記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成29年3月12日(日曜日)14時08分 於:熊本県熊本市)
冒頭発言
【岸田外務大臣】地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクト,今回が第3弾となりました。今回は,昨年4月に発生した地震で甚大な被害を受けた,ここ熊本県を訪問させていただきました。本日の訪問や地元の方々との懇談を通じまして,甚大な被害を受けながらも復興に向けて力強く取り組む姿に感銘を受けました。政府の一員として,熊本の復興と活性化に向けた協力を一層進めていかなければならない,こうした決意を新たにした次第であります。本日は熊本へ観光客を多く出しておられる各国の駐日大使やプレスの方々にもお越しをいただきました。復興の状況や豊かな観光資源を有する熊本に直接触れていただき,発信していただけるようお願いをしております。
また,先程,対日理解促進のための招聘プログラムで訪日した中国人学生の皆さんともお会いさせていただきました。こうした外務省の持てるツールを総結集し,早期に観光客が戻り,復興が軌道に乗るよう,力を尽くしていく所存であります。なお,本日はこの後,福岡においてシンポジウムを開催し,その後,地元経済界の方々とも懇談する予定にしております。今後も本プロジェクトによる地方訪問を継続し,地方の魅力をグローバルに発信するための取組を深化させていきたいと考えています。
質疑応答
【記者】南阿蘇鉄道と被災地である益城の屋台村をお伺いしての感想をお願いします。
【岸田外務大臣】今日はまず,南阿蘇鉄道に乗らせていただきました。その後,益城町にあります復興市場・屋台村を訪問させていただきました。移動の最中に阿蘇始め様々な場所を見させていただきましたが,その中で改めて,被害の大きさを痛感する一方で,復興に向けて多くの皆さんが力強く取り組んでおられる,こうした姿を拝見することができました。改めて,こうした努力に敬意を表し申し上げ,私も感銘を受けました。政府の一員として,しっかりと復興に努めていかなければならない思いを新たにした次第であります。そして,外務省としても是非,熊本の力強い復興,そして素晴らしい観光資源を世界に発信して,是非多くの海外からの観光客の皆さんに熊本に戻ってきていただけるよう努力を続けていきたい,このように考えます。
【記者】もう1点,先程,熊本県知事や熊本市長にもお話をされたと思うのですが,地震後,外国人の誘致が落ち込んでいるんですけど,どう取り組んでいくか,対策を考えておられることがあればお伺いしたいのですが。
【岸田外務大臣】熊本への観光客は,地震の被害を受けた後大きく減少し,そしてまだ残念ながら回復に至っていないと承知をしております。今回,「地方を世界へ」というプロジェクトの一環として熊本を訪問させていただきましたが,その際に熊本に多くの観光客を出している国々の大使の皆さん,外交団の皆さんにも同行していただきました。また各国のプレスの皆さんにも同行していただきました。こうした皆さんにも協力していただきながら,熊本の魅力そして復興の姿を世界にしっかり発信していかなければならないと思います。そして,こうした発信と合わせて,やはり人的交流というのも大変重要だと認識をしています。さきほども触れた中国人学生の皆さん,これはJENESYSという外務省の招聘プログラムによって,日本を訪問してくださっている皆さんですが,こうした人的交流のプログラムもしっかり進めることによって被災地に対する理解や発信にもつなげていただきたい,このように思います。是非,外務省として様々な発信プログラム,そして人的交流プログラム,こうした様々な資源を動員しながら,熊本の復興の姿や素晴らしい熊本の観光資源,この可能性を世界に発信するよう,これからも努力を続けていきたい,このように思っています。
さらに言うならば,それ以外にも外務省として日本の魅力を発信するための様々な動画を作成し,海外で放映等を行っていますが,熊本に関しては黒川温泉ですとかあるいは阿蘇の素晴らしい草原,豊かな草原,こういったものをテーマにした動画を作成して,去年の5月から9月にかけて在外公館等を活用しながらこうした映像を流す,こういったことも行ってきました。こういった取組みも是非進めていきたいと思っています。こうした様々な取組み,しっかりと総動員することによって,是非熊本に多くの海外からの観光客の皆さんを取り戻すべく,外務省としても努力を続けたい,このように思っています。
【記者】韓国について,今後,韓国では,大統領の罷免を受けて大統領選挙に突入していくと思いますけれども,次期政権のありようによっては対北朝鮮の日米韓の連携,この乱れを懸念する声もあります。週明け日米外相会談が予定されていますけれども,これで対北の連携,どのように話し合っていくのか。また日韓合意について,これも次期政権によっては見直すという可能性も出てきているかと思います。この点,アメリカ側に改めて日本の立場への理解を求めたり,あるいは韓国側への説得を依頼したり,どういった考えなのかお聞かせいただけますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず韓国は戦略的利益を共有する大切な隣国です。北朝鮮問題をとってみても,日本と韓国,さらには日米韓,こうした協力は大変重要であると認識をしています。是非,これから新しい政権がスタートしたとしても,新しい政権との間においても様々な分野の協力を続けていきたいと思っています。そして週明け,ティラソン米国国務長官が初めて日本を訪問します。ここ1か月ほどの間にティラソン国務長官とは3度,直接会って会談をするということで,日米の間で緊密な連携がとれていること,これは歓迎すべきことであり,今回の訪日も大変意義あるものと歓迎したいと思っています。その日米外相会談においては,北朝鮮問題等についてもしっかり政策をすり合わせ,そして戦略的な目標を共有していき,緊密な連携を確認したいと思っています。日米あるいは日米韓の協力もしっかり確認しなければならないと思います。その一環として,日韓の重要性もしっかり触れていかなければならないと思います。日米外相会談の具体的な中身については予断をもって申し上げるのは控えますが,その中で日韓関係,そして特に一昨年の日韓合意については,これは世界が評価した合意であり,日本と韓国両政府はこの合意をしっかりと履行する大きな責任を担っているということを,これからも我が国としては訴えていきたいと思っています。韓国にも訴えていきたいと思いますし,国際社会にもこうした日本の考え方を理解してもらうように努力をしていきたいと思います。
【記者】PKOに関してですけれども,先週末ですね,南スーダンから部隊撤退,これを決めました。これから支援というフェーズに移っていくと思うんですけど,日本政府としてはどういった支援を今後行っていくお考えなのか。それからPKO部隊の派遣もなくなると思うんですけど,PKOの派遣について,政府としてはどういうスタンスで臨むことになるんでしょうか。
【岸田外務大臣】南スーダンへのPKO派遣部隊については,5月末を目途に任務を終了することとなりました。しかしながら,積極的平和主義に基づいて,南スーダンの平和と発展のためにできるだけ支援を行う,このことは変わりはないと思っています。こうした観点から,今後は政治的なプロセスの進展を支援していくとか,包括的な国民対話を支援していく,あるいは人材育成を支援していく,さらには食料援助を含む人道支援,こうしたものも継続して,さらには強化していかなければならないと思っています。是非,これからも新たな段階を迎えつつある南スーダンの国づくりに積極的に貢献をしていきたい,このように思っています。特に南スーダンにおいては,深刻な飢饉について,先般,国連事務総長からも各国に支援のアピールがありました。我が国としましては,数日中に南スーダン向けの600万ドルの支援を含め,支援策をまとめて公表することを予定しております。是非こうした取組みをしっかり進めていきたいと思います。そしてPKO活動は,南スーダンの任務が終了しますと,一時期日本としての活動は途切れるわけですが,しかし国際平和協力に対する我が国の取組み姿勢は変わりません。是非国際平和協力という考え方に基づいて,日本として何ができるのか,国際社会をしっかり見たうえで日本としての具体的な検討策についても,これから引き続き検討を続けていきたい,このように思っています。