記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年5月16日(火曜日)8時48分 於:官邸エントランスホール)
北朝鮮による弾道ミサイル発射関連
【記者】16日には,今回のミサイル発射を受けて,安保理の緊急会合が開かれます。今回のミサイル発射を受けては,ロシアも強く非難していますけれども,緊急会合で日本はどのような議論を求める考えですか。追加制裁なども考えていらっしゃいますか。また,日本の役割をどのように考えていますか。
【岸田外務大臣】現地時間16日午後に,安保理の緊急会合を行うことが予定されていると承知していますが,その前にニューヨーク時間15日の午後,安保理のプレスステートメント,これが発出されました。4月29日,5月14日の弾道ミサイル発射を強く非難するとともに,さらなる核実験,及び弾道ミサイル発射を行わないことを要求する,こうした内容のプレスステートメントがまとまったことを,まず歓迎したいと思います。北朝鮮による核・ミサイル開発,これは容認しないという国際社会の一致した姿勢を示すものだと思いますし,こうした明確なメッセージを歓迎した上で,安保理緊急会合に臨んでいきます。
基本的に安保理各国,あるいは関係国と連携しながら北朝鮮の自制を求め,そして累次の安保理決議の遵守を求めていく,こうした基本的な姿勢を引き続きしっかり打ち出していかなければならない,このように考えますが,その中において具体的に何を求めるのか,これについては安保理の議論に先立って,予断をもって申し上げるのは控えなければならないと思います。米国,韓国等と連携しながら,しっかりすり合わせを行いながら,明確なメッセージを発するための具体的な措置を検討していきたいと思います。いずれにせよ,国際社会が一致している強い決意をもってこの問題に取り組んでいく,こうしたことを示せる形を各国とも連携しながら模索していきたい,このように思います。
【記者】今回の発射を受けて,大臣から直接アメリカに働きかけを行う考えはございますか。
【岸田外務大臣】アメリカについては,様々なレベルで働きかけを行っております。昨日もNSCレベルでの電話での意思疎通も行われました。そしてティラソン国務長官とは,この後,午前中に電話会談を予定しております。
自民党における新派閥の結成
【記者】昨日ですね,自民党の麻生派と山東派と天元会が合流を発表しました。党内で政権交代可能な二大派閥を作るんだと言っていますが,このことの受け止めと,宏池会として,これにどういうふうに関与するのか,それとも距離を置くのか,お考えをお願いします。
【岸田外務大臣】どう関与するのか,これはほかの派閥が合流したことですから,これは直接の関与はないわけですが,派閥の合流というのはあまり例がない,言ってみれば珍しいことではないかなと思います。その行方については関心をもって注視していきたい,このようには思います。
【記者】麻生大臣は,宏池会との合流も視野に入れていったと思いますけれども,宏池会としては,今後も宏池会単独で行動されていかれるお考えですか。
【岸田外務大臣】派閥間で切磋琢磨し,あるいは,ある時は協力し,いろいろな政治活動を考えていくことは,大変重要なことだと思います。他の派閥とも協力できるところは協力していくということで,友好的な関係を考える,これは大切なことだと思っています。それ以上,具体的なことは今何も決まってはおりません。
北朝鮮による弾道ミサイル発射関連
【記者】北朝鮮のミサイルに関して,プーチン大統領がロシアにとっての直接の脅威ではないと発言したと伝えられています。国連等で各国と連携して強いメッセージを出していくということが大事だと思うんですけれども,そういった中で,直接の脅威じゃないというふうなですね,少しその温度差が出ているような感じも見受けられるんですけれども,それについてどのようにお考えになるか,またロシアに対しても何かしらの働きかけをする考えはあるか,お聞かせください。
【岸田外務大臣】その発言の趣旨はよく確認はしていませんが,ただ,北朝鮮のこうした挑発行動は,地域,国際社会全体にとっての脅威であるという認識に基づいて,これまでも様々な取組が続けられてきました。ロシアは安保理の常任理事国ですし,六者会合のメンバーでもあります。ロシアも責任ある行動を取るべきだ,こうした議論は従来からもあったわけです。是非,安保理の場,国連の場等を通じて,ロシアともこの問題に共に取り組んでいく,こうしたことを考えていかなければならないとは思います。引き続きそういった思いで,安保理の議論や様々な国際的な議論の中で,意思疎通を図っていきたい,このように思います。
「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム
【記者】日中関係についてなんですけれども,中国が主張するAIIBや「一帯一路」などの国際秩序がですね,地域の平和と安定に貢献するのか、そういったものに対する日本政府の感想も含めて,大臣の考えをお聞かせください。
【岸田外務大臣】「一帯一路」についてはですね,二日間のフォーラムが終わったわけですが,地域の持続的な発展に貢献する上で重要な論点等について,各国の参加者の中で有意義な議論が行われたと承知をしています。二階幹事長が同フォーラムのハイレベル会議に出席され,「一帯一路」がすべての国に開かれたものであり,かつ国際スタンダードに適合した質の高いものとして推進されることを期待する,こうした発言を行いました。松村経産副大臣も別の発言機会において,同旨の発言をしたと報告を受けています。このフォーラムにおいて,まず日本の考え方,これをしっかり示したということは有意義であったと思います。見方としては,今の紹介した発言のとおり,すべての国に開かれたものであり,国際スタンダードに適合した質の高いものとして推進されることを期待される,こうした見方を日本としてしております。
AIIBについても,引き続き持続可能な発展に資するものであるかという点に関心を持ちながら注視をしていきたい,こうした従来からの方針,これは変わっていないと考えています。