記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年6月20日(火曜日)10時40分 於:官邸エントランスホール)
韓国新外交部長官就任
【記者】韓国の外相に康京和(カン・ギョンファ)さんが就任されました。懸案である慰安婦問題による日韓合意について,不十分だという考えを示す一方で,この問題だけで二国間関係を考えてはならないという,そういう趣旨の発言も報じられています。まず,この就任についてどのように思うかということと,岸田大臣として,外務大臣同士での信頼関係の構築というのは一番大事な問題だと思います。今後どのように取り組んでいかれるか,お聞かせください。
【岸田外務大臣】韓国は戦略的利益を共有する大切な隣国であり,日韓関係の安定は,国際社会・地域の平和と安定にも影響するものであり,是非,新外交部長官ともしっかり協力していかなければならないと思います。既に,私(大臣)の方から祝辞を発出しております。
そして日韓合意については,従来から申し上げているように,日韓両政府で合意したものであり,国際的に高く評価された合意については,しっかりと実施していくことが重要であると考えます。そういった考え方は,これからも粘り強く韓国新政権に働きかけていきたい,このように思います。
その中にあって,康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も就任前の人事聴聞会で,「合意が存在するというのも一つの現実であり,合意を守らなければならないというのが国際社会の慣行」,こういった発言をされたということも承知をしております。
いずれにしましても,新外交部長官としっかり意思疎通を図っていきたいと思いますし,信頼関係を構築していきたいと考えます。まずは,電話会談を行うところから始めなければならないかなとは考えております。
【記者】調整状況はいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】調整をしておりますが,まだ決まっておりません。
北朝鮮に拘束された米国人学生の死亡
【記者】北朝鮮に関する件ですけれども,北朝鮮で長い間拘束されていたアメリカ人の大学生が,今日死亡したということが報じられました。拷問まがいの対応ということにアメリカ側は非難しております。人道的見地から,日本も拉致問題を抱えるわけですけれども,そういう人道的な問題での北朝鮮のこういった対応について,大臣としてどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の件については,人道的な観点から注視をしてきました。そして北朝鮮によって拘束された米国人の解放に向けた米国の努力,我が国として支持してきましたが,今般,この米国人学生の方が亡くなられたということについては,誠に残念であります。引き続き,北朝鮮で拘束されている米国人に対する米国の解放に向けた努力,これは支持していますし,注視をしていきたい,このように思います。
日EU・EPA大枠合意に向けた交渉
【記者】日EU・EPAについてですけれども,詰めの調整協議が続いていると思います。7月のG20サミットに合わせて,日EU間の首脳会談での大筋合意というものも,一つ考え方としてあるのではないかと思うのですけれども,現在の調整状況と,あと大筋合意を目指す過程で外務大臣同士のですね,閣僚間での協議,詰めの協議というものは行われることはあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,首脳会談の日程については,現在まだ決まってはおりません。ただ,早期の大枠合意を目指す,こういった点につきましては,日EU間で合意をしているところですし,しっかり努力を続けていきたいと考えます。
その中で,G20の際の首脳会談の開催の可能性は念頭に置きながら,引き続き努力を続けていきたいと思います。先週も首席交渉官,ペトリチオーネ欧州委員会貿易総局次長らEU側との間において打ち合わせを実施いたしましたが,今週も適切な形で首席交渉官レベルの交渉を行っております。できるだけ早期の大枠合意ということを目指して,努力を続けていきたいと思います。
そしてその中で必要であれば,私(大臣)自身も閣僚レベルでの会談,電話会談も含めて,いろいろな形で閣僚レベルでの意思疎通を図っていきたいと思います。マルムストローム欧州委員との電話会談を含む会談,これは必要に応じて行っていかなければならない,このように思います。
日米韓首脳会合
【記者】昨日,総理の会見でG20の際に,日米韓首脳会談,これについて総理,言及されましたけれども,現状の調整状況,実現可能性,それから外務大臣としてその首脳会談に期待することといったことを…。
【岸田外務大臣】日米韓の首脳会合については,まだ日程は決まってはおりませんが,ただ,日米韓の協力,これは昨今の北朝鮮問題を始めとする地域の厳しい安全保障環境を考えましても,重要な話合いの枠組みであると認識をいたします。こういった三国との意思疎通,首脳レベルを始め,様々なレベルで行うことは重視していきたいと存じます。そういった考えに基づいて日程を調整していきたいと考えます。
内閣支持率の低下
【記者】報道各社の世論調査で,内閣支持率が大きく下がっているんですが,この要因をどういうふうに分析されますか。
【岸田外務大臣】要因については,私(大臣)も様々な報道も見,様々な方々の話を聞きますが,いろいろな要因があると思います。そういった様々な指摘はしっかり受け止めながら,まず大切なのは,過去においても支持率は下がったことはありました。そのあと,再び支持率は上がるのかどうか,これが大切なところだと思います。こうした支持率の低下,あるいはその要因についても様々な指摘,こういったものを謙虚に受け止めながら丁寧に対応していくことが重要なのではないか,このように考えます。
【記者】いろんな要因とおっしゃると,例えば,加計学園の問題とか,共謀罪とか,そういったものが影響したとお考えですか。
【岸田外務大臣】そういったご指摘があります。一つ一つの要素,何をしたのかということよりは,どう対応したのか,やり方についての批判が大きいのではないかと思います。こういったことから,今後も丁寧な説明ですとか,丁寧な対応,こういったものが重要なのではないか,このように思います。