけますか。
【河野外務大臣】東京オリンピックに向けて,これから様々な喫煙に関する検討が行われると思いますが,外務省も既に外国から,大勢のお客様を外務省の建物にお招きをしております。世界的な趨勢から言って,やはり外務省の中でもくもくと喫煙ルームの中で煙が充満しているというのは,あまり良いものでもありませんし,喫煙ルームから出てきた人は,しばらくの間,たばこの影響を周りに及ぼすということもありますので,喫煙者にはちょっと不自由をお願いすることになるかと思いますが,世の中の趨勢をしっかり先取りしていきたいと思います。
ジェンダー問題
【記者】財務省の方で起きているセクハラ問題ですけれども,G7でもジェンダーの問題が主要なテーマの一つになっていると思うのですが,そうした中で,同じ政権の中で麻生大臣や矢野官房長から,女性の地位を踏みにじるような発言が相次いでいることについてどのようにお考えですか。
【河野外務大臣】ジェンダーの問題というのは,様々なところで,大相撲でもジェンダーの問題が取り上げられるようなことになっておりますので,やはりそこのところは,しっかりと世界的な趨勢でもありますから,日本もこの問題にしっかり向き合っていく必要があると思います。
【記者】世界的に訴える以上は,同じ政権の中で起きている問題についても黙認というわけにはいかないと思うのですけれども,その点については・・・。
【河野外務大臣】外務省,そんなことがないように,きちんと指示を出しておりますので,外務省でそういう問題が起きないようにしっかり指導していきたいと思います。
靖国神社参拝
【記者】靖国神社,春の例大祭が始まりますけれども,参拝や榊奉納というお考えはあるのでしょうか。
【河野外務大臣】ありません。
【記者】例年どおりというか。
【河野外務大臣】はい,今までもやっておりません。
NPT運用検討会議準備委員会
【記者】NPTの準備委員会に,閣僚の方が出席するのは結構珍しいと思うのですけれども,超大国の米露の緊張もまだある中で,今回どんな役割を果たすお考えでしょうか。
【河野外務大臣】核兵器国と非核兵器国の間,あるいは分断された非核兵器国の間の橋渡しをしっかり日本ができるように努めていきたいと思います。
北朝鮮情勢(安保理による非核化に向けた新たな委員会の設置)
【記者】日米両政府が,北朝鮮の非核化に向けて安保理に核廃棄のシステムに関する新たな委員会の設置を検討しているという報道がありますが,事実関係を教えてください。
【河野外務大臣】具体的なものは,まだないと思います。