記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成29年11月1日(水曜日)9時26分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)ニューヨーク・マンハッタンの車両突入事件

【河野外務大臣】ニューヨークでテロが起きまして,8名がお亡くなりになったと承知をしております。亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに,負傷された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。日本政府としてアメリカと,テロは許さないということで,しっかりと連帯をしてまいりたいと思っております。
 今のところ,邦人の被害があったという情報は入っておりません。

(2)共同経済活動に関する日露局長級作業部会の開催

【河野外務大臣】北方四島における共同経済活動に関しまして,本年9月の日露首脳会談の結果を踏まえ,(ア)11月2日にプロジェクトの内容に関する局長級作業部会の議長間会合を,(イ)11月3日に人の移動に関する局長級作業部会の議長間会合を,それぞれモスクワで開催いたします。
 昨31日まで行われた北方四島での現地調査の結果も踏まえ,早期に取り組む5件のプロジェクト候補の具体的な検討と,すべてのプロジェクトに共通して必要となる人の移動の枠組みに関する検討を進めていきたいと思っております。

(3)国連総会第一委員会における我が国提出決議案の採択(小型武器非合法取引決議,武器貿易条約決議)

【河野外務大臣】先般,我が国が国連に提出した核兵器廃絶決議案が採択されたところですが,昨31日(NY時間),通常兵器の分野でも,我が国が提出した小型武器非合法取引決議案及び武器貿易条約決議案が採択されました。
 小型武器決議案は,1995年以降一貫して,我が国とコロンビア及び南アフリカが提出しており,本年も全会一致で採択されました。
 通常兵器の貿易を規制する初の条約である武器貿易条約は,現在,我が国が議長国を務めており,来年8月に日本で締約国会議を開催すべく準備を進めているところです。
 大量破壊兵器及び通常兵器という様々な軍縮分野において,引き続き日本は,積極的な役割を果たしてまいりたいと思います。

ユネスコ関連

【記者】ユネスコの「世界の記憶」事業においてですね,慰安婦関連の資料の登録が見送りになったということなんですが,一方で韓国政府は依然としてその登録の推進を図りたいという考えを示しています。日本としては韓国と未来志向の関係を築きたいというような立場だと思いますが,大臣,この韓国政府の対応についていかがお考えでしょうか。

【河野外務大臣】韓国政府が日韓合意を尊重した行動を取ると,我々は認識をしております。

【記者】働きかけていくというようなことになりますか。

【河野外務大臣】韓国政府が日韓合意に沿った立場を取ると言っておりますので,我々は韓国政府は,当然そうした行動を取られると思っております。

【記者】先ほどの記憶遺産の関係なんですけれども,韓国政府が登録を推進するという行動に出るということは,合意に合致した行為であるというふうに大臣はみなされるのでしょうか。

【河野外務大臣】そういう行動を取らないと,我々は認識をしております。

共同経済活動

【記者】冒頭で共同経済活動の関係の話をしていただきましたけれども,APECでの日露首脳会談を控える中,その局長級の会議でどのような成果を目指すのかということと,いつ頃までに共同経済活動,具体化,四島でしていきたいとお考えなのか教えてください。

【河野外務大臣】とりあえず現地調査終わりましたので,どのようにこれから進めていくかということを,まず議長間できっちり相談をした上で,作業部会でいろいろ議論をしていきたいと思います。
 物事はできるだけ速やかに進めていきたいと思っておりますが,日程的なことはこの議長間の協議を受けてということになろうかと思います。

核兵器廃絶決議案の国連での採択

【記者】核兵器廃絶決議案について,先般,採択を受けたコメントはいただいたのですが,賛成をする国が20以上減ったという数字については,どうに受け止められたかということと,関連でもう一つ,オーストリアなどが核兵器禁止条約の署名批准を促すような決議案を出していまして,日本は反対票を投じられましたけれども,それについては橋渡しをするという意味から考えると,棄権をするという選択もあったと思いますが,反対されたというのはどういう考えでしょうか。

【河野外務大臣】今回の日本の核兵器廃絶決議案については,賛成国を増やすということが目的ではありません。一つでも多くの核兵器国を核軍縮に再びきちっとコミットしてもらおうということが目的でございましたので,米国,英国がオリジナルの共同提案国になってくれた,それからフランスが賛成をしてくれた,英国とフランスは昨年は棄権でしたので,核兵器を持っている国が3か国が賛成をし,2か国が現共同提案国になってくれたというのは,極めて我々が当初掲げていた目的に沿った結果になったと思っております。
 核兵器禁止条約に賛成をした国の中からも,現共同提案国になった国がいくつもございますし,相当数の国が賛成票を投じてくれたというのは非常に良いことだったと思っております。
 今回,国連の第一委員会には核軍縮に関する様々な決議案が提出され,採択をされましたけれども,日本の決議案144というのは,そこまでに採択をされた決議案の中でも最も賛成した国の多い決議案ということで,20数年前に提出してから,あらゆる立場の国の中で最も支持を多く集めているという日本の決議案の位置付けには変わりがないと思っております。
 核兵器禁止条約については,理想を掲げて核軍縮に対する認識を広めるという役割は,我々は認識をしておりますが,そこは違うアプローチというのも当然あろうかと思いますので,車の両輪のような形で一歩一歩現実的に歩みを進めていく部分と,理想を掲げていく部分と,それは双方あるのかなと思っています。

【記者】反対されたということは,そのアプローチには賛成はできないということですか。

【河野外務大臣】我々のアプローチは違うということです。

ユネスコ関連

【記者】ユネスコの件ですけれども,慰安婦関連の資料が見送りになったことで,日本は分担金を支払う方向に転じるというか,傾くという理解でよろしいのでしょうか。

【河野外務大臣】今,すべての国際機関の分担金,任意拠出金については総合的に判断をしようということで,様々な作業を進めておりまして,それはユネスコも例外ではありません。

【記者】そのすべての国際機関に対する分担金の拠出について総合的に判断すると,政府全体で,今そういった方針で決定している・・・。

【河野外務大臣】外務省として,拠出金,分担金について総合的に見直す作業をやっております。それはユネスコもその一環です。

【記者】それは政府として,総理の指示でそういうふうにやっているということではなくて,外務省としての判断という・・・。

【河野外務大臣】私(大臣)の指示です。

中国,韓国のTHAAD配備をめぐる動き

【記者】他国同士の話ではあるんですが,中韓,韓国のTHAAD配備をめぐって対立をした中国と韓国が,今回,対立を解消する方向になったというような動きが出ております。北朝鮮情勢が悪化する中でこうした動きにどのようにお感じになられますか。

【河野外務大臣】北朝鮮がこういう行動を取っている中で,東アジア,特に六者会合のメンバーとしては足並みをそろえていく必要があると思いますので,非常に喜ばしいことだと思います。

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