記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年6月16日(金曜日)9時44分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

第7回アフリカ開発会議の開催地

【岸田外務大臣】2019年に日本で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を横浜で開催することを,本日の閣議で私から発言し,了解されました。 具体的な開催時期については,今後,アフリカ各国と調整してまいります。
 なお,本年8月24日及び25日にモザンビークにおいて,TICAD閣僚会合を行う予定であります。

「テロ等準備罪」法案の成立

【記者】昨日,テロ等準備罪を新設する法案,可決・成立しましたが,これについての受け止めと,あと今後,条約締結のめどについてもお願いします。

【岸田外務大臣】これまでも申し上げてきましたが,テロ等準備罪処罰法案,これは既に187の国・地域が,締結をしております国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法案です。
 本条約の締結については,関連する国連の決議ですとか,G7/G8の共同声明等においても,繰り返し我が国は要請をされてきたところです。
 ラグビー・ワールドカップ,東京オリンピック・パラリンピックを控えて,我が国に対する国際社会の注目が集まる中にあって,本条約を締結するということ,これは国際社会と協力をしてテロを含む組織犯罪を未然に防止する上で,極めて重要であると認識をしており,これを可能とする本法案の成立,これを重く受け止めております。
 政府としては,この法案の成立を受けて,できるだけ早期に,この国際組織犯罪防止条約の締結をしたいと考えております。

航空機を利用した元島民の特別墓参

【記者】あさって,北方領土の航空機の墓参,実施されますが,この墓参がどのような点が平和条約締結の前進につながるとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘のように,6月18日,日帰りで天候が許せば航空機を利用して,国後島及び択捉島への特別墓参を実施することとなりました。航空機を利用して北方領土への墓参を行うのは,初めての訪問となります。訪問団は北方領土の元島民とその家族を中心に,計70名程度で構成される見込みになっております。政府同行者として,岸外務副大臣ほか外務省,そして内閣府の職員が参加する予定です。
 この航空機を使っての訪問については,元島民の方々が高齢化されている中にあって,身体的な負担を軽減するという人道的な観点から調整を進め,実施をすることになったものですが,こうした日露の協力を進めるということは,北方領土問題,北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという取組についても,これは大きなプラスになると認識をしております。元島民の皆様の切実な思いも胸に,着実に前進させていきたい,このように思います。

核兵器禁止条約関連

【記者】核兵器禁止条約ですけれども,昨日からニューヨークで交渉が再開されました。日本政府,3月末に交渉の不参加を表明していますけれども,今回の方針も不参加ということで変わりはないかどうか,理由も併せてお願いします。

【岸田外務大臣】まず,我が国の核軍縮,そして不拡散に対する基本的な立場,これは一貫しております。二つの大切な認識の下に,核兵器国と非核兵器国の協力の下に,現実的・実践的な取組を進めていく,こうしたものであります。
 そして核兵器禁止条約の交渉会議につきましては,核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で,両者の協力を重視する我が国の立場から考えても合致しないと思いますし,これは逆に対立を深めるという意味からは逆効果にもなりかねない,こうした認識を持っております。こうした考え方は変わってはおりません。
 我が国としては,先ほど申し上げました基本的な立場,すなわち核兵器国・非核兵器国の協力の下に取組を進めていくという方針の下に,引き続き,国際的な議論をリードしていきたい,このように考えています。

【記者】大臣が,そのように繰り返し方針,説明されていますけれども,先日も広島・長崎両市長が大臣のところに要望にいらっしゃったように,日本政府の方針転換を求める声,根強いと思うんですけれども,大臣のこの説明が世論の理解を得られているというふうにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】被爆地の声,あるいは被爆者の方々の声,これは大変重いものがあり,これからも真剣に耳を傾け,受け止めていかなければならないと思います。「核兵器のない世界」を目指すという大きな目標は,皆共有しているわけですので,それぞれの立場で努力を続けなければなりません。
 その中にあって政府の役割,これも重要であり,政府の役割や政府の取組はぶれてはならないと思います。一貫して我が国の立場を主張していくことこそ,国際社会をリードする上で,これが重要であると認識をしております。
 こうした取組については,先日私(大臣)自身も出席をさせていただきましたNPT運用検討会議準備委員会での発言が,多くの関係者から理解をされ,評価をされた,こういった点からも我が国として,引き続き,こうした方針,取組を重視していかなければならない,維持していかなければならない,このように考えております。こうした我が国の取組については,国際社会,そして国の中にあっても,引き続き一貫した方針として説明を続けていきたい,このように考えています。

AIIB

【記者】今日から,韓国でAIIBの年次総会が開かれますけれども,大臣としてどのように見ているかを…。

【岸田外務大臣】AIIBについては,我が国の考え方,従来から申し上げておるところであります。AIIBの取組が,国際スタンダードに合致するものなのか,国際社会の持続的な発展に資するものなのか,こういった点を重視しております。引き続き注視をしていきたい,このように思います。

北方領土問題に関するプーチン大統領の発言

【記者】プーチン大統領がテレビ番組でですね,北方領土問題解決のためには,安全保障の議論は避けては通れないと発言されました。先日も同様の発言があったと思うんですけれども,受け止めと,今後の領土交渉への影響は考えられるんでしょうか。

【岸田外務大臣】日露の間においては,首脳間を始め,引き続き,緊密な意思疎通を図っています。4月に行われました首脳会談においても,昨年12月に確認された首脳間の合意事項について,具体的な進展が行われました。今後とも平和条約締結問題について,両首脳間では建設的な議論が行われていくものであると考えております。
 そういった中にあって,報道等を通じて報じられる発言一つ一つについて,何かコメントすることは控えたいと思います。いずれにしましても,北方四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する,こうした基本方針の下に,粘り強く交渉を続けていきたい,このように考えます。

加計学園問題

【記者】加計学園の獣医学部新設の問題で,松野大臣がなかったという文書が,報道で明るみに出て,あったというふうに認めるということになりました。この一連の政府の対応についてどのように受け止めていらっしゃいますか。

【岸田外務大臣】文部科学省の対応については,松野大臣を中心に文部科学省でしっかり調査を行い,そして適切に対応を考えられた結果であると思っております。  私(大臣)の立場から具体的なことは申し上げるのは控えますが,政府としましても,文科省,さらには内閣府,こうした関係省庁がしっかり対応した上で,しっかりこの問題について対応していくべき課題であると認識をいたします。

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