記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年3月7日(火曜日)8時53分 於:官邸エントランスホール)
北朝鮮による弾道ミサイル発射
【記者】北朝鮮のミサイルに関してなんですけれども,北朝鮮側からはですね,在日米軍を攻撃する部隊による発射という発表がありまして,日本を標的にしているという考えが明らかになっているんですが,これの受け止めと,政府として国連の安保理の場で,今どういった動きがあるのか,現状についてお願いいたします。
【岸田外務大臣】まず,一つ一つの報道や発言についてコメントすることを控えますが,我が国としましては,あらゆる事態に対応できるように警戒監視など,万全の体制を敷いていかなければならないと思います。そして安保理の動きについては,日米韓で議長国であります英国に対しまして,緊急会合の開催を要求いたしました。近いうちに開催する方向で調整をしております。
【記者】これまで北朝鮮は度々挑発行動を重ねて,その度に国際社会からも非難して,圧力をかけているわけですけれども,また今回,新たに挑発行為に及んだということで,今後,制裁の強化,これにどういうふうに取り組んでいくのか,あるいは日本のミサイル防衛とか,国防部分の強化,この部分についてもどうお考えなのか,併せてお伺いします。
【岸田外務大臣】北朝鮮に対する制裁については,北朝鮮の厳しい経済状況を考えますときに,一定の効果はあったし,あると認識をしています。そして重要なことは,今,採択されている安保理決議に基づく各国の制裁,対応がしっかり履行されることであると考えます。是非,引き続き関係国に対して,しっかりとした履行を求めていかなければならないと思いますし,履行につきましては,安保理に北朝鮮制裁委員会,あるいは専門家パネル等が存在します。こうした仕組を使っても履行を各国に促していかなければならない,このように思っています。
そして我が国独自の対応については,北朝鮮の反応等を見ながら何が最も効果的なのかという観点から,不断に検討していかなければならないと考えます。
そして我が国の安全保障の対応,これは我が国としてあらゆる事態に対応できるように万全を期さなければならない,これは当然のことであります。情報収集・分析と併せて,我が国の体制についても緊張感をもって準備をしていかなければならないと考えます。
【記者】安保対応について,あらゆる事態を想定して対応しなければならないということなんですけれども,自民党内ではですね,現在有していない策源地攻撃能力ですとか,ミサイル防衛についてもTHAAD(サード)等の導入について,より積極的になるべきだという意見もありますが,大臣としてはどのようなご認識をお持ちでしょうか。
【岸田外務大臣】今,指摘あったような課題については,自民党内でいろいろ議論があるのかもしれませんが,政府の立場については,従来から説明しているとおりであります。 我が国の立場は変わりませんが,その中にあっても我が国として,できること,充実させなければいけないこと,それは不断に検討を続けていかなければならないと思います。
日米電話首脳会談
【記者】本日ですね,朝に,安倍総理がトランプ大統領と電話協議されまして,北朝鮮問題について,連携して取り組むと発言されたと思いますけれども,その首脳レベルで確認されたことの意義,受け止めについて一言伺えますでしょうか。
【岸田外務大臣】まだ,私(大臣)も内容について細かく報告は受けていませんが,こういった事態にあたって,日米のトップが緊密に意思疎通を図るということは,大変重要なことであると思います。米国の東アジアの安全保障に対するコミットメントの現れではないかと受け止めています。詳細は,このあと確認をしたいと思っています。
日韓関係
【記者】日米とともに,日韓の連携も強めていかなければいけないということを強調されていると思うんですけども,一方で長嶺大使がですね,直接,問題とは別とは言え,一時帰国したままの状態が続いている状況というのは,これは安保面での協力と日韓の連携を強める上で,何か障害にはならないのでしょうか。
【岸田外務大臣】日韓の安全保障面における協力において支障がないように,今,対応をしています。長嶺大使の帰任については,今まだ何も決まっておりません。総合的な判断をします。