記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年4月14日(土曜日)18時20分 於:本省中央玄関)
冒頭発言
【河野外務大臣】我が国は化学兵器の使用を断じて容認しないという立場であり,化学兵器が使用された場合には,使用した者は処罰されなければならないというふうに思っておりますし,昨今,化学兵器の使用に関する敷居が下がってきている,化学兵器が使用される兵器になりつつあるということを非常に憂慮しております。そうした中で,今回のアメリカ,イギリス,フランスの化学兵器の使用拡散を容認しないという決意は日本として支持できるものでありますし,この措置についても理解をいたします。近くG7の外務大臣会合が開催されることになりますので,諸般の事情が許せば,私もそれに出席をし,我が国の化学兵器の使用は断じて容認できないという立場を強く表明すると同時に,国連とOPCWの共同のJIMのような,恒常的な化学兵器の使用を調査し,使用者あるいはその化学兵器を特定できるメカニズムを早急に設立すべきだという我が国の立場をしっかりとG7のなかでも主張し,国連でもそうした日本の立場を明確にしていきたいというふうに思います。
質疑応答
【記者】今,大臣がおっしゃった「決意の支持」,これはイコール,シリア攻撃の支持ということでよろしいんでしょうか。
【河野外務大臣】シリアはこれまでも化学兵器を使用したということが確認されておりますし,研究開発能力を持っているわけです。今回このシリアの化学兵器の研究開発能力を低下させる措置というのについては,日本として理解をします。
【記者】シリア攻撃の正当性についてはどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】日本は当事国でもありませんから,当事国でもない日本が行為の法的評価について述べる立場にございません。
【記者】今回の攻撃に関連してなんですが,アサド政権が今回化学兵器使用したという根拠というのはあるんでしょうか。
【河野外務大臣】今回の使用については,これから様々事実関係が解明されていくと思いますが,アサド政権がこれまで化学兵器を使用したということは確認をされておりますし,アサド政権がこの化学兵器の研究開発能力を持っているということもはっきりしているわけですから,今後の使用或いは拡散を防ぐための研究開発能力を低下させるという措置については,日本として理解いたします。
【記者】攻撃を行った,米,英,仏から事前に日本に通告というのはあったんでしょうか。
【河野外務大臣】外交上のやりとりについては申し上げるのは差し控えてきておりますので,今回についても同じことでございます。
【記者】OPCWの調査メカニズムということをおっしゃってましたけど,今回についてはOPCWの調査が実際に始まる前の段階での行動だったわけですが,能力があるということをもって,攻撃自体を理解する理由というのはどういったことなんでしょうか。
【河野外務大臣】JIMのマンデーとの延長を提案いたしましたけれど,安保理でこれが否決されました。日本としては恒常的にこうした化学兵器の使用が疑わしい場合に,化学兵器の種類を特定するだけではなく,使用者を特定できるような恒常的な組織の設立が必要だというように考えております。アサド政権のそうした研究開発能力を低下させるという措置については,アサド政権がこれまでも化学兵器を使用してきたということが国際的に確認をされておりますので,その措置については日本として理解いたします。
【記者】今回の攻撃について,アメリカは今回使われた化学兵器がシリアによるものだという名目で攻撃しています。今,日本は一般論として研究開発能力を下げるためだとおっしゃいました。今回の化学兵器は日本政府としてシリアによるものだということなのでしょうか。
【河野外務大臣】そこについては,これから様々事実解明が行われるものと考えておりますが,いずれにしてもシリアがこれまで化学兵器を使った事実があり,研究開発能力があるということから,この研究開発能力を低下させる措置については,日本は理解をいたします。
【記者】決意については支持と,行動については理解,言葉の強さに差がありますけれどもこれはどういう...
【河野外務大臣】我が国は化学兵器の使用は断じて容認できないという強い立場をとっているわけでございます。その立場をこれはやはり各国と共有をしてまいりたいというふうに思っておりますので米英仏3カ国がそうした強い決意を思っているということは日本として当然支持したいと思います。
【記者】行動について支持してないことでちょっと英米仏と立場が違うということでしょうか。
【河野外務大臣】そういうわけではなくて,措置については様々これからも色々と評価その他あるというふうに思いますが,研究開発能力を低下させるという措置については理解をしたいと思います。
【記者】米英仏3か国とロシアの対立が今後深まっていくと思われますけれども,5月の日ロ首脳会談を控えて,日本は板挟みにはならないのでしょうか。
【河野外務大臣】化学兵器の使用については,日本は断じて容認できないという立場でございます。そこについてはロシアも化学兵器の使用については同じ立場だというふうに考えております。
【記者】今回の攻撃が北朝鮮への牽制もあり,軍事行動をやるときにはやるんだというメッセージとなるとお考えでしょうか。
【河野外務大臣】今回はシリアの化学兵器に関する3カ国の決意の現れというふうに考えております。
【記者】ロシアに関連してですけれども,ロシア側もこの攻撃を非難しています。化学兵器の使用については,一般論に関しては同じ立場かもしれませんけれども,そういう意味で日ロ関係に影響はあるのでしょうか。
【河野外務大臣】ロシアはシリアと様々な関係がありますから,そこについてロシアの立場というのは,シリアとの関係という意味では違うのかもしれませんが,少なくとも化学兵器についてロシアと日本との間で立場の違いがあるとは思っておりません。
【記者】この件について,今後米ないし他国と電話協議等をする予定というのはありますか。
【河野外務大臣】今後,様々なことが考えられると思いますが,この場で申し上げるのは差し控えたいと思います。
【記者】米に関しては,来週総理が訪米を予定されていて,ロシアに関しては先ほども出ていたとおり来月総理が訪ロされて戦略対話等色々な事務レベルでの会合も予定されておりますが,その中で日本の立場というのはどのように理解を求めていくおつもりでしょうか。
【河野外務大臣】今後のことについては差し控えたいと思います。