記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成29年7月5日(水曜日)13時30分 於:ベルギー・ブリュッセル)
冒頭発言
【岸田外務大臣】本日12時30分から1時間15分にわたりまして,日EU・EPAの残る重要な論点を解決するべく,私は,EUマルムストローム委員との間で昼食を挟みながら,最終的な詰めの交渉を行いました。今日まで大変厳しい交渉が続いてきました。一方,現下の保護主義的な動きが蔓延する国際場裡において,日EUが率先して自由貿易の旗を掲げ続けなければならない,そうした強い使命感のもと,私とマルムストローム委員はお互いの政治的指導力を発揮して交渉を推し進めてきました。同時に,私は国内のセンシティビティをしっかりと守らなければならない,こういった強い思いで交渉にあたりました。その結果,先般の閣僚会議において詰めることができなかった重要な論点について,解決をし,閣僚間で大枠合意の達成を確認することができました。本日の閣僚間で合意した内容については,これからそれぞれの内容を首脳にあげて,明日の日EU定期首脳協議で最終的な確認を行うこととなります。EUは世界全体の貿易の3割,人口においては日本の4倍の5億人,そして日EUで世界のGDPの3割,約21兆ドル,こうした大きな割合を占める存在です。我が国とEUとの本協定は,大規模な先進エコノミー間での初めての経済連携協定となります。本交渉の大枠合意によって,保護主義的な動きの中で,世界に前向きで,大きなメッセージを送ることができると考えます。その合意内容は,自由貿易の牽引役である日EUが世界に範を示すに足る,包括的であり,レベルが高いものであり,そしてバランスのとれたものであると自負をしているところです。私からは以上です。
質疑応答
【記者】これまで長い交渉続きましたが,今日ここでですね,合意に至った大きな理由はというのはなんだったのでしょうか。
【岸田外務大臣】首脳間で交渉開始を確認してから4年近い月日が経っていますが,その間,正式な交渉だけで20回近い交渉が行われていると思います。それ以外にも,非公式な首席交渉官の間の交渉など,様々なレベルで4年間,多くの努力を積み上げてきました。そして,ぎりぎりのところで政治判断を下すことができた,こうした4年間の多くの積み重ねが今日につながったと思います。そうした努力を積み重ねる価値のある大きな成果になったと自負をしているところです。ぜひ日EUの自由貿易の旗を守ろうとするこうした思いをしっかり世界にアピールしていきたい,このように思います。
【記者】大臣,今日の内容についてはもうすでに総理にも報告をされたんでしょうか。
【岸田外務大臣】総理には途中経過は今日までも逐次報告をしていますが,今日の中身については,今現在総理は飛行機の中でありますので,総理到着直後に最終的な報告は行いたいと思っています。
【記者】大臣,これまで隔たりのあったところ等,何が具体的に最も難しかったのでしょうか。
【岸田外務大臣】内容については,明日,日EU首脳会合を行った直後に明らかにしたいと思います。何がというご質問ですが,具体的な項目については,明日の首脳会議後とさせていただきたいと思います。
【記者】保護主義に対抗する具体的で強いメッセージを打ち出すことができるということでしょうか。
【岸田外務大臣】内容は明日明らかにしたいと思いますが,この日EU・EPAは今申し上げたように,世界に大きなメッセージを発することになると考えます。