記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年3月12日(月曜日)21時04分 於:飯倉公館)
冒頭発言
【河野外務大臣】本日の18時から20時50分まで約2時間50分間,徐薫(ソ・フン)韓国国家情報院長と会談及びワーキングディナーを行いました。先般の韓国の特別使節団と北朝鮮との間のやりとりについて相当詳細な説明をいただきました。また,今後の対応方針について綿密にすり合わせを行いました。私からは,日韓の連携に意を用いた詳細な説明に感謝申し上げるとともに,ここに至る徐薫院長を始めとする韓国政府の努力に敬意を表する旨申し上げました。その上で,最近の北朝鮮の変化は,日米韓三か国が連携し実施してきた最大限の圧力の成果であること、南北首脳会談や米朝首脳会談を通じて,北朝鮮から具体的な行動を引き出し,意味のある対話にしていくことが必要であるということ,そのためにも,過去の過ちを繰り返さず,北朝鮮による核・ミサイルの放棄を実現するために,最大限の圧力を継続していくこと、こういうことについて徐薫院長との間で一致をいたしました。また,拉致問題の解決に向けての日韓の連携についても確認をいたしました。徐薫院長からは,先般の訪朝後に発表された6項目についての詳細な説明をいただきました。まだ南北首脳会談,米朝首脳会談の実現に向けて,これから日韓或いは日韓米で連携して細部を詰めていかなければならないという過程にございますので,事柄の性質上,今日ここで詳細に立ち入ることは控えさせていただきたいと思います。今後,南北首脳会談,そして米朝首脳会談において北朝鮮から意味のある成果を引き出すべく,来月初旬の総理訪米を始め,あらゆる機会を通じて,米国を含めた三か国で綿密なすり合わせを今後行っていきたいというふうに思います。私からは以上です。
質疑応答
【記者】拉致問題の解決に向けて日韓で連携していくということなんですけれども,具体的にどのようなことなんでしょうか。また,金正恩(キム・ジョンウン)委員長から拉致について言及はあったのでしょうか。
【河野外務大臣】中身について,ここで詳細を申し上げるわけにはいきませんが、日本としてミサイル・核の問題を解決すると同時に拉致問題を解決し北朝鮮と国交正常化を目指すという方針に変わりないというのが日本政府のこれまでの立場ですし,これは先般の総理が平昌で北朝鮮側にもしっかりとそこは伝えました。そうしたことを踏まえて,拉致問題の解決に向けて,今後とも韓国側と緊密に連携をしていくということでございます。
【記者】金委員長から拉致問題について言及があったかどうかについては。
【河野外務大臣】北朝鮮側から今の発表以上について何があったか,中身の詳細を申し上げるのはこれから南北あるいは米朝にむけての詰め作業をしなければいけないので,発表がなかったものについてここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】拉致問題についてなんですけれども,被害者家族の高齢化もあってですね,一刻の猶予もないと日頃政府はいわれていますけれども,南北,米朝が首脳会談が調整される中で日朝を模索するお考えはありませんか。
【河野外務大臣】今,4月に南北,そしてその後米朝というところが決まっておりますので,この中で北朝鮮の非核化に向けての行動を引き出すべく,日米韓或いは日韓,これから細部の調整をしっかりとやりたいという風に思っております。その後の展開については,そうした状況を見ながら逐一連携しながらやってまいりたいという風に思っています。
【記者】これまで「対話のための対話はしない」とか「微笑外交」とか言ってきましたけれども,今回の対話はそういうものではないという風に納得できるだけの話はあったのでしょうか。詳細は言えないにしてもそういう確信情報があったのかどうか。
【河野外務大臣】日米韓,北朝鮮の言葉だけでなく行動に移るまで,行動がとられるまで今回のこの最大限の圧力は継続をしていかなければいけないというところで一致をしておりますので,特に国際社会として今回の南北首脳会談,或いは米朝の首脳会談によって国際社会側が失うものはないというのが今の認識でございます。
【記者】日本向けの金正恩委員長からのメッセージというのは今日お聞きになったのでしょうか。
【河野外務大臣】発表されている以上の会談の中身についてここで申し上げることは差し控えさせて頂きたいと思います。
【記者】大臣,今日はご説明をお聞きになって,これまでずっと北朝鮮から具体的な行動を引き出さなければならないと,その非核化に向けた意志の強さをどのように判断できるとお考えですか。
【河野外務大臣】北朝鮮から非核化に向けたコミットメントがあったというのは発表にあった通りでございますが,我々としては,国際社会としては,言葉だけではなく行動が伴わなければならないという共通認識を持っております。北朝鮮が非核化に向けた現実の行動をとるまではしっかりと圧力を最大限にかけ続けていくという方針に何ら変わりはございません。
【記者】前回の六者では,停止,無能力化といった段階的に北朝鮮に非核化を迫る手法をとりました。結果としてですね,その約束は反故にされた訳ですけれども,その段階毎に前回は見返りを与えていたと。今回はCVIDを達成するまで日本政府としては圧力をかけ続けるというお考えでしょうか。
【河野外務大臣】手の内を明かすことは控えたいと思います。
【記者】IAEAの査察官の受け入れですとか,今後の非核化に向けた具体的な確認の仕方について今日意見交換されたのでしょうか。また,2月にウィーンを訪れた際にその点について大臣から日本政府から資金協力をする用意があると発言されていましたが,今時点での考えを改めてお聞かせ下さい。
【河野外務大臣】先般,IAEAを訪問して北朝鮮から査察の受け入れの話があれば,直ちにIAEAが査察に入れるように日本としては,資金面その他全面的に協力をするということを申し上げました。その日本政府の方針に変わりはございませんし,そうした方針については韓国側にもお伝えをしてあります。
【記者】今日はそれについて話は出ましたか。
【河野外務大臣】私がIAEAを訪問したその際のことについて今日私からご説明申し上げました。
【記者】初期費用の支援の準備については韓国側には説明されましたか。
【河野外務大臣】既に韓国側に伝えてあります。
【記者】繰り返しになりますが,金正恩委員長が安倍総理と会談したいというような言及は今回の会談で明らかになったのでしょうか。
【河野外務大臣】今まで発表されている以上のことを申し上げるのは差し控えます。
【記者】挑発行為はやめるというふうに北朝鮮側は言ってると思うんですが,核・ミサイルの開発をどうするかということについての説明は。
【河野外務大臣】発表されている以上のことを申し上げるのは,申し訳ございませんが差し控えたいと思います。