記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年4月11日(水曜日)17時07分 於:韓国・ソウル)

冒頭発言

【河野外務大臣】今日,11時20分から約1時間,康京和外交部長官との間で日韓の外相会談を行いました。また,16時から約30分間,文在寅大統領への表敬を行いました。
 日韓関係につきましては,今年が「日韓パートナーシップ宣言」20周年にあたる節目の年でございますので,両国間には困難な課題もございますが,そうした課題は適切にマネージしながら,未来志向の日韓両国間関係を築いていく1年にしたい,そういうことを確認しました。
 また,北朝鮮問題につきまして,私から,ここへ至る韓国政府の努力に対して,敬意を表すとともに,南北・米朝首脳会談に向けた今後の方針を緊密に擦り合わせいたしました。具体的には,北朝鮮が対話に応じたことをもって,見返りを与えるべきではないという方針を国際社会で堅持していこうということ,これを確認いたしました。また,北朝鮮による完全かつ,不可逆的,そして検証可能な非核化,そしてミサイルの放棄,これを実現するために,最大限の圧力を維持していく必要があるということでも一致をいたしました。
 拉致問題に関しましては,韓国側に対し,来る南北首脳会談において取り上げるように要請をし,日韓で引き続き協力していくことで一致いたしました。南北・米朝首脳会談に向け,引き続き,日韓米三か国で,緊密に連携をして参りたいと思います。
 また,15日から17日まで,中国の王毅国務委員兼外交部長が外務省賓客として来日されます。15日には日中外相会談を行い,両国間の幅広い分野での協力や北朝鮮問題について,率直に意見交換を行って参りたいと思います。私からは以上です。

質疑応答

【記者】文在寅大統領の表敬で,安倍総理大臣のメッセージを持ってこられたと冒頭発言されていましたけれども,どういった内容のメッセージだったのでしょうか。

【河野外務大臣】内容については差し控えますが,総理からの大統領へのメッセージをお伝えいたしました。

【記者】それは北朝鮮関係に関するものでしょうか。

【河野外務大臣】内容については差し控えたいと思います。

【記者】今回,就任後初めての韓国訪問となったわけですが,まさに南北首脳会談の準備が進む中で,今ここで訪問した意義や成果というものをどういうふうに捉えていますでしょうか。

【河野外務大臣】お隣の韓国ですから,本来外務大臣に就任して,なるべく早く韓国へ来て,様々に,外相会談あるいは大統領への表敬というのをやりたかったところでございますが,日程をはじめ様々な事情でようやく今日来ることが出来ました。その間についても韓国の康京和外交部長官とは非常にお互い信頼して,仕事が出来る,そんな関係を築いて参りましたが,今日の日韓の外相会談で,やはりせっかくの「パートナーシップ宣言」20周年という節目でございますから,日韓関係を深めていく,そんな1年にしていきたいということを確認いたしました。それにつきまして,少し具体的に細かなことを色々進めていこう,そんな相談もしているところでございます。また,北朝鮮の問題について,日韓で今後の進め方について,色々擦り合わせをし,また,緊密な情報交換を引き続きやってこれているというのは日韓の連携を含める上で,あるいは日韓米の連携を深めていく上で,非常に有効だというふうに思っております。

【記者】北朝鮮の核・ミサイル問題,拉致問題に関して,日本側が聞きたいこと,また,知りたかった情報というのは,このやりとりの中で得られたのでしょうか。

【河野外務大臣】具体的な情報のやりとりについては,色んなレベルで緊密にやりとりをしておりますので,情報については,これまでも日本からインプットし,また韓国から情報を共有してもらっているということがありますが,外務大臣あるいは大統領と直接,様々な観点で意見交換が出来たのは良かったのではないかと思います。

【記者】今日の文在寅大統領との会談で,日中韓とは別に文在寅大統領の単独来日を要請されたのでしょうか。要請されたのであれば,その時期についてはいつでしょうか。

【河野外務大臣】様々な機会を捉えて,ハイレベルの交流があるというのは日韓関係を深めていく上で,有効だとお互い認識をしておりますので,様々な機会を捉えて,ハイレベルの交流を活発化させていきたいということで一致いたしました。

【記者】拉致問題についてお伺いします。大臣は,康京和さん,文在寅さんにも南北首脳会談で取り上げてもらえるよう要請されたと思うんですけれども,韓国政府の記者への説明によると,康京和長官は,非核化など主要な議題の他には何がテーブルに載るかわからないという,確答を避けたという説明があったみたいですが,拉致提起の確約を得られなかったことについての受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】確答を避けた,あるいは確約云々ということではなくてですね,今の南北の首脳会談に向けては,首脳同士が様々な分野の議論をしようということで,一つ一つ議題を区切って会談をするということにはならないのではないかという話でございました。おそらくそういうことになるんだろうと思いますが,かなり長時間首脳会談が行われるというふうに思っておりますので,非核化あるいは南北全体の問題,あるいは地域情勢の問題,米朝関係,日朝関係,様々なことが議題に上がるというふうにお互いに認識しております。

【記者】続けて拉致なんですけれども,大臣はかねてから,北朝鮮に足下を見られるから日朝対話には応じるべきではないと,焦る必要はないという趣旨の発言をされてきました。一方でですね未帰還の拉致被害者の親の代の世代はですね,86歳と,90歳近くなっている,鬼籍に入られる方も出てきていると,こういう段階で拉致解決の糸口となる日朝対話を急ぐ必要はないとお考えですか。

【河野外務大臣】私が申し上げているのは,首脳会談を焦る必要はないということを申し上げているわけで,様々なルートで日朝間のやりとりというのは続いております。

【記者】拉致の問題は,取り上げられるという感触なんですか。確約はなかったとしても。

【河野外務大臣】色々とこれから南北について,様々な相談をして参りたいというふうに思っております。先方がどういうお答えをされたか,先方の反応について,こちら側から申し上げるのは外交儀礼に反すると思いますので,それは差し控えたいと思います。

【記者】大臣の印象としては。

【河野外務大臣】印象についても同じだと思います。

【記者】文在寅大統領との会談では,外相会談の時のような歴史認識に対する懸念や日本の立場などは伝えられましたか。

【河野外務大臣】困難な問題を適切にマネージして,日韓関係を前へしっかりと前に進めていこうということを申し上げました。具体的な問題につきましては,大統領とは総理のメッセージをお伝えし,また日程も時間も限られておりましたので,具体的な問題は外相会談の中で取り上げております。

【記者】会談の中で慰安婦問題の日韓合意ですとか,あと竹島の問題,今度韓国の国会議員団が竹島に行くという計画もされていると,あとは徴用工の労働者像をめぐる,釜山の問題も含めてご指摘をされたということですけども,それに対する韓国側の説明では,これまでの韓国側の主張と大きく変わらないのかなというふうに見受けられました。これについて,日韓関係の諸問題があまり進まない中で,北朝鮮に対して日韓で真の協力をしていこうと,信頼関係がない中で,協力出来るという状況は本当に生まれるのでしょうか。可能なのでしょうか。

【河野外務大臣】韓国の康京和外交部長官とは,お互い信頼関係を持って,仕事をこれまでもやって参りました。両国関係の中に困難な問題があるのは事実でございますが,だからといって日韓関係が動かないとか,日韓関係が深まらないというのはまったくないというふうに思います。

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