記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成29年8月4日(金曜日)11時14分 於:本省会見室)

冒頭発言

広島,長崎の平和式典参加及びASEAN関連外相会議への河野大臣出席

【河野外務大臣】私(大臣)は,8月6日の広島の平和記念式典,8月9日の長崎の祈念式典に出席をさせていただきたいと思っております。
 また,広島の式典と長崎の式典の間に,ASEAN関連の外相会議が行われておりますフィリピン共和国のマニラを訪問をしたいと思っております。
 一連の会議で,ASEANの強化のための支援,何が日本ができるか,日本とASEANの協力の強化,それから東アジアの首脳会議,この会議体の強化, あるいはARFにおける信頼醸成といったことの様々な課題に加えて,地域・国際情勢についても協議をしてまいりたいと思っております。
 ASEAN議長国,フィリピンとの二国間の外相会談については,実施をする予定でございます。それから,日本,アメリカ,オーストラリアの閣僚級の戦略対話についても行う予定にしてございます。中国,韓国との二国間の外相会談については,今,行う方向で調整をさせていただいております。

総理からの指示

【朝日新聞 松井記者】昨日,総理から指示書を受け取られたと思いますが,総理から具体的に外相就任にあたって,どんな指示を受けたのか,可能な範囲で教えてください。

【河野外務大臣】指示書の内容については,差し控えさせていただきます。

【朝日新聞 松井記者】指示されたこと全般で,お聞きできることがありましたら何か・・・。

【河野外務大臣】指示書の中身は,外に申し上げるべきものではないと思いますが,こういう状況の中で,しっかりとやってほしいということと,官邸を始め政府内の連携をきちんと取ってやってくださいということでございます。

【TBS 久保記者】総理は昨日の会見で,大臣に期待することとして,発想力と行動力の発揮ということを言及されています。それはやはり総理からの指示だと思うのですけれども,それについて大臣は具体的に今,政策としてイメージしていること,お考えになっていること,どんなようなことでしょうか。

【河野外務大臣】様々ございますが,それは実現してから申し上げなければ,夢物語で終わっても仕方ないと思いますので,しっかり成果出せるように頑張っていきたいと思います。

近隣諸国関係

【時事通信 市川記者】先ほどですね,中国,韓国との二国間の外相会談も今調整していると,実現した場合にはどのような問題を提起して,どのような成果を期待されますか。

【河野外務大臣】韓国,中国とは,友好関係を深めていきたいと思っておりますので,初めて外務大臣として先方とお目にかかりますので,いろんな課題についてお話を申し上げる必要ももちろんあると思いますけれども,少し未来志向でいろんな話をすることができたらなと思っております。

ASEAN関連

【共同通信 内保記者】ASEANの地域フォーラムARFではですね,北朝鮮の当局者も出席する予定だと伺っております。現地で,大臣は当局者と接触する考えというのは,接触を模索するお考えというのはございますでしょうか。

【河野外務大臣】今の段階で,すいません,まだ何も決まっておりません。

憲法改正

【朝日新聞 笹川記者】憲法改正についてお尋ねします。大臣は,自衛隊の存在を憲法9条に書き加えるという改正について,賛成する考えを6月のブログで書き込まれていますけれども,この考えに今も変わりはありませんでしょうか。

【河野外務大臣】憲法改正については,立法府が発議をするわけでございますので,その内容について,閣僚の私から何かコメントすべきではないと思います。

【朝日新聞 笹川記者】あくまでも立法府が考えることだということになりますと,政権が取り組む課題の中で,憲法改正というのは,優先順位はあくまでも高くないというふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】外務大臣として,憲法改正は所掌しておりませんので,コメントは控えたいと思います。

近隣諸国関係

【産経新聞 杉本記者】中国,韓国についてお伺いします。大臣が就任されたことによって,中国,韓国のメディア等では,お父様の河野洋平さんが,中国,韓国と親しい関係にあったということをもって,肯定的な評価が多くあるそうです。これについて率直な感想を述べていただいてもよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】好意的に受け止めてくれているのが,河野洋平も外務大臣をやっておりましたし,その息子が外務大臣になったということで喜んでくれているならば,それは親の恩に感謝しなければいけないのかなと思っておりますが,河野太郎として,きちっと河野太郎外務大臣として,きちんと各国に評価されるように,そこはしっかり頑張っていきたいと思います。

原発政策

【フリーランス 上出氏】大臣,昨日からいろいろ,お聞きしておりまして,僭越ながら,大変,国民目線に立って民主主義を前に進めようとする,いろんなこと言いにくいこともあったと思うんですけれども,言外から伝わってまいりました。昨日もちょっと出ましたけれども,大臣は,いろんなご持論がありまして,原発政策について,政府とは異なる見解と,今後,いろいろ原子力協定,あるいは核の傘の問題とか,昨日出た,核兵器禁止条約ということに関して,外相としてのお立場はあるのでしょうけれども,ある程度,ご自分の考えを出していきたい,そういう部分があるのかどうか。その中で,こだわっているとしたらどういう点にこだわって,これだけは何とかしたいというものがあったら,お聞かせいただけますでしょうか。

【河野外務大臣】一般論として,政府内の議論をする場合には,言わなければいけないことはきちんと申し上げなければいけないと思いますし,議論に壁はないというふうに思っておりますが,政府の方針として決まったものは,内閣の一員としてその遂行に全力を持って当たるというのが議員内閣制の大原則でございますので,私から申し上げることは個人としての意見ではなくて,政府の方針を閣僚として申し上げるということになろうかと思います。

沖縄基地問題

【琉球新報 新垣記者】米軍嘉手納飛行場の話なんですけれども,移転したはずの駐機場がまだ使われていたりとかですね,あるいは原則,伊江島補助飛行場に移転したはずのパラシュート訓練が嘉手納で何度もやられたりということに対して,地元からは,SACO法違反だという強い指摘があがっております。これに関して,どういうふうに取り組まれるのか,近く開かれると言われている「2+2」で触れるおつもりがあるかどうか,その辺をお聞きしたいです。

【河野外務大臣】現状,調べていきたいと思います。

ASEAN関連

【共同通信 斎藤記者】先ほど,ARFで,北の当局者と接触する意向はありますかという質問がありました。その関連になりますが,現在,ご案内のとおりで,拉致問題,全く進んでおりません。核・ミサイル問題の影響で,全く今,対話できない状況だと認識しております。そうした中で,拉致問題を前に進めるために,今,この状況下でですね,対話の機会を模索するという基本方針をお持ちであるかどうか,その点を確認させていただきたい。そして,その延長線上で,もう一度ARFで,もし機会があれば,お会いしたいという意思があるかどうか,この点についてもお聞かせいただきたいと思います。

【河野外務大臣】核,ミサイル,拉致といった諸問題を包括的に解決をするというためには,やっぱりこの時期は,今は圧力を重視する時期だと思っております。マニラでどうするかは,まだ何も決まっておりませんので,今,どうこうということはちょっと,ここでは申し上げられません。

日露関係

【北海道新聞 水野記者】ロシア外交についてお伺いします。9月,ロシアのウラジオストクで日露首脳会談が行われる予定となっています。この中で,北方四島での共同経済活動の議論も加速するものと思われますけれども,日露両国の法的立場を犯さない法的な枠組みの創設など,難しさも指摘されていますが,外相としてどのように取り組まれるおつもりかをお聞かせください。

【河野外務大臣】ウラジオで首脳会談等が9月に行われるんだろうと思っておりますが,今おっしゃられたように,双方の法的立場を害さずにいろんなことを未来志向でやっていく中で,四島の帰属問題を解決して平和条約を締結すると,これはもう日本,ロシア,双方の政府が一致した認識だと思っておりますので,今までのアプローチに捉われず,この日露関係を前に進めていくために何ができるか,私(大臣)も今までの概念に捉われず,いろんなことを考えていきたいと思っております。

ASEAN関連

【ブルームバーグ レイノルズ記者】また北朝鮮についてなんですけれども,マニラの方の会合で北朝鮮は一つの課題になるかと思うんですけれども,その会合自体によって何か圧力強化の成果は期待できますでしょうか。

【河野外務大臣】会議の結果について,今この段階で何か申し上げるわけにはいかないと思いますので,そこは申し訳ございません。

【NHK 瀬上記者】大臣から冒頭ありましたASEANの会議ですが,先ほど中国との関係においては未来志向というお話しがありましたが,一方で中国は南シナ海の方では軍事拠点化なんかも進めてまして,今回の会議でも焦点になると思います。大臣,この南シナ海の問題や,また東シナ海の尖閣等の問題について現状どういったご認識なのかとお伺いします。

【河野外務大臣】南シナ海,これは海がきちんと海のルールがありますから,この法の支配の下で,いろんなことがきちっと行われていく,問題が解決されていくべきだと思っております。そこは必要ならば,きちんと申し上げていかなければならないなと思っております。

日米地位協定

【沖縄タイムス 大城記者】日米地位協定について伺います。大臣,昨日の会見でどういうやり方がいいのか研究したいというふうにおっしゃられていますが,これは改定に取り組むことを前提に研究するということでよろしいのでしょうか。あと具体的にどこに問題があるとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】具体的なやり方を含め検討をしなければいけないのかなと思っております。沖縄県も神奈川県も同じような問題を,規模の大きさは別として直面をしている,そういうことがございますので,いろんなことを前広に考えていきたいと思います。

広島・長崎訪問

【中国新聞 田中記者】冒頭に広島・長崎の式典の参列の話がありましたので,どういうお気持ちで臨まれるか,また式典のあとには被爆者の方と直接対面する場もあると思うのですが,そちらも併せてお教えください。

【河野外務大臣】私(大臣)の父が議長だったときに,G8の議長国会合を広島で開催をしたいという話がございました。その時は,アメリカの下院議長ナンシー・ペロシ下院議長でしたが,ペロシさんが広島に来てくれるんならば広島でやる価値がある,アメリカの下院議長が来れないなら,そこはまたいろんなことを考えなきゃいかんということで,当時のダニエル・イノウエ上院議員ですとか,いろんな方と相談をして,ペロシ議長に打診をした時に,あの時は確か選挙の年だったんじゃないかと思うんですが,選挙の年だったにもかかわらず,広島に行きますよという返事をいただいて,それではということで広島で開催をするということが決まって,私の父の衆議院議長としての最後の大仕事みたいなことだったわけでございます。それに続いて,オバマ大統領が広島を訪問をされまして,当時,私は国家公安委員長としてサミットとそのオバマ大統領の広島訪問の警備の責任者でございました。オバマ大統領が広島に,現職のアメリカの大統領として初めて来てくださって,日米関係もこれで少し大きく新たなページをめくることができたんだろうと思いました。この広島・長崎の経験を風化させることなく,昨日も申し上げましたが,やはり軍縮・核不拡散ということに,しっかりとやはり日本としてつなげていかなければならないと思っております。そのために式典に参加をさせていただいて,この広島・長崎の思いを世界に向けて,外務大臣として発信をしていくというのが,これは私の使命だと思っておりますので,そこはしっかりやらせていただきたいと思います。

総裁選挙

【日本テレビ 矢代記者】今回,昨日,重要閣僚を今回担うことになったと思うんですが,先の話になるんですが,現時点で来年9月の総裁選だったりにご出馬されるご予定とか,お考えというのはあるんでしょうか。

【河野外務大臣】まず自分の仕事をきちっとやるというのが大事だと思います。今,私の目の前にはASEANの会合がありますので,そこは一歩一歩前に進んでいきたいと思います。

【日本テレビ 矢代記者】そうするとその一歩一歩進んだ先に,そういったお考えというのも見えてくるというところなんでしょうか。

【河野外務大臣】一歩一歩歩きながら,考えていきたいと思います。

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