記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年6月13日(火曜日)9時47分 於:官邸エントランスホール)

二階自民党幹事長の訪韓

【記者】昨日,自民党の二階幹事長が韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談しまして,慰安婦に関する日韓合意についてですね,文在寅大統領の方から,国民の中ではなかなか受け入れられない感情があるのは事実だというような発言がありました。それについて受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】二階幹事長と文在寅大統領の面会につきましては,親書を手渡した上で,両首脳間で意思疎通を図っていきたい,こういったことについて確認を行われたと承知をしております。ご指摘の点については,日韓合意は日韓両国で合意したものです。国際社会からも評価されています。これを着実に履行することが重要であるというふうに考えております。我々のこうした考え方は変わっておりません。

デビッド・ケイ「表現の自由」国連特別報告者との対話セッション

【記者】国連の人権理事会の方でデビッド・ケイ氏が,表現の自由について日本の状況は特に懸念するといった報告をされましたけれども,日本政府はたびたびデビッド・ケイさん本人に対しても説明を繰り返してきた結果,こういった報告をしたということについてどう受け止められますか。

【岸田外務大臣】6月12日,人権理事会におきまして,デビッド・ケイ「表現の自由」国連特別報告者との対話セッションが行われました。伊原ジュネーブ代表部大使より,我が国の立場に対し正確な理解がないまま報告書に記述が行われたことについて,遺憾であることを申し上げつつ,我が国の立場を説明いたしました。引き続き,我が国としましては,我が国の政府の立場をしっかり説明し続けていきたいと考えます。

PKO協力法成立25年

【記者】PKOについて伺います。間もなくPKO協力法の成立から25年を迎えますが,これまでの日本の活動についての評価,それから南スーダンから施設部隊が撤退して,事実上派遣がゼロとなります。今後の派遣も含めて,平和協力のあり方についてお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】我が国は25年間,国際平和協力法の下,カンボジア,東ティモール,ゴラン高原,ハイチなど,27のミッションに対し,延べ約1万2千人を派遣し,世界の平和と安定のために取り組んできました。こうした我が国の取組は,派遣先国の国民,政府,あるいは国際社会から高い評価を得てきたと受け止めています。
 PKO法案が成立したのは宮沢内閣の時代でありました。当時,私(大臣)は,自分自身の初めての選挙を前にした時期であり,関心を持って見つめておりましたが,当時は徹夜国会があり,牛歩があり,大変な議論が行われていたのを記憶しています。それから25年間たち,世論調査では国民の8割がPKOを支持している,こういったことも承知をしております。25年間のPKOに対する国民の受け止め方も大きく変化したということを感じております。
 そして,PKOのこれからにつきましては,こうしたPKOの今日までの評価,国民の理解等も踏まえながら,引き続き,日本としてあるべき国際貢献に向けて努力していかなければなりません。PKOに関しましても,そういった観点から具体的な取組を考えていかなければならない,このように考えます。

我が国排他的経済水域におけるロシア船舶による海洋調査

【記者】今日の報道でですね,ロシアが日本のEEZ内の宗谷岬沖で調査活動を行った可能性があるというふうに報じられたんですけれども,外務省としてその受け止めと,その事実関係の確認,あと,抗議を行ったのかどうか教えてください。

【岸田外務大臣】6月5日,11時31分頃,海上保安庁の巡視艇が,北海道宗谷岬沖の我が国排他的経済水域において,ロシア船舶がワイヤのようなものを曳航していることを視認しました。これを受けて外務省から在京ロシア大使館に対しまして,仮に同船が我が国EEZ,または大陸棚において海洋の科学的調査や資源探査を行うのであれば,我が国の事前の同意や許可なしに行うことは認められない旨,申入れを行いました。また,海上保安庁の巡視艇からも同船に対し,同様の申入れを行いました。その後,当該ロシア船は,我が国EEZから退去したものと承知をしております。引き続き,周辺海域の動向につきましては注視していきたい,このように考えます。

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