記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成29年8月17日(木曜日)15時25分 於:米国・ワシントン・ウィラードホテル)
質疑応答
【記者】先ほどティラソン長官とのバイ会談を終えられたと思うのですが,どのような点で合意されたのか,特に北朝鮮問題など,やりとりが紹介できるものがあればお願い致します。
【河野外務大臣】北朝鮮の問題については,午前中の2+2を含め,しっかりと北朝鮮に対して圧力をかけていくということが大事だということ。それから単に挑発行動をやめるということだけではなく,明確に非核化に向けて意志を出すということと,具体的な行動をとるということが必要だということで,だいたい意思疎通ができたというか,想いを共有したということでございます。北朝鮮については,中国がやはりきちんと安保理決議を厳格かつ全面的に履行するということが,きわめて重要だということも一致をいたしましたので,中国についても,安保理決議を履行するように,働きかけを日米でしていこうということでございます。
【記者】大臣ご自身,初めて,外務大臣として2+2に臨まれたんですけれども,改めて今回一番の成果は何だったのかということと,北朝鮮を含めてどういうメッセージを出せたのか教えてください。
【河野外務大臣】日米同盟であらゆる事態に備えて,シームレスな対応をすることができる体制を取ることが大事だということでございますので,そうした対応が取れるようしっかりとガイダンスを出し,また,それをフォローしていくということが何よりも重要だったと思います。また,こういう状況下でございますので,北朝鮮に関する問題についてかなり突っ込んだ議論をさせていただきました。また,東シナ海についてもかなり時間を取ってやりとりをさせていただきましたので,東アジアの安全保障環境について,意識を4人,しっかりと共有できたというふうに思います。
【記者】トランプ大統領が北朝鮮に関して怒りとか過激な発言をしていて,米国からも多少の批判があると思います。ただ,その一方で北朝鮮が米国の行動をもうちょっと見たいとかいう発言をするような事態がみられておりますけれども,トランプ大統領の過激とされる質問というのは,北朝鮮の行動を抑制する上で効果があるというふうに大臣はお考えになっているのでしょうか。
【河野外務大臣】こういう状況の中で,米国の抑止力というのが確認されているというのが非常に大事なことだと思いますし,米国が全ての対応をする用意があるということを明確にするというのが大事なことだと思います。
【記者】2+2でも日米韓の連携が大事だと確認したと思うんですけどれも,日米外相会談の中で今後の日韓関係について,大臣はどのような説明,あるいは意見交換をされたのか。特に2015年の日韓合意について今日の会談の中で意見交換等ございましたでしょうか。
【河野外務大臣】東アジアの状況を考える中で日米韓の協力関係を維持していくというのは非常に大切なことだというのは,我々も米国側も全く齟齬はないと思います。日韓,米韓の問題についても色々意見交換をさせていただきましたが,第三国でございますので,どういうやりとりをしたかというのはここでは避けたいと思います。
【記者】中国の存在が非常に重要だということで認識が一致されたかと思いますが,これまでも中国の存在が重要だという中で,今回の安保理決議の制裁には参加して直ちに行動に移してくれたと思うのですが,トランプ大統領が失望していると表現するなど,中国の果たしている役割に対して日本や米国としては満足していないということがあると思いますが,こうした事態を打開するために中国にこういう働きかけをしていこうとか,これまでにないアプローチでこういうふうにしていこうという話は何かあったのでしょうか。
【河野外務大臣】15日でしたか,石炭をはじめとする輸入を取りやめるという発表もありましたし,今回の安保理決議にはロシアとともに中国も賛成にまわったということで,中国の対応ぶりは少し変わってきているのではないかと思います。ティラソン長官も仰っておりましたけれども,中国が北朝鮮に対して何もやらないことが,日米韓の防衛体制を強固にすることに繋がり,それが中国にとって良いことかどうかということが,中国が考えるようになるだろうと,それに対して中国がどう考えるかというのがやっぱり大事だということが一つ。それから日米の間に隙間がないということを中国が認識をし,少しずつこれは北朝鮮の問題,あるいは東シナ,南シナの問題でも少しずつ対応が変わってきているということがあるんだろうと思いますので,日米あるいは日米韓がそうした連携を強化し,隙間がなく対応しているんだということがはっきり伝わるようにしていくのが大事だと思います。
【記者】2+2の後の会見で,河野大臣から嘉手納基地の運用についても米側にお伝えしたということを仰っていましたが,具体的にどのようなことを米側に仰って,その上で米側からマティス長官なのか,ティラソン長官なのか,どういった答えがあったかというのを教えてください。
【河野外務大臣】嘉手納基地というのは米軍にとって,非常に重要な基地であるわけですし,嘉手納基地のある嘉手納の町が,これまで在日米軍について非常に協力的であったということがあります。その一方で,海軍のハンガーの問題,あるいはパラシュート降下訓練の問題といったことがありますので,この地元の負担を軽減するのと同時に地元の米軍基地に対する支持というのも非常に大事だということを申し上げました。これは,私(大臣)から,あるいは小野寺大臣から申し上げましたが,それに対して,マティス長官から嘉手納の問題について,長官もよく認識をされておりました。嘉手納を巡る問題について,長官自身も認識をされ,様々対応がとられるということだろうと思っております。基地に対する,支援,支持というのをやはり大切にしなければいけないという長官の想いも共有できましたので,そういう意味で非常に在日米軍に関するやりとりは良かったと思っております。
【記者】今回,日米で中国に対する姿勢,北朝鮮に対する姿勢,東シナ海,南シナ海,多くのことを再確認して,立場は一緒だということだったと思いますけれども,立場を同じにできなかったこと,もしくはちょっと距離があるなと思ったようなことは何かございましたでしょうか。
【河野外務大臣】距離があるなというものについては,特になかったですかね。私の方から少し中東問題,中東外交についても申し上げました,それに対して特に米側から異論があったということでもありませんので,今日は日米が肩を並べる場面というのが殆どで,それは違うというようなところは殆どなかったと思います。