記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成29年10月20日(金曜日)10時43分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
共同経済活動に関する官民調査団の派遣
【河野外務大臣】北方四島における共同経済活動に関する,追加の官民現地調査団を10月26日から31日の日程で実施いたします。これは先月の日露首脳会談及び外相会談で早期に取り組むものとして合意をした5件のプロジェクト(海産物の共同増養殖,温室野菜栽培,島の特性に応じたツアーの開発,風力発電の導入,ゴミの減容対策)。
団長は前回と同様,長谷川総理大臣補佐官が務めます。
日露が北方四島の未来像を共に描き,双方で受入れ可能な解決策を見いだしていくという未来志向の発想で,平和条約の締結を実現してまいりたいと思っております。
衆議院選挙
【記者】衆議院選挙ですが,いよいよ終盤戦で,大臣自身,全国走り回ってらっしゃるかと思いますが,与党,自民党優勢と伝えられる中でですね,どういうふうに手応えを感じていらっしゃいますか。また今後,残りに向けた・・・。
【河野外務大臣】まだ,2日,選挙がございますから,しっかり政策を訴えていきたいと思います。
核兵器廃絶決議案の提出
【記者】国連に出された核兵器廃絶決議案について2点伺います。今年は大きな動きである核兵器禁止条約について一切言及がなくてですね,条約を推進する国からすれば反発も予想されますけれども,あえて今回触れられなかった理由というのは何なのかというのが1点,もう一つ,従来に比べて核兵器の非人道性にまつわる言及が大幅に後退しているという指摘もありますけれども,それについてはどう受け止められますか。
【河野外務大臣】北朝鮮が核の実験をやっているという中であり,また核兵器禁止条約によって核保有国と非核保有国の間の溝が少しできてしまった,あるいは非核保有国の中でも溝ができてしまったという中で,核保有国あるいは非核保有国の中でも核軍縮・不拡散というのが大事なんだと,それに取り組むんだというコミットメントをやっぱり再確認をしてもらいたいと思っております。
これまで20何回,この決議案を出してきましたけれども,毎年,その年の状況に応じた決議案にしております。今年は,一つは北朝鮮の問題について少しきちんと触れなければいけないのかなというのと,今年はもう一つ,核兵器禁止条約で全く入ってこなかった核保有国,非核保有国をもう一度核軍縮ということにコミットしてもらうために,この決議案というのは有効なツールにしたいと思っております。
既に共同提案国の中に,核保有国,それから核兵器禁止条約に入っていない非核保有国,核兵器禁止条約に入っている国々,様々な立場の国が共同提案国になってくれておりますので,日本としては核軍縮へのコミットメントを国際的に広く広げていきたいという考えで今回の決議案をまとめ,今,様々な調整が国連で行われているということです。
韓国による竹島防衛部隊の創設
【記者】竹島の防衛について,韓国が新たな部隊を創設するとの計画が明らかになりましたが,これについての日本政府の考えと,どういった対応をされているのか,既に抗議をされたとのことですが,どういった対応をされているのかご説明をお願いします。
【河野外務大臣】全く受入れられないことでございますので,強く抗議をいたしました。こういう安全保障状況の中で,日米韓3か国が未来志向で関係性を強めていかなければいけないときに,それに逆行することでございますので,そこはきちんと申入れをすると同時に,先般の次官級の会議でも日米韓の連携を強化していくことの重要性ということを協議し,三者合意をしていますので,そこはしっかりこの事態にあって日米韓の連携を強めていきたいと思います。
ユネスコ関連
【記者】ユネスコの記憶遺産も含めて,制度改善のレビューも見直されました。日本の主張もある程度取り入れられたようですけれども,受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】制度本来の趣旨に立ち返るように,ここは努力していかなければいけないと思います。
【記者】それについてIACの審査が来週から始まると思いますが,IACの議長がボコバ事務局長に対して,政治案件,慰安婦を含む8件について審査を延期するべきだと提言したようなんですけれども,それについて大臣は・・・。
【河野外務大臣】専門家会議で専門家が議論されていることについていちいちコメントすべきではないと思っておりますが,少なくとも制度本来の趣旨に立ち返った制度にやはりするように,すべての加盟国は努力していく必要があると思います。
モスクワで開催中の核不拡散国際会議
【記者】モスクワで核不拡散の国際会議,始まっていると思いますけれど,北朝鮮の代表も来ていますし,韓国側も高官を派遣していると,日本側も派遣していると思うんですけれども,そこで日朝間の接触というか,こういったことを考えていられるのか,その場合,どのようなメッセージを北朝鮮側に伝えるのか,その点についてお伺いします。
【河野外務大臣】国際会議ですから,会議あるいはその合間に様々接触があるのだろうと思います。もし日朝間でそういう接触があれば我が国の基本的な立場をきちんと先方に伝えるということになるのだろうと思います。
【記者】基本的な立場というのは,核問題,また拉致問題ということでしょうか。
【河野外務大臣】そうしたことを含め,我が国の基本的な立場を伝えることになるだろうと思いますが,必ず接触があるかどうかということについても,そこは分かりませんので。
【記者】アジア大洋州局長ということでいいですか。
【河野外務大臣】確かそうだったと,それは確認してください。
トランプ大統領の訪日
【記者】トランプ大統領がですね,11月5日から7日まで来日されるという発表がありましたけれども,日米首脳会談行われると思うのですが,特に安全保障面で期待する成果などございますでしょうか。
【河野外務大臣】少なくとも,アメリカはこれまで,この北朝鮮情勢の中で,「日米は100%共にある」ということを繰り返し述べてきて,全くぶれもなくアメリカの立場を述べてきてくれておりますので,それをまた再確認するとともに,日米同盟がきちんと一枚岩になっているということを確認をしていきたいと思います。
【記者】今週行われた日米経済対話でペンス副大統領が,日米のFTAに強い関心を示されたということなんですけれども,日本政府としてFTAに関する考え方を改めてご説明いただけますでしょうか。
【河野外務大臣】外交交渉の中のことですから,先方の発言についてのコメントは差し控えます。
ICANのノーベル平和賞受賞
【記者】ICANのノーベル平和賞受賞ですけれども,日本が参加しなかった核兵器禁止条約をサポートしたICANが受賞したときに,大臣,当日の夜にフェイスブックで文章でコメントを出されて,外務省からのコメントは2日遅れになりましたけれども,これは何か意図したものが・・・。
【河野外務大臣】本来なら私(大臣)がフェイスブックでなくて,きちんと外務省を通して出さなければいけなかったのだと思います。そういう意味で,私(大臣)がフェイスブックに個人的に先に出してしまったので,ちょっとそこは申し訳なかったかなと,大臣としてきちんと外務省から先に声明を出すべきだったのかなあと思っております。外務省としては大臣がフェイスブックに出しているので,取扱いどうするのだというところで,多少おろおろしてしまったのかなあということもありますので,ちょっとそこは私(大臣)が反省をしなければいけないところかなと,きちんと大臣声明というのを公式に出さないといけないのかなということで,申し訳ありませんでした。個人的にフェイスブックに出したもので,事務的にご迷惑をかけました。それがちょっと外務省の遅れにつながったりということになってしまったところは,私(大臣)がお詫びしなければいけないかと思います。
【記者】大臣個人のフェイスブックでコメントを出してしまったので,大臣談話という形にはならなかった・・・。
【河野外務大臣】大臣が談話出しちゃってるよね,というところで事務方はどうするか,取扱いを困ったのだと思います。本来なら外務省からきちっと出さなくてはいけなかったことなのだと思いますが,それをフェイスブックに先に出してしまったので,大臣が談話出しているのに,大臣談話どうするんだという事務的なところはいろいろあったのだと思います。
【記者】受賞の時は事務方の方は出さないと,これについて日本政府は出さないという対応だったんですけれども・・・。
【河野外務大臣】そんなことはありません。