記者会見
河野外務大臣会見記録
(平成29年9月1日(金曜日)9時29分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の広島開催
【河野外務大臣】11月27日及び28日,外務省は,「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第1回会合を広島市で開催することを決定をいたしました。
この会合が被爆地である広島で開催されるということは誠に意義深いものだと思っております。核兵器国と非核兵器国の対立が深まる中で,両者の橋渡しを日本がしようということで岸田前大臣がイニシアチブを取られた会議でございますが,有識者による実りある会合になることを期待をしたいと思います。
また,第27回の国連軍縮会議が11月29日及び30日に広島市で開催されます。この2つの会議の成功に向けて,最大限努力してまいりたいと思います。
(2)石澤上智大学アジア人材養成センター所長の2017年度「ラモン・マグサイサイ賞」受賞
【河野外務大臣】アジアの「ノーベル賞」と言われる「ラモン・マグサイサイ賞」を,2017年度石澤良昭上智大学アジア人材養成研究センター所長が,昨日,フィリピンにおいて受賞されました。
石澤所長は,50年以上にわたって,カンボジアのアンコールワット遺跡の研究及び保存修復,並びにカンボジアの専門家の育成に尽力をされ,日本とカンボジアの関係の強化と文化交流に大変貢献をされた方でございます。
石澤所長のマグサイサイ賞の受賞を,大勢の皆さんと一緒に喜びたいと思います。
日英首脳会談
【記者】昨日,日英首脳会談があって,北朝鮮問題をめぐる様々な分野でイギリスとの協力関係を確認することができました。一方で北朝鮮問題をめぐっては,国連での追加制裁決議の鍵を握るとされる中国,ロシアとの温度差が指摘されている状況です。日英首脳会談の評価とですね,それから今後,中国,ロシアと北朝鮮問題をめぐってどのように協力していくかの見通しについてお願いできますでしょうか。
【河野外務大臣】メイ首相と安倍首相の首脳会談,大変良く,うまくいったと思っております。また合意文書も出すことができました。今までのパートナー国から同盟国へという形で,関係を強化していこうということになりました。北朝鮮に対しましては,日本と英国,首脳会談でも立場を同じにする,方向性を同じにする,また外相会談,電話会談,それから小野寺防衛大臣も電話会談をされましたが,外相会談でもジョンソン外務大臣と日本の危機感を共有をする,そして北朝鮮問題については安保理でも緊密に連携をしていこうというという話になりました。
北朝鮮問題をめぐって,日英で,これから緊密に連携しながら当たっていきたいと思いますし,また,アジア・アフリカをつなぐインド・太平洋が,自由で開かれた海洋である必要があるという認識も,両国一致をいたしました。このインド・太平洋をつなぐ海洋にはイギリスと歴史的に関係の深い国も多くありますので,そういう意味からも日英,しっかり連携をしていきたいと思います。
【記者】中国とロシアとはどのように・・・。
【河野外務大臣】中国,ロシアが北朝鮮問題で,一つの鍵を握っているという認識も共有をしております。北朝鮮が更なるミサイルの発射,あるいは核実験をやらないように様々協力して当たっていく必要がある,それは新しい安保理決議の可能性を含んで当たっていく必要があるというところでは認識を一致しておりますので,日英の連携も深めながら,日英双方で中国,ロシアとしっかり話合いをして,中国,ロシアに役割を果たしてもらいたいと思います。
外務大臣就任1か月経過
【記者】内閣改造から間もなく1か月がたちますが,1か月を終えて,ご感想と言いますか,受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】もう1か月になりますね。本当はマラソンなのに,100mダッシュしていたような気がしていますが,いきなり,こうした北朝鮮情勢がこういう状況になりましたので,各国の外務大臣と連携をして,まず北朝鮮問題,これ以上悪化させないようにしっかりやっていきたいと思います。
【記者】就任前は,ODAの半減ですとか,いろいろ大臣のご主張もあったかと思うのですが,概算要求ではODAは増えたりしたんですが,その点は・・・。
【河野外務大臣】概算要求は1割減額して3割増やすというのが通例で,そこから財務省との折衝をやりますので,別に何かが増えるかどうかというのはまだ分かりません。それから概算要求は8月末で,私(大臣)が就任したのは8月3日で,大半は海外でしたので,最初の会合で概算要求に関しては,政策経費に関しては岸田大臣が積み上げてこられたものを今年はそのまま尊重するということを申し上げております。
ただ,私(大臣)の方から外務省に対して,旅費その他の足腰予算をきちんと増やそうと,最終的に財務省といろいろ折衝がもめるようなことがあったら,ODAの分を減らしてでも足腰予算を重視するということは,私(大臣)からも財務大臣にもお願いをしましたし,外務省そういう方針で行こうということで統一をいたしました。
【記者】お父様も外務大臣をやられて,何かと比べられることも多いかと思うのですが,その点については,やりにくさとか・・・。
【河野外務大臣】比較するのは,第三者が比較するわけですから,それについて私(大臣)がとやかく申し上げることはないかなと思います。
賢人会議の広島開催
【記者】冒頭に出た賢人会議ですけれども,広島を開催地に選ばれた理由や意義,また期待される具体的な成果について教えてください。
【河野外務大臣】広島は被爆地ということもありますし,広島から開催の要望もございました。また岸田外務大臣が核兵器国と非核兵器国の間の橋渡しをしっかりやろうと,そのために日本が何ができるかということを考えていこうということで,この会合を,いわばイニシアチブを取られたわけですから,広島を第1回目の会合にするというのは非常に適切だと思っております。
今,核兵器国と非核兵器国,あるいは非核兵器国の間でも様々考え方に差が出ていますけれども,それをやっぱり同じ方向を向いていけるように,日本がどうイニシアチブを取れるかということをしっかり考えていける会議にしていきたいと思います。
【記者】具体的には,NPTの再検討会議,準備委員会に何か提言を出されるご予定でしょうか。
【河野外務大臣】どういうアウトプットにするかというのは,これから考えていきたいと思います。
安保理の制裁決議
【記者】昨日のティラソン国務長官との電話会談を受けた後のぶら下がりで,国連の制裁決議について必要ならやっていこうとか,何かあったときに備えて準備していこうというようなお話を大臣からされたと思うんですけれど,それはすぐに国連制裁を目指すんじゃなくて,少し北朝鮮のアクションを待つという意味もあるのですか。
【河野外務大臣】今は,全てのオプションをテーブルの上にのせている段階だと思います。何が起きるかを考えながらやるべき準備をして,必要なときにはやれるようにしていきたいということで,安保理決議についても新しいものがやれるかどうか,テーブルの上にのせてしっかりみんなで考えていこうと,そういう状況だと思います。
【記者】特に,何か新しいアクションを待つということではなくて,準備を進めるということですね。
【河野外務大臣】必要なら,必要なことをやっていくということだと思います。
【記者】日本政府として,今,それが必要だというふうに考えているんじゃないんですか。
【河野外務大臣】今,まず前回の安保理決議の抜け穴がないように,各国が全面的にそれを履行してくれるというのが大事だと思いますので,ASEANでも,あるいはこの間のTICADでも抜け道を作らないようにというお願いをいたしましたし,安保理決議の履行状況を,本来国連に報告してくださいということになっていますが,報告書が出ていない国も結構あるものですから,そういう国に報告書を出してくださいというお願いをしながら,この安保理決議は北朝鮮の核開発,あるいはミサイル開発の資金源を断つというのが狙いなんだからということは,しっかり説明をして協力を今求めているところで,ほとんどの国がしっかりやりますと言ってくれていますので,まず前回の安保理決議の履行状況をしっかり確認して,厳格に履行されるようにしていくというのを,まずやろうと思っています。
【記者】その資金源の遮断という意味で,今言われているのは石油と主に北朝鮮の労働者が言われていますけれども,そのほかにどのような,まだ外貨を獲得する手段としての抜け穴というのがまだ残っていると思いますか。
【河野外務大臣】様々なものがあると思いますので,どういう順番でやるのが効果的なのか,あるいは全面的にやるのがいいのか,そういうこともいろんな人と意見交換しながら,これから必要ならやるということだと思います。