記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成29年11月17日(金曜日)9時54分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)バングラデシュ訪問

【河野外務大臣】18日から20日の早朝帰国ということで,バングラデシュを訪問し,アリ外務大臣と外相会談を行うほか,ハシナ首相を表敬いたします。
 外相会談では,懸案になっておりますミャンマー・ラカイン州の難民の状況及び情勢について,あるいは日本とバングラデシュ二国間関係について,更には北朝鮮情勢,その他について意見交換を行い,日本のメッセージをしっかり伝えていきたいと思っております。
 また,ミャンマーからの避難民のキャンプを実際に訪問する方向で調整をしております。
 また,日本人が亡くなられたダッカのテロ事件以来,日本の閣僚がバングラデシュを訪問するのは初めてということもありますし,事件当時,私(大臣),国家公安委員長で様々対応に当たりましたので,是非,現場で献花をして哀悼の意をささげたいと思っております。

(2)ユネスコ分担金

【河野外務大臣】どこかの新聞報道で,ユネスコの分担金の話が出ておりましたが,完全な誤報で,日本政府として分担金の支払は決めておりません。
 むしろユネスコの新事務局長,様々改革は後押しをしていきたいと思っておりますが,日本としてきちんとやるべきことをやってくれなければ,分担金の支払,拠出金の支払を止めることも含め,対応しなければいけないという状況に何ら変わりはございません。

バングラデシュ訪問

【記者】バングラデシュの大臣の訪問ですけれども,これはASEMがありまして,ASEMは大臣,最初は出席されることを検討されていたと思うんですけれども,それに出席されることがなくても,やはりこのバングラデシュに行きたいと思われた理由は何なんでしょうか。

【河野外務大臣】当初,バングラデシュ,それからミャンマー両国を訪問し,ミャンマーはASEMもありますから,ASEMの会議出席を兼ねてということもございましたが,今アジアで大きな問題になっている,ラカイン州のムスリム教徒の人たちの状況を実際にミャンマーでも確認し,そうした方々が非難されているバングラデシュでも確認をしたいということで,国会日程でASEMの方は出席できませんが,バングラデシュの方については国会のご了解も頂きましたので,しっかり行って状況を確認し,日本としての対応を決めていきたいと思っています。

【記者】ラカイン州の問題,一般にはロヒンギャ問題と言われておりますけれども,国際NGO等は非常に重大な人権侵害であると言っております。また,人権に関する国連の委員会ではですね,非難決議が採択されるほど,どちらかと言ったら人権問題を強く指摘する声がある一方,日本は少しそれに対しては距離を置いているような,採択にも棄権されたりするような,少し距離を置いているような雰囲気もあるんですけれども,大臣としては,日本としてどのようにこの問題かかわっていく考えを表明するおつもりでしょうか。

【河野外務大臣】非常に大きな問題ですし,数十万人の方が非常に困難な状況におかれているという現実がありますので,日本として,まず避難されている方々の状況の改善に力を尽くしてまいりたいと思います。
 また今,バングラデシュとミャンマーの両国政府でこの問題についての対話が始まっておりますので,それをしっかりとバックアップをしていきたいと思います。また,ミャンマー政府がこの問題について様々取組を始めることになりますので,それを日本としてはしっかりバックアップしてまいりたいと思います。
 国連の委員会に決議が提出されましたが,その中には事実調査団の派遣といったような内容もありましたが,現実的にミャンマー政府が受入れるものでなければ,きちんとした調査ができないというようなこともあり,日本としては棄権をいたしました。

軍縮会議での高校生平和大使

【記者】8月の軍縮会議での高校生の平和に関するスピーチですね,一部報道で中国からの圧力でその全体でのスピーチができなくなったというようなことがあったんですけれども,これについて大臣把握されていること,また,いかなる場合であっても圧力で,そういった平和に関するスピーチがですね,もし見送られるようなことがあったら,これはゆゆしきことだと思うんですけれども,どのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】このことについては,もう9月にブログで,様々な報道の誤りを指摘させていただきました。そこに書いてあるとおりでございます。それ以上付け加えることはありません。

日中関係

【記者】中国と日本の関係に関して,日本側が一連の日中首脳会談が終わってから新たなスタートが始まったというふうに言葉を使っているのですが,今の日中関係の現状,そして大臣の訪中のご意志があるということなんですけれども,年内,訪中はありますか。

【河野外務大臣】国会の会期もありますし,様々向こうの外交日程もあるようですので,今,日程調整をしております。なるべく早く伺いたいと思っております。

【記者】新たなスタートについてちょっと解釈していただけますか。どのように・・・。

【河野外務大臣】しっかりここから日中関係,やっていこうということです。

バングラデシュ訪問

【記者】バングラデシュに流入している,60万人と言われていますけれども,ロヒンギャの方々への支援については,日本政府はどのように取り組んでいくとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】しっかりと現地を見ていきたいと思っておりますが,必要な食料ですとか,水ですとか,様々生活物資が足らないというような話もございます。国連全体で4億ドル近い資金需要があるというような話も聞いておりますので,様々判断をしてまいりたいと思っております。

【記者】今,バングラデシュ政府と,ミャンマー政府がロヒンギャについて話し合っているということですが,最終的に日本政府としてはどのように解決すべきだとお考えでしょうか。また,バングラデシュとミャンマーの政府の間を取り持つ,仲介役のような形で日本は取り組んでいかれるのでしょうか。

【河野外務大臣】今,バングラデシュ並びにミャンマー両政府が,もう既に対話をはじめておりますので,その対話の結果をしっかりと見ながら,必要なできることはサポートしていきたいと思います。

アウン・サン・スー・チー・ミャンマー国家最高顧問との電話会談

【記者】昨日,アウン・サン・スー・チーさんと電話会談をされましたがけれども,先ほども質問が出ました,第三委員会での決議についても日本はどう対応するかというお話もされたのでしょうか。

【河野外務大臣】スー・チーさんとは,ミャンマーに行くことを楽しみにしておりましたが,今回は伺えないので,なるべく早い段階で参りたいということ,それからミャンマー政府が前向きな取組をしていただくことを期待し,そうした取組については日本としても,きちんと支援の手を差し伸べてまいりたいということを伝えました。

【記者】ロヒンギャの問題で,人権問題について何かしら日本としてメッセージを送ることはするおつもりですか。

【河野外務大臣】まず,両国政府が対話をしているとこですから,その結果をきちんと見て,必要なことはやっていきたいと思っております。

【記者】緊急人道支援というのは大事だと思うのですけれど,人権問題について,日本として何かしらスタンスを示さないというのは,何かちょっと距離を置いているというかですね,国際社会,それなりに強い批判が出ている中で,日本の対応にもちょっと必要な面があるんじゃないかと思うんですけれど。

【河野外務大臣】しっかり現場を見て,やっていきたいと思います。

【記者】今日,閣議で緊急の人道支援というのはまた追加で・・・。

【河野外務大臣】閣議のことは官房長官から聞いてください。

国連人権理事会の暫定版報告書の採択

【記者】国連の人権理事会で日本に対して勧告が出て,慰安婦問題の謝罪と補償などを求めている内容も取り込まれているんですけれども,これについて受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】非常に主要な事実誤認がない限り,出された意見はすべてまとめて報告書という形になりますので,日本として中を精査して,答えが必要なものについてはきちんと応えていきたいと思います。

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