記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成29年9月19日(火曜日)20時05分 於:米国・ニューヨーク)

冒頭発言

【河野外務大臣】この,国連総会の関係の会合でもミャンマーのラカイン州における,ムスリムの問題が話題になっておりますので,少し日本政府として,対応を申し上げたいと思います。日本政府はこの治安部隊に対する武装勢力による襲撃行為を強く非難するとともに,現地の人権・人道状況,あるいは住民殺害の疑惑,あるいは40万人が現実に避難民として流出していることに対して,深刻な懸念を有しております。
 また,バングラデシュの外務大臣との会合の中で,バングラデシュ政府が,避難民に対する人道的な支援を行っていることを高く評価申し上げました。日本政府としてはミャンマー及び避難民の受け入れをしているバングラデシュ政府に対しまして,400万ドルを上限とする緊急支援を近日中に実施をする予定でございます。
 また,21日から,現地時間の21日から堀井巌大臣政務官をミャンマーに派遣して,ミャンマー政府と意見交換を行うとともに現地の状況を確認をしてきてもらいたいということを思っております。21日から派遣致します。
 バングラデシュにつきましては,近い将来,政府のハイレベルでやはり同じように,状況確認のため,派遣をしていきたいというふうに思います。日本政府としては,バングラデシュがやってきてくれている人道支援,しっかりと支援をしていきたい,後押しをしていきたいと思っておりますし,ミャンマー側がこれから採るであろう取り組みを支援をして参りたいと思っております。
 それから,今日は一連のマルチの会合の間に,イギリス,カナダ,UAE,それからさきほどEUのモゲリーニ上級代表と会談を行いました。主なトピックは北朝鮮の問題につきまして,安保理の完全な履行,並びに北朝鮮の労働者,あるいは北朝鮮との外交関係の問題,あるいはEUは,EUが独自制裁を検討しているということでございますので,そうしたことに触れながら北朝鮮に更なる圧力をかけていく,そして北朝鮮が非核化の意思を明確にして,具体的な行動を取るとともに対話のテーブルにつくことが重要だということをお互いに確認しました。
 また,マルチの会合では,質の高いインフラ投資の促進に関する会合で,質の高い輸出拡大イニシアチブ,あるいは自由で開かれたインド太平洋戦略などの我が国の取り組みを紹介をすると同時に質の高いインフラ投資の推進にこれからも取り組んでいく必要性というものを,発信を致しました。
 それから,先ほどの,気候変動の会合の中で,メキシコの環境大臣がいらっしゃいましたので,先の地震に関するお見舞いとお悔やみを申し上げるとともに,我が国が採れる必要な支援があれば何なりと要請をしてほしいということを申し上げました。私からは以上です。

質疑応答

【記者】ロヒンギャの問題ですけれど,事態の収拾または問題の解決において,ミャンマー政府のどういった対応が必要になるとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】ラカイン州のムスリムの問題につきましてはミャンマー政府がコフィ・アナン元事務総長を中心とする委員会のレコメンデーションについて,これを履行していく,そういう考えを表明されましたので,ミャンマー政府が一つ一つそれについてきちんと履行してもらいたいと思っております。中には様々支援が必要なものもあると思いますので,そうしたことについては日本が積極的に取り組んでいきたいと思います。

【記者】今日,アメリカのトランプ大統領が国連総会において初めて演説を行ったということで,それに対する受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】今日はトランプ大統領の演説の中で拉致問題についてもかなりはっきりと触れていただきました。これは様々日本が働きかけをしてきたことも功を奏しているというふうに思いますし,また,北朝鮮のくだりでは全てのオプションがテーブルにあるというこれまでのアメリカの方針を確認したものだと思っております。日米しっかりと緊密に連携して拉致問題,あるいは核,ミサイルといった問題に当たっていきたいと思います。

【記者】今日の演説では,一方でアメリカ第一主義を表明しました。いろいろな問題で国際協調が求められる中,その点で考えますと大臣,どういう印象を持たれましたでしょうか。

【河野外務大臣】アメリカファーストと仰った後,それはどの国も国民ファーストなんだと仰っていましたので,特にアメリカが,国際協調に背を向けるということではないということだと思っております。

【記者】ミャンマーへの緊急支援なんですけど,400万ドル上限というのは,具体的にどういった使途,使い道を想定しているのでしょうか。

【河野外務大臣】食料,水の支援,あるいは衛生関係の支援,もちろんシェルターといったものも入ると思います。そうしたことに対して,国際機関を通してやっていきたいと思います。

【記者】トランプ大統領の演説ですけれど,北朝鮮問題で,全てのオプションがテーブルにあるという延長線上ではあるんですが,言葉はかなり強い言葉がちりばめられていたと思うんですけれど,そういった点についてはどのように受け止められますか。

【河野外務大臣】どういう言葉遣いをどういう意図で使ったかは,それはアメリカ側に聞いていただかないといけないと思いますが,基本的にはこれまでのアメリカの方針を受けての演説だったというふうに理解しています。

【記者】トランプ大統領の拉致問題に関する発言がありましたが,日本政府として,国連の場で拉致問題ついて具体的にどのようなことを訴えたいとお考えですか。

【河野外務大臣】これまでも北朝鮮の問題について,意見交換をする際に,我が国としては,核,ミサイル並びに拉致問題が重要な問題であるということを繰り返し申し上げておりますし,これは今日の首脳会談の中で総理も仰っておりました。我々としては,日朝平壌宣言にいう,拉致,核,ミサイルこれを包括的に解決する姿勢に問題はありません。

【記者】メキシコの地震の件なんですが,念のため邦人被害といった情報はないですか。

【河野外務大臣】現時点で邦人の被害はありません。今のところ邦人に被害はないと理解しています。これはまた時間によって変わってくるかもしれませんが,現時点では被害はないというように理解しています。

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