記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成29年5月29日(月曜日)8時05分 於:本省中央玄関)

冒頭発言

【岸田外務大臣】現時点での諸情報を総合的に勘案しますと,本日29日午前5時40分頃,北朝鮮東岸から弾道ミサイルが発射され,日本海の我が国のEEZ内に落下したと推定されます。詳細については,引き続き防衛省で分析中であります。
 先日行われましたG7サミットの議論の中で,北朝鮮は国際的な課題における最優先事項であるということ,そして重要な性質を有する新たな段階の脅威となっているということ,そして北朝鮮が即時かつ完全に全ての核・ミサイル計画を放棄しなければならず,G7が制裁などの措置を強化する用意があるということ,こういったことにおいて一致をしています。
 こうしたG7での議論,一致された事項がある中にあって,北朝鮮が3週間続けて弾道ミサイルの発射を強行したことは北朝鮮の核・ミサイル問題の平和的解決に向けた国際社会の努力を踏みにじるものであり,国際社会に対する公然たる挑戦です。断じて容認はできません。
 また,我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したことは,我が国の安全保障にとって重大な脅威であります。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は,一連の国連安保理決議等に違反するものであり,北朝鮮に対して,直ちに北京の「大使館」ルートを通じて厳重な抗議を行い,最も強い表現で非難を行いました。
 北朝鮮が核ミサイル開発を放棄せず,挑発行動を継続する以上,今は,対話ではなく圧力をさらに強化することが必要であり,中国の役割が重要です。
 私の方から出した指示としましては,G7サミットにおいても明確なメッセージが出されましたが,関係国とこうした認識をしっかり共有するということ,また,米韓と緊密に連携し,中国やロシアにもさらなる役割を求めながら,安保理を含め,北朝鮮に対する圧力を強化し,北朝鮮に対し具体的な行動を引き続き強く求めていくこと,こうした指示を出した次第です。
 そして,本日から中国の楊潔チ(よう・けつち)国務委員が訪日をいたします。午後には日本に到着すると承知していますが,私も明日,楊国務委員とお会いしたいと思います。本件についても是非しっかり話し合いたいと考えています。

質疑応答

【記者】圧力の部分についてですが,日本政府としては,国連の場では新たな制裁決議,これをどのように主導していくつもりでしょうか。また,独自制裁についてもどういう考えで臨んで行かれるのかお願いします。

【岸田外務大臣】まず今の段階で発せられている累次の安保理決議のしっかりとした履行,そしてそれぞれの国の独自措置の完全な実施,これをしっかり行っていくべきだと思います。その上で,国際社会,安保理におきましても,更に何が必要なのか,最も適切な対応につき議論していくということになると思います。国連安保理におきましても既に米韓の国連代表部とは既に接触を始めました。今申し上げたように,今の決議の履行と独自の措置の実施,これにしっかり努めながら,安保理の議論にも貢献していきたい,このように考えています。

【記者】関係国との連携の部分ですが,大臣自ら米韓,或いは中ロ等の関係国と会談する予定はあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほども少し触れましたが,既に様々なレベルで米韓等の関係国との接触,情報収集,意見交換を開始しております。その状況も見ながら,必要であれば閣僚レベルでの接触も考えたいと思いますが,今現在何か具体的に決まっているものはありません。

【記者】明日,楊国務委員と会談されるということですが,楊国務委員に直接,中国から北朝鮮への圧力を強化するよう要請されるのでしょうか。

【岸田外務大臣】圧力ということにおいて中国の役割が大変重要であると言うことについては,今年2月,そして4月,今年に入って既に2回日中外相会談を行っていますが,そうした考え方については中国側に申し入れをしております。楊国務委員ともそうした観点から北朝鮮問題について,しっかりと意見交換を行いたいと思います。

【記者】ミサイルの飛行時間とか飛行距離とか,その辺の話については・・・・

【岸田外務大臣】詳細については,今,とりあえず官房長官が公表していることは確認できていますが,それ以上については引き続き防衛省において分析していると承知をしています。詳細はそちらの正式な発表を待って頂ければと思います。

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