記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成29年12月15日(金曜日)18時05分 於:米国・ニューヨーク)
冒頭発言
今日はまず北朝鮮に関する安保理の閣僚級会合で議長を務めました。それと同時に,アメリカをはじめとする安保理メンバーとのバイの会談,グテーレス事務総長とライチャーク総会議長と会談を行いました。安保理の閣僚級会合では,ティラソンさんをはじめとする外相,それから閣外大臣,外務次官等の参加を得まして,北朝鮮の核武装は決して受け入れられないという国際社会のクリアなメッセージをかなり明確に発信することができたのではないかと思います。さらに安保理決議に違反をしている核・ミサイルの開発についても,国際社会は容認をしない,そして全ての国連加盟国が制裁を完全に履行するという一致したメッセージを出すことができたのではないかと思います。また,北朝鮮の人権侵害,あるいは化学兵器の開発,サイバーによる攻撃といったものに対する非難という発言がございました。国際社会として北朝鮮に対する圧力を高めていきながら,北朝鮮の政策を変えなければいけないということが,その重要性とともに確認されたのではないかと思います。非常に閣僚級会合,有効だったのではないかと思います。
それに先だって,ティラソン国務長官と会談を行いました。日米間で極めて一致していると,北朝鮮問題について,今日は時間がなかったものですから,トピックは限られておりましたが,北朝鮮の問題について日米は完全に一致しているという確認ができました。また,来年の1月に予定をされている北朝鮮に関する会議について,様々な,どういうやり方を考えているのか,あるいはどうすべきかというような意見交換をさせていただきました。それから(沖縄における米軍の)CH-53の窓の落下事件について,私から少し申し上げまして,先方から遺憾の意と原因の究明をしっかりやるという話がございました。
グテーレス事務総長とは,今日の安保理でのブリーフィングに対する御礼を申し上げると同時に,強いメッセージを打ち出せて良かったということの確認をいたしました。フェルトマン次長の訪朝についての意見交換も少しありました。北朝鮮が危機感がないということについての懸念ということは一致をいたしました。それから,安保理改革を含む国連改革についての意見交換も事務総長と行いましたが,ライチャーク総会議長とは,安保理改革と言っても,皆が騒いでいるだけでちっとも前に進まないので,テキストに基づいた交渉の開始をこの総会の会期中にやらなければならないということをかなり申し上げて,すでに160か国以上がテキストベースの交渉を始めるべきだということを言ってますので,必要ならば日本なり,G4がそのテキストを用意しても良いということを申し上げました。
その他に,ティラソン国務長官との話,スウェーデンのヴァルストローム外務大臣,それからウクライナのクリムキン外務大臣とのバイの会談がありました。オランダの外務大臣とそれからイギリスの閣外大臣とも若干立ち話ですけども,北朝鮮の問題を中心に意見交換をいたしました。それからWFPの事務局長がいらっしゃっておりまして,昔から知っている方でもありますので,北朝鮮の話,それからミャンマーの話,イエメンの話ということを中心に少し意見交換をいたしました。
質疑応答
【記者】ティラソン長官の方から今日発言が会合の中でありましたけれども,北朝鮮と前提条件なしで対話というような趣旨の言葉がなかったと思います。これについては,何かティラソン長官の中で変化があったのだと思われますか。
【河野外務大臣】ティラソン長官のたぶん説明ぶりが上手くなくて誤解をされたんだと思います。アメリカ政府は日本と同じで,北朝鮮が核・ミサイルを放棄するということが必要だと,北朝鮮の将来は政策変更する以外にはないというところでは,何の変わりもありません。そのために,北朝鮮からシグナルを受け取れるようにしておかなければいけないということと,そのために,こちら側でどういう話し合いをするかという意見交換をいたしましたが,たぶん私は,そう言うとちょっと叱られるかもしれませんけど,説明ぶりの問題なんだろうと思います。今日かなりはっきりそういうメッセージを出していましたので,それは何か変わったというよりも,ずっとそうだったのが,たぶん表現ぶりの問題が色々憶測を呼んだのだと思います。
【記者】外相会談の中ではその真意について確認されたんでしょうか。
【河野外務大臣】アメリカの真意というのはずっと変わってないよということはシグナルとしてもらっていましたし,ティラソン長官も特に何か方向性が違うということではないということでもありますし,今日はむしろ突っ込んでこれからどうするかという話をいたしました。
【記者】アメリカとカナダが共催すると言っている会議については,今日どのような意見交換をされたのでしょうか。
【河野外務大臣】どういうやり方がいいのかということを少し話をしました。今もし会議をやるとすれば,何が必要でどういうやり方がいいのかという意見交換をやりました。
【記者】国連軍参加国の中でもう少し数を絞った方が良いという趣旨での話し合いですか。
【河野外務大臣】いろんなやりとりがありました。ちょっと詳細はまだ決まってないので控えたいと思います。
【記者】(カナダが提案する会議には)中国とかロシアはインバイトされているのですか。
【河野外務大臣】全くそういうあれはありません。
【記者】先ほどおっしゃっていた1月の会議というのは,その今のカナダの会議のことですか。
【河野外務大臣】そうです。
【記者】日米外相会談では,対話に入るための条件については,どんなお話し合いをされたのでしょうか。
【河野外務大臣】それは前々から言っているとおり,北朝鮮が核とミサイルを放棄し,拉致問題を解決する用意があるという意思表示と,それに向けた確実なステップがあるというのが条件だというのは,前々からそれは日米で確認していますので,特にそれについての話はそうだよねという以外にはありません。
【記者】挑発行為の停止だけではダメだということは,温度差がないという理解でよろしいですか。
【河野外務大臣】そういうことです。
【記者】ちょっと話題変わりますけども,非常任理事国としてですね,議長役を務めて,北朝鮮に関してかなり踏み込んだ議論ができたと思うんですけれども,一方で来月からは日本は非常任理事国ではなくなる中で,色々権限であるとか,情報であるとか,制限される部分もあるかと思うのですけれども,対北朝鮮対応を巡って,非常任理事国でなくなるという影響をどのように考えておられる,感じておられるかということと,その中で,日本はどのように対応していくお考えでおられるか,お願いします。
【河野外務大臣】非常任理事国ではなくなりますので,そこは今までとは少し違うのだろうと思いますが,日米でそこはしっかり連携をしていきますし,昨日の日英(外相会談)の中でもそういうことはしっかり連携を,日英でも連携をして,北朝鮮問題をやろうということを話をしていましたので,安保理に残る国々ときちんと連携をしていくことで日本の意思というのは反映できると思います。中長期的には安保理改革をして,21世紀の現実に合った安保理にしなければいけないということもありますし,2022年には再び安保理に戻ってくる用意があるということを今日申し上げましたので,日本として2022年から,2022年の安保理の選挙にきちんと勝って戻って来られるような準備を今日からしたいと思います。
【記者】事務総長が危機感がないって,北朝鮮に危機感がないっていうふうにおっしゃったということですけれども,それをどうすれば良いかみたいなことの話し合いはされたのですか。
【河野外務大臣】そういう,フェルトマン事務次長が行ってそういう感覚だったということです。
【記者】今日,北朝鮮が相変わらず反発,アメリカの行動について反発することを言っていましたけれども,今までと態度が変わってないわけで,圧力路線を今後どうしていくのか,展望をどう開いていくかがまた改めて浮き彫りになったかと思いますが,その点についてはどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】北朝鮮が今日参加するということでかなり期待をしていたのですが,結局昔のラインを繰り返したにとどまったと思います。そういうことでこの圧力がきちんと効いている,北朝鮮はもう政策変更する以外に道はないということを今日かなりはっきり認識をしたと思いますし,そういう認識だったから今日出てきたのだろうと思いますので,国際社会できちんとぶれずに圧力をかけていきたいと思います。