記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成30年4月17日(火曜日)15時09分 於:大臣接見室前)
G7外相声明
【記者】G7の外相声明として,ロシアの元スパイ襲撃事件に関して声明が出まして,そこではロシアが化学兵器の使用を行ったとするイギリスの主張を日本も含めて支持する形になっておりますが,まずそれの受け止めをお願いいたします。
【河野外務大臣】G7の各国とこの件につきまして緊密に連絡をしてまいりました。ロシアが使ったという,いわばスモーキングガンはありませんが,その可能性が極めて高く,そのほかに合理的な説明ができないとするイギリスの主張にG7として同意をするとともに,ロシアに対しては,これからも国際社会で建設的に働きかけをしていく必要があるということでございます。
【記者】ロシアとは,このあと首脳会談なども予定されていますが,そうした際にも訴えていくお考えでしょうか。
【河野外務大臣】総理が5月に,諸般の事情が許せば,訪露ということが予定されていると思います。その際は,まず二国間の問題について様々議論すると同時に,北朝鮮問題を含め,様々国際的な情勢についても意見が交換されると認識しております。
財務省事務次官事案
【記者】今,財務次官のセクハラ疑惑をめぐって財務省の対応が話題になっています。具体的には,被害を受けたとされる女性に名乗り出るようにと言っているのですが,その対応についてどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】外務省でそのようなことが起きないように,外務省の中で厳しくセクハラについて指導してまいりたいと思います。
【記者】女性の地位ですとか,セクハラ問題というのは国際的にも非常に重要で,大臣も熱心に取り組まれてきたかと思いますが,財務省の女性への配慮が足りないのではないかという今回の件があるのですけれども,それについてどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】一連の報道が事実であれば,それはとんでもないことだと思います。私(大臣)としては人のことをとやかく言う前に,まず外務省でそのような問題がないように厳しく指導していきたいと思います。
シリアに関するG7首脳声明
【記者】シリアの関係でなんですけれども,G7が首脳の方で声明を出しまして,日本も名を連ねて,米,英,仏の行動を支持する,サポートするというふうなことを出してまして,日本政府としては決意を支持し,行動は理解をするということで,ちょっとスタンスが違うと思うのですが,そこが変わった判断理由はどこにあったのでしょうか。
【河野外務大臣】まず,日本として化学兵器の使用は断じて容認ができない,使った者は処罰されなければならないというのが我々の立場でございます。シリアのアサド政権は,これまでに塩素ガス,あるいはサリンといったものを使ったことが国連とOPCWの共同調査メカニズムでも確認をされております。また今回のアメリカ,イギリス,フランスの行動は,シリアが持っているこうした化学兵器の研究・開発組織,あるいは貯蔵庫といったものに対する措置であったと考えておりますので,化学兵器が今後使われることがあってはならないという3か国の,いわば決意を我が国としては支持すると同時に,3か国が取ったやむを得ない措置についても理解をしたいと思っております。
日本といたしましては,化学兵器が使われたときに,その使用を特定するためのJIMのマンデートを延長するよう,国連の安保理で提案をしてまいりましたが,残念ながら安保理で否決されてしまいました。我が国としては化学兵器の使用が行われたときに,調査をする恒常的な国際的な機関が必要だと考えておりますので,今後のG7その他において,そうした日本の立場をしっかりと訴えてまいりたいと思います。
【記者】やむを得ない行動だったということで理解するというふうになっていますが,ステートメントでは日本が主語になった上で,アクションをサポートするとなっている,ここに齟齬はないのでしょうか。
【河野外務大臣】様々な努力を支持するということになっていると思います。
【記者】英国のスパイ襲撃事件の方で,これまで日本はOPCWの調査結果を受けつつも,誰がどのようにしたか分からないので,事実関係を待つという立場だったと思うのですけれども,声明ではまたそこの立場は変わったということなんでしょうか。
【河野外務大臣】OPCW,あるいはイギリスの警察の更なる調査によって,きちんと事実関係が解明されることを日本としては引き続き望んでおります。これまでG7の国々と連携をする中で,イギリスの説明が蓋然性・合理性が高いという判断の下,G7の外相としてこういう声明を出すことになったものであります。
【記者】日本以外のG7の国は,ロシアの外交官を追放しているのですけれども,日本も今後そういった措置は検討されるのでしょうか。<
【河野外務大臣】今のところ検討しておりません。
財務省事務次官事案
【記者】財務省の福田次官について,野田女性活躍大臣は違和感があるというふうにおっしゃっているのですけれども,大臣としても発言が事実だとしたら違和感はあるというふうにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】発言が事実であるとすれば,違和感があるのではなくて,それは許されないことだと思います。人の役所のことをとやかく言う前に,自分の足下でそんなことが起きないようにするのが私(大臣)の責任だと思います。
シリア情勢
【記者】先ほどのシリアの問題なんですけれども,国際法的に,例えば国連決議なしに他国を爆撃する,これは国際法に違反していないというふうに大臣はお考えでしょうか。
【河野外務大臣】3か国のほうを法的に評価する立場に日本はございません。