記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年5月23日(火曜日)9時28分 於:官邸エントランスホール)
英国マンチェスターのコンサート会場における爆発事件
【記者】イギリスのマンチェスターで大規模な爆発事件がありました。多くの死傷者が出ている報道がありますが,現地ではテロの可能性もあると言われていますが,現状,把握していること,邦人の被害等についてお願いします。
【岸田外務大臣】現地時間22日,英国マンチェスターのコンサート会場において爆発があり,複数の死傷者が出ており,現地当局がテロの可能性も含め,調査中であると承知をしています。まず,亡くなられた方々にお悔やみを申し上げ,そして負傷者の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
そしてご質問の邦人の被害についてですが,今現在,その邦人被害の有無について,在英大使館において確認中であります。
【記者】把握している情報は,今のところないということですか。
【岸田外務大臣】今のところ,被害についての情報は出ておりません。確認はしておりません。
北朝鮮による弾道ミサイル発射関連
【記者】続いて,北朝鮮についてです。度重なるミサイル発射を受けて,国連安保理で緊急の報道声明が出されました。まず,その受け止めについてと,一方で北はミサイルの量産も指示しています。こうした中で,石油の供給停止も含めた国連安保理での更なる制裁についての必要性についてのお考え,そして日本独自の制裁について,どのようなものが考えられるでしょうか。
【岸田外務大臣】23日朝,ニューヨーク時間で22日午後ですが,5月21日の弾道ミサイル発射を強く非難するとともに,更なる核実験及び弾道ミサイルの発射を行わないことを要求する安保理プレス・ステートメントが発出されたことを歓迎いたします。
今回のプレス・ステートメントは,北朝鮮による核・ミサイル開発を容認しないとの国際社会の一致した姿勢を示すものであり,引き続き,米国,韓国と緊密に連携しつつ,北朝鮮に対し挑発行動を自制し,安保理決議第2321号等を厳格に,そして全面的に履行することを強く求めていきたいと考えます。
また,日米韓の要請によってニューヨーク時間23日午前ですが,安保理緊急会合の開催が予定されております。
そしてご質問の更なる制裁,我が国の独自措置についてですが,今現状においては,しっかりと安保理決議の実効性の確保,そして我が国独自の措置の実施を徹底していくこと,これをしっかりと行っていくことを考えています。その観点から,例えば貨物検査法への,いわゆる「キャッチ・オール規制」の導入などについて検討を行っています。そしてその上で何が必要なのか,何が効果的なのか,こういった観点から検討を行っていくべきであると考えます。
【記者】国際社会として,北朝鮮に対する石油の供給停止等の新たな制裁を加える必要性について,どのようにお考えですか。
【岸田外務大臣】まず,圧力が必要であるということは,今回の弾道ミサイル発射を見ても,改めて強く感じています。そして今申し上げたように,安保理決議の履行,各国の独自措置の実施を徹底する,これを今しっかりやらなければならないと思っています。石油の輸出規制等は,その上での話ということになるかと思いますが,その上での話については,今申し上げたように,決議の履行や,措置の実施を徹底した上で,必要な今後の対応について考えていかなければならない,このように思います。
中国における邦人拘束関連
【記者】中国で3月2日,邦人6名が拘束されたままとなっています。日本政府として把握している違法行為とされる行為の内容について,また今後の対応についてお聞かせください。
【岸田外務大臣】本年3月に山東省及び海南省で,それぞれ邦人男性3名,計6名が中国当局に拘束された旨,中国側から通報がありました。政府としては邦人保護の観点から適切に支援をしております。詳細については,コメントは控えたいと思いますが,我が国としては,中国当局が国家の安全に危害を加えるものとして邦人を拘束する場合に,いかなる行為が規制されるのかが必ずしも明らかでないことを懸念しているということ,また司法プロセスにおいて,被拘束邦人の権利が適切に守られ,公平公正に取り扱われること,そして領事面会の実施など,日中領事協定に基づいた対応が引き続き確保されること,こうしたことについて厳正に申入れを行っている次第であります。引き続き政府としまして,邦人保護の観点から,適切な対応を続けていきたい,このように考えます。
「テロ等準備罪」関連
【記者】今日,衆議院では「テロ等準備罪」の新設法案が通過するかどうかという,山場を迎えているわけなんですけれども,改めてになりますけれども,条約を所管する外務大臣として,この法案の早期成立の必要性についてのお考えをお願いします。
【岸田外務大臣】法案の国会での審議,あるいは取扱いについては,国会の判断ということですので,私(大臣)の立場から何か申し上げるのは控えますが,ただ,今議論になっている法案,これは国際組織犯罪防止条約,世界187の国が既に締結をしている,そして国連の安保理や,国連総会において早期締結が求められている,こうした条約を締結する上において,必要な国内法であると認識をしております。そうした認識の下に,法案の取扱いを注視していきたいと思っています。