記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成29年5月1日(月曜日)14時02分 於:トルクメニスタン・外務省内)
質疑応答
【記者】今回のマルチの会合の意義と,中央アジアという地域は中国,ロシアと歴史的にも関係が深いですし,また,中国は一帯一路のフォーラムも計画しているが,こうした状況・タイミングで会合を行う意義をどうお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,今回の中央アジア5か国との会合の意義ですが,中央アジア地域は,ユーラシア大陸の中央に位置しています。ロシア,そして中国,さらにはアフガニスタン,こういった国々に挟まれているという地政学的な観点からも,さらにはエネルギー安全保障やテロ・麻薬対策等,グローバルな課題に向き合っていくということにあたっても,国際的な繁栄さらには安定,こうしたことについて極めて重要な地域であると考えます。
日本は,域内の国々の安定と繁栄のために地域協力が不可欠であるという観点に基づいて,世界に先駆けて2004年に「中央アジア+日本」の対話の枠組みを立ち上げました。以来,開かれ,安定し,自立的な中央アジアの発展を支援するべく,様々な貢献を行ってきています。
その上で,今年は,中央アジア各国と日本が外交樹立して,25周年という節目のタイミングであったこと,更には2015年安倍総理が中央アジアを歴訪しています。そのフォローアップの機会ということを考えても有意義な会議であったと考えています。
中国の一帯一路,国際首脳会議を前にした,この時期に会議を開くことの意味というご質問もありましたが,今申し上げたように外交関係樹立25周年という大きな節目の年に今回の会議を開いたことは日本と中央アジア諸国との関係を一層強化する上で良い契機になったと考えており,「中央アジア+日本」の対話,これは地域協力を通じて,中央アジアの安定と発展を促すことを目的としているものです。要は,特定の第三国でのイベントを念頭にしたものではありません。あくまでも地域の協力を通じた安定,発展を目指すためのものであるということを強調しておきたいと思います。
【記者】バイの会談でも,マルチでも北(北朝鮮)について大臣から言及されております。この狙いと成果をお願いします。
【岸田外務大臣】今回の訪問を通じて,「中央アジア+日本」の対話の枠組みにおいても,また二国間会談においても,緊迫する北朝鮮問題について,私から各国外相に対して,働きかけを行いました。すなわち国連安保理にて北朝鮮の非核化について議論が行われたわずか6時間後に北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射したことは,国際社会に対する正面からの挑戦であり,断じて容認することはできないということ,北朝鮮に核・ミサイル計画を放棄させるために,安保理決議の実効性の確保を含め協力していきたいということ,こういった内容の働きかけを行いました。
そして,共同声明にも「中央アジア+日本」対話の歴史の中で初めて北朝鮮問題が盛り込まれました。内容としては,北朝鮮による核実験及び弾道ミサイル発射を断固として容認できず,受入れられない旨を表明し,この様な行為は地域及び国際の平和と安全に対する深刻な脅威であり,安保理決議の完全な遵守を断固として求めることで一致をする,こういったことを共同声明の中で確認することが出来ました。このことは国際社会が一丸となって北朝鮮に対応していくことを示す上で,大変重要であり,大きな成果となったと考えています。
また,拉致問題についても,初めて「中央アジア+日本」対話の共同声明で,その解決の重要性について強調する,こうした内容を盛り込むことが出来ました。こういった意義があったと受け止めています。
【記者】安保関連法に基づく米艦防護訓練が初めて行われました。さきほどおっしゃったように北朝鮮問題が新たな脅威だという中での今回の合同訓練の意義,意味合いについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】合同訓練の意義?
【記者】あとは強固な日米同盟を示す意味では象徴的な案件だったと思います。
【岸田外務大臣】合同訓練については,日米同盟の抑止力,そして対応力が強固であることを示す意味で,これは大変有意義なことであると思っています。日米の協力については,平和安全法制,更には日米ガイドラインの見直しの議論から始まり,地域の平和と安全を守るために,この対応力・抑止力を高めていく,こういったことが重要であるという考え方に基づいて様々な努力が続けられてきました。こうした合同訓練というのもこうした取り組みの一環であると考えています。合同訓練についてはそのように考えます。