記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年3月16日(金曜日)18時03分 於:米国・ワシントンD. C.)

冒頭発言

【河野外務大臣】今日はペンス副大統領を表敬したほか,マティス国防長官,国務長官の職責を代行しているサリバン国務副長官,マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官と会談を行いました。一連の会談では,北朝鮮問題を主に議論いたしました。南北首脳会談,米朝首脳会談に向けた動きがある中,米国政府の関係閣僚をはじめ,北朝鮮問題について直接,突っ込んだ意見交換をすることが出来ました。私からは,過去の教訓を踏まえ,北朝鮮に完全,検証可能な,かつ,不可逆的な核・ミサイルの放棄を実現させるために,最大限の圧力を維持する必要があるということを述べ,米国側とこうした方針についてほぼ,ほぼというか,一致いたしました。また,日本として,日朝平壌宣言に基づき,拉致,核・ミサイルといった懸案を包括的に解決し,国交正常化を目指すという考えに変わりはないということを申し上げ,来たるべき米朝首脳会談では,拉致問題の解決に向けて問題提起,あるいは,解決に向けて協力を要請いたしました。日米で拉致問題の解決に向けてこれからも緊密に連携をしていくということで一致をいたしました。その上で,来月に安倍総理の訪米が予定されておりますので,そうした機会を通じて,北朝鮮から具体的な行動を引き出すべく,引き続き,日米,あるいは日米韓で連携をしていくことで一致いたしました。また,昨晩のライトハイザー米国通商代表,それから今日のサリバン国務副長官,マクマスター国家安全担当大統領補佐官に対して,鉄鋼及びアルミニウムの輸入制限措置について,日本を対象から除外するよう働きかけを行いました。私からは以上でございます。

質疑応答

【記者】今日,一連の会談,これだけホワイトハウスから国防省,国務省の関係者と会談しましたが,これだけのカウンターパート以外の人たちと会談をした理由というか意義というのをまずお伺いいたします。

【河野外務大臣】北朝鮮の問題がこういう状況になりましたので,日米韓の緊密な連携というのをこれからも維持するために,まず率直に意見交換させていただきましたが,今後の対応方針について,全く齟齬はないと言っていいと思います。そのほか,外交課題についても,それぞれ,議論をいたしました。率直な意見交換ができたかな,というふうに思っております。

【記者】一方で,訪米直前にティラソン国務長官が解任されるという事態になりましたけれども,報道でも出ていますけれども,こういったアメリカ側の解任とか辞任というものが,北朝鮮問題,日本政府にとって不安要素につながらないでしょうか。

【河野外務大臣】今日,ティラソン長官と短時間,御挨拶をさせていただきましたが,ティラソン長官がバンクーバーの国際会議などを通じて敷いたアメリカ政府のレールの上を今しっかり走っていることだろうというふうに思いますし,マティス長官,ペンス副大統領をはじめ,現在のアメリカの方針は,まったく,政府内でも齟齬があるようには見受けられませんでした。ほぼすべての方が,同じことを,同じ方針を繰り返し述べてらっしゃいましたので,アメリカ政府の向かっている方向性について懸念は無いと思いますし,それが日本の方針と一致しているというところも確認できましたので,そういう意味で,今回の米朝の首脳会談に向けて,日米間で心配することはないというふうに思います。

【記者】さきほど,ティラソン国務長官とお会いになられたということなんですが,後任と目されているポンペオ氏とはお会いになる,ないしは,今後お会いになられる予定はおありでしょうか。

【河野外務大臣】今日は副大統領,国防長官,国務副長官,それから,マクマスター補佐官と,お目にかかり,意見交換をさせていただきました。様々会談がありますが,発表できるところについては,きちんとお伝えをしたいと思います。

【記者】マクマスターさんなんですけれども,解任の報道も出ていますけれども,会談の雰囲気ですとか,御本人の様子,大臣からどのようにご覧になっているでしょうか。

【河野外務大臣】まったく以前と変わりがありません。

【記者】一連の会談の中でですね,日朝の首脳会談の可能性というのは,大臣から説明したということはあったのでしょうか。

【河野外務大臣】いや,南北,米朝というのが今,行われようとしておりますので,そこに向けて,日米でどういう対応をとるべきか,という議論をいたしました。

【記者】大臣としては,日朝の首脳会談について開催の意義というのはあるとお考えですか。

【河野外務大臣】日本はこれまでも繰り返してきたように,平壌宣言に向けて,平壌宣言で述べたような核・ミサイル,拉致を包括的に解決し,国交を正常化するという方針に変わりはない,ということは,常々北朝鮮側にも伝えております。

【記者】今日,国防長官,また,サリバン国務副長官とお会いされた時に,沖縄の基地問題についてもお話されたということですが,具体的にどのようなお話,特に,事件,事故の問題,基地負担の軽減など具体的に,大臣からどのようなお話をされて,先方からどのような応えが返ってきたかどうか教えてください。

【河野外務大臣】こうした北朝鮮情勢の中ですから,米軍の活動が活発になるというのは現実的にあるんだろうというふうに思います。そういう中で,米軍に対して,しっかりと支持を得るためにも,安全の確認というのは,これは一番重要なことですから,そこについて問題提起をいたしました。

【記者】具体的にどのような問題提起を。

【河野外務大臣】やりとりについては,差し控えます。

【記者】米朝首脳会談についてなんですけれども,専門家の間ではかなり性急な判断だという見方もあるんですが,米政府と今日会談した中で,北朝鮮の真意をどういうふうに米政府が分析しているのか,というのはどんな感触だったのでしょうか。

【河野外務大臣】北朝鮮の真意についても,様々,つっこんだやりとりをいたしました。先方の話については,ここで申し上げる訳にはいきませんが,日本側の分析と,向こう側の分析と,少し,意見交換をさせていただきました。

【記者】大臣としては,性急な決断ではない,と。

【河野外務大臣】国際社会は,このまま圧力を最大化し続けるわけですから,北朝鮮側が何か隠れた意図を持っていたとしても,国際社会は何も譲りません。ということで,国際社会にとって,対談することは損にはならない,というふうに思います。

【記者】鉄鋼アルミの関税措置についてですね,一連の会合で適用除外の要請をされたということですけれども,米国側の反応と,大臣御自身の手応えをお聞かせください。

【河野外務大臣】この問題について,かなり,日本の事情についての理解はされている,というふうに思っております。引き続き,日米で議論して参りたい,というふうに考えております。

【記者】拉致問題についてですね,北朝鮮との対話の中,日米連携というところまで一致したということですけれども,それを越えて実際に議題となるにあたってですね,アメリカ側からの手応えはどのようなものかお伺いできますでしょうか。

【河野外務大臣】色々議論はいたしました。会談に向けて予断をもって話をするのは差し控えたいと思います。

【記者】個人的に手応えは感じられたということでしょうか。

【河野外務大臣】日米,この問題については認識を共有していますし,アメリカも米国籍をもった人が北朝鮮の中にまだいるということで,アメリカも同様の懸念をもっていますし,トランプ大統領をはじめ,日本の拉致問題について大きな関心をもっていただいています。

【記者】ロシアのラブロフ外相がNHKのインタビューに応じまして,その中で,今後の北方領土問題および平和条約締結に向けて,イージスアショアの配備というのがやはり障害になっているといった懸念を改めて示したわけですけども,21日には日露外相会談が行われますが,そういった懸念を示されたことに対する受け止め,また,それに対する対応をどういうふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】イージスアショアについて,日本側として,きちんとロシア側には説明をしてきておりますので,そうしたことについてわかっているというふうに思います。北朝鮮の核及びミサイルの問題が解決する,というのが大切だということを我々は常々申し上げておりますので,ロシア側も認識はもっているというふうに思います。

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