記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成29年6月3日(土曜日)11時59分 於:石川県金沢駅)
冒頭発言
【岸田外務大臣】今朝,北朝鮮による累次の弾道ミサイルの発射を受けて,国連安保理において決議が全会一致で採択されました。今般,採択された決議は,一連の国連安保理決議を強化し,資産凍結及び入国領域通過禁止の対象を追加指定するものです。この決議の採択は,北朝鮮の度重なる挑発に対し,国際社会が一致して北朝鮮に対する圧力を強化する意思の表れであり,高く評価いたします。我が国は北朝鮮に対し,国際社会の声を真摯に受止め,一連の安保理決議を厳格かつ全面的に実施し,さらなる核実験や,弾道ミサイル発射等の挑発行動を行わないよう強く求めます。
北朝鮮をめぐる様々な動きを踏まえ,本日3日,8時25分過ぎから約30分間,米国・ティラソン国務長官との間で日米外相電話会談を実施いたしました。ティラソン長官との間では今朝の安保理決議採択を歓迎することで一致すると共に,北朝鮮に対し,さらに圧力を強化していくことが重要であり,国連の場を含め,日米,日米韓で連携を強化していく旨,確認をいたしました。また,北朝鮮問題の解決にあたっては,中国,ロシアの役割が重要であり,日米で連携して働きかけていくことで一致をいたしました。また,私から米国がパリ協定からの脱退を表明したことは残念に思うが,気候変動問題について,今後,日米が共に協力していく方法を探求していきたい旨を伝え,日米でそのような話し合いを行っていく,こうしたことで一致をいたしました。
質疑応答
【記者】安保理制裁についてお聞きしますけれども,今回の制裁決議は新たな制裁というよりは既存のものに,対象をまたさらに拡大していくという性質のものだと思うんですけれども,今回の制裁で北朝鮮に対する圧力が強まるのか。自制を促す効果があるのか。その点,どうお考えなのかという点と,あと石油がキーだという議論もありますけれども,さらに強い制裁を国連の場で目指していく,そういうお考えはあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,今回の決議については,内容において,先ほども申し上げましたが資産凍結,あるいは,入国・入域の禁止,こうした対象を追加する,こうした内容のものです。こうした内容について,国連安保理において,全会一致で採択をされた,中国,ロシアをはじめ安保理の理事国全員で一致をし採択をした,このことの意味は大きいと思います。国際社会が一致して,北朝鮮に対して強い内容を含む決議を採択することによって意思を示ししたという意味で重要であると認識をします。そして,その上で,北朝鮮に対して挑発行動を自制し,安保理決議を履行させるために何が効果的なのか,これを引き続き,検討していかなければなりません。北朝鮮の反応も見ながら,必要であるならば,さらに強化も考えなければならない,これが国際社会の考え方であると思っています。先ほども申したように日米の間においても,さらなる強化の必要について確認をしたということです。これからも国際社会,米国をはじめ関係国とも連携しながら対応を検討していきたい。このように思っています。
【記者】それから,これまでは安保理制裁とタイミングを前後して独自制裁も打ち出してきたかと思うんですけれども,今回,日本の独自制裁の検討状況,あるいは打ち出すタイミング等,現状どうなっているんでしょうか。
【岸田外務大臣】まずは,今回新たな決議も採択されました。これまで類似の決議が採択をされています。この決議の履行について実行性を確保するということについて引き続きしっかり努力をする,これまず基本であると思います。そして,我が国の措置については,すでに独自の措置を発表しています。その独自の措置の実施を徹底する,これも引き続き行っていかなければなりません。我が国の措置について,さらなる措置については今申し上げたような取り組みをしっかり行った上で,何が北朝鮮に自制を促し,そして安保理決議を実行させる上において効果的なのか,こういった観点で引き続き真剣に検討していかなければならない課題であると認識いたします。
【記者】それから日米の外相電話会談についてなんですけれども,中国の役割が重要だということですけれども,今回は楊潔篪(よう・けつち)さんも来日して大臣も会談されましたし,国連の場では中国を巻き込んで制裁の議論が行われたという経緯もありますけれども,この間,中国の対応の変化という部分についてティラソン長官との間ではどのような意見交換というか,やり取りがあったんでしょうか。
【岸田外務大臣】ティラソン国務長官との間においては,私が先日,楊潔篪国務委員と会談した,このやり取りについて私から報告をさせていただき,また米国側も中国との関係においてのさまざまなやり取りについて話しがありました。詳細は控えなければなりませんが,最近の中国の動きにつきましても日米外相電話会談の中でやり取りを行い,意思疎通を図った,こういったことでありました。
【記者】過去のパリ協定に代わる日米の協力する方向を探求したいというお話なんですけれども...
【岸田外務大臣】代わる?
【記者】気候変動に対する。
【岸田外務大臣】機構変動に対して,まず米国が離脱を表明したこと,これは残念なことであると,しかしこの気候変動問題において,米国の役割は大変重要であるという認識を我々は持っていますので,日米でこの気候変動について協力する,こういったことについては考えていかなければいけない,努力をしていかなければならない,こういったことを話しました。ティラソン長官からも気候変動問題の重要性については認識をし,日米でこの問題について連携していくということについては一致をした,こんなことでありました。
【記者】何か会議体を作るとか,そういうのとはまた別ですか。
【岸田外務大臣】詳細はこれからですが,この問題に対する重要性における認識を共有した,この問題について今回の発表がありましたが,日米の間で何ができるのか,協力をしていく道筋について話し合っていく,こういったことを確認した,そういうことです。