記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年3月25日(日曜日)14時35分 於:香港)
冒頭発言
【河野外務大臣】今回の香港の訪問は1997年の香港返還以来,国際会議への参加などを除いて,日本の外務大臣による約20年ぶりの訪問となりました。今回の訪問では,昨日のアンドリュー・リョン立法会主席との会見を皮切りに,日本の柔道の交流,食品市場,日本語の講座,こうしたものを見学した他,香港・日本の企業の関係者との意見交換を行い,日本と香港の経済,文化,スポーツ,その他幅広い分野で交流が深まっていることを実感いたしました。一国二制度で高度な自治を持つ香港が,今後とも我が国にとって益々重要なパートナーであり続けるという思いを新たにする訪問になりました。
【河野外務大臣】訪問の締めくくりとして,先ほど約90分間,キャリー・ラム行政長官との間で,昼食を挟みながら初めての会談を行いました。ラム行政長官とは日本と香港の間で最近の経済や人的交流,非常に交流が深まっていることを踏まえ,今後もこれらの交流を促進し,更なる関係強化を深めていくということで一致をいたしました。具体的には,観光,農林水産物をはじめとする貿易,投資,教育,高齢化対策,こうした分野でそれぞれ相互に協力し合えるということがたくさんあると思いますので,そうしたことを拡大していきたいと思います。また,ラム行政長官は,11月1日に東京で開催される大型の「Think Global. Think Hong Kong.」というシンポジウムに出席するために日本を訪問されます。香港行政長官の訪日は,これも8年ぶりになるわけですが,ラム長官の訪日を心から歓迎をしたいと思います。
質疑応答
【記者】まずはじめに,東日本大震災後の香港が実施している食品の輸入規制について,撤廃を要請されましたでしょうか。また,向こう側から前向きな回答はあったのかをお聞かせください。
【河野外務大臣】そごうやイオンをはじめ,日本の野菜,果物,その他食料品,お酒,様々なものが香港で非常に幅広く,そして人気を集めているというところを拝見いたしまして,非常に心強く思いました。福島からも様々なものが入っているようですが,まだ一部輸入規制があるものが,福島だけでなく5県からの食料品で輸入規制が残っております。その話もさせていただきましたが,今関係者が様々に御努力をいただいていて,前向きな前進ができそうですので,食べ物のことですから,香港の消費者の皆様にしっかり受け入れていただくような努力をお互いしながら,前向きに解決ができるように頑張って参りたいと思います。
【記者】具体的に林鄭行政長官からはどういった回答があったのでしょうか。
【河野外務大臣】今二つの,香港と日本の間で様々な関係者が御努力をいただいておりますので,前向きに物事が進むのだろうと思っております。
【記者】昨年12月に香港船籍の船が北朝鮮船籍への瀬取りに関与した疑いがあるようですが,この件については,大臣から指摘されましたのでしょうか。
【河野外務大臣】日本と中国,ともに国連の安保理の制裁の決議の採択に協力をして参りました。そんな中で,北朝鮮の経済制裁を巧妙に回避する動きというのが,様々な地域,様々な方法で見られております。水上警察をはじめ,香港の法執行機関の御努力に敬意を表するとともにこの問題にともにしっかりと向き合っていかなければいけないという話をいたしました。
【記者】党大会の話になるんですけれども,今日自民党の党大会で改めて安倍総理が結党以来の課題に取り組む時がきたと,憲法を改正し,自衛隊の存在を明記することに強い意欲を示されましたが,受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】憲法改正は国会で議論し発議されるものですから,国会の議論をしっかり見極めたいと思います。
【記者】今日ラム長官との会談ですが,今の冒頭の御発言でも一国二制度ということに言及なされました。香港ではやはり中国からの統制強化に対する反発等もある一方で,経済的にはメインランドとの連携ももっと深めなくてはと相反するような悩ましい状況であるかと思います。そういった状況で実際に現場に行って御覧になった上で,今,日中関係が改善していこうという中でどのように日本としては中国と向き合っていくべきだとお考えになったでしょうか。
【河野外務大臣】まず香港は一国二制度と高度な自治を背景に経済的にもめざましい発展を遂げてこられたというところに敬意を表したいと思います。また今後も,香港を中心とするベイエリアの開発をはじめ,様々に経済が発展をするチャンスがあると思いますし,香港に進出している外国の企業の中で,日本企業が最も数としては多いというのは,日本と香港の間の関係の深さを裏付けるものだというふうに思っております。日本としても,日本企業としても,香港と様々なビジネスを一緒にやっていくことで,様々な機会をつかむことができるのではないかと思っております。これからも日本と香港の間の関係の強化というのは,日本のビジネスの発展のためにも大変重要だというふうに思っております。また,日本と中国の関係が良くなってくるということは,香港を中心とした日本企業の経済活動にも大いにプラスになるのではないかと期待をしております。