記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年3月31日(金曜日)8時53分 於:官邸エントランスホール)
朴槿恵前大統領の逮捕
【記者】朴槿恵(パク・クネ)前大統領が逮捕されたんですけれども,これによって日韓合意の実効性が危うくなる可能性もあると思うんですけれども,受け止めをお願いします。
【岸田外務大臣】ご指摘の点については,基本的に韓国の内政の問題,それから司法手続の問題ですから,私(大臣)の立場から何か申し上げるのは控えなければならないと思いますが,言うまでもなく韓国は,我が国と戦略的利益を共有する最も大切な隣国であります。日韓関係の安定というものは,北朝鮮問題等を見ても,地域の平和や安定にとって不可欠だということを感じています。その中にあって,日韓合意についても,これは日韓両国が約束したものであり,国際的にも高く評価された合意でありますので,日韓は責任をもってこの合意を実行していかなければならないと思いますし,これは両国にとって国際的な責務でもあると考えます。現政権においても,これから誕生するであろう新政権に対しても,我が国としましては引き続き,粘り強く合意の履行を求め続けていかなければならない,このことは変わりはないと思っています。
再就職等規制違反
【記者】天下りの問題なんですけれども,元文科省の次官が,現在ブルガリアの大使ですけれども,辞意を表明されて,今日にも帰朝を発令するということなんですけれども,今後どのようなスケジュールで手続を進めていくということになるのでしょうか。
【岸田外務大臣】山中ブルガリア大使は,昨日の文科省の発表を受けて辞意を表明いたしました。そして私(大臣)としては,これを受理することとしたわけですが,そして今日にも帰朝を発令いたします。規定によりますと,発令してから40日以内の帰国という規定にはなっていますが,具体的な帰国の日時は外交日程や,相手国との関係によって決まってくると思います。その辺を見ながら帰国を行い,そして帰国後に辞職を承認することになります。具体的な日時はまだ決まっていませんが,今申し上げた規定等に則って,今後,事柄は進んでいくのではないかと考えます。
日本・中央アジア外相会合
【記者】一部報道でなんですけれども,ゴールデンウィーク中の5月にですね,日本と中央アジアとの外相会合ということで,トルクメニスタンを訪問という話が出ていますけれども,現在の調整状況等はどうでしょうか。
【岸田外務大臣】まだ,何も決まってはいません。中央アジアプラス日本の枠組みにおいて,今,議長国はトルクメニスタンである,これは事実であります。ですから次回の会合をトルクメニスタンで開催することになるとは思っていますが,ただ,それをいつやるかということについては,まだ何も決まってはいないと承知をしています。
日露共同経済活動
【記者】日露の共同経済活動について教えてください。昨日,日本側で2回目の会議が開かれたと思うんですけれども,各省庁で事業について具体的に議論していくことになると思うんですが,いつぐらいまでに議論の方向性を出そうとお考えになっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】昨日の会議については,3月18日に次官級協議を行い,3月20日に日露首脳会談を行い,両国間でやり取りがありました,そのやり取りを受けて,関係省庁,みな集まってもらいまして,今後の方向性等を確認した,こういった会議でありました。今後,日露間においては,4月下旬に安倍総理のロシア訪問を行いたいと思っています。ですからそれに向けて具体的な作業を進めていく,こういったことになると考えます。
金正男殺害事案
【記者】金正男(キム・ジョンナム)氏についての質問なんですけれども,昨日の夜,マレーシアの平壌に身柄が拘束ではないですけれども,留め置かれていた人と引き替えの形で遺体が北朝鮮の方に引き渡されることになり,政治的な手打ちがされたような形になっていて,今後の捜査が,どれだけちゃんとできるのかというのが危ぶまれている状況だと思うんですけれども,これに対して日本政府としてはどう受け止めていますか。
【岸田外務大臣】これは30日に,北朝鮮とマレーシアとの間の交渉の結果,双方は自国に滞在する相手国の国民の出国を許可することになった,このように承知をしています。また,マレーシア政府は死亡者の遺体を北朝鮮に返還することを承認した,このことも承知をしています。
第三国間のやり取りですので,直接コメントするのは控えますが,マレーシア政府は引き続き捜査を継続するということも表明していると,承知をしています。引き続き大きな関心を持って,情報収集にあたっていきたいと思います。
日米経済対話関連
【記者】一部報道で,日米経済対話に大臣も参加されるという報道もありましたけれども,進捗状況は…。
【岸田外務大臣】日米経済対話については,トップは麻生副総理とペンス副大統領であるということは両国で確認していますが,どの大臣が参加するとか,どういった陣容でやり取りするかということについては,まだ決まったとは承知していません。ですから,私(大臣)自身がどういう位置づけになるか等も,恐らく調整はしているのかもしれませんが,私(大臣)は承知はしておりません。ですから,報道の中身については私(大臣)は何も承知はしておりません。
【記者】日EU・EPAなんですけれども,来週,会合が開かれますけれども,それへの期待とか…。
【岸田外務大臣】これは再三,両国首脳間で確認をしていますが,早期の大枠合意に向けて努力をしていく,その方針は変わりませんし,私(大臣)もマルムストローム委員との会談において,このモメンタムをしっかり維持していこうということは確認をしています。引き続き努力を続けます。