記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成29年2月10日(金曜日)15時00分 於:米国・ワシントン)

冒頭発言

【岸田外務大臣】本日午前ティラソン国務長官と初めての外相会談を行いました。時間は約30分でした。アジア太平洋地域の安全保障環境を中心に充実した意見交換を行うことが出来ました。日米同盟を一層強化し,様々な課題に共に取り組んでいくことで一致することが出来ました。
 会談の冒頭ではティラソン長官から先般の電話会談で確認したとおり,お互いを「レックス」,「フミオ」と呼び合おうとの発言があり,会談の最後には,今度は東京でゆっくり話したいとの発言がありました。
 このことに象徴されるように,とても良い雰囲気の中で,大変かみ合ったやりとりが出来ました。ティラソン長官の真面目で誠実な人柄を感じることが出来たと思います。個人的な信頼関係を築いていく,良い会談になったと考えます。
 そして外相会談に引き続きまして,日米首脳会談に同席をいたしました。率直で充実した議論だったと思います。共同記者会見で示されたとおり,揺るぎない日米同盟を世界に発信するすばらしい機会になったと思います。明日まで両首脳で更にじっくりと話を深めることになると思います。首脳間で親密な関係を築いていただきたいと考えます。

質疑応答

(記者)トランプ大統領もはっきりと尖閣諸島には日米安保条約の5条が適用されるということを明言されている訳なんですけれども,オバマ大統領の時代には,アジアのリバランスということを打ち出してきたんですけれども,結果としては,南シナ海への中国進出という結果に終わったんですね。今回,新しい新政権の日米首脳会談に参加されて,トランプ政権とオバマ政権の違い,そして南シナ海,東シナ海で新政権はどのような立場,役割を果たしてくださるという感じなのか,また,日本がどのような役割を果たすことが出来るのか,そのへんのお考えを伺えますでしょうか。

(岸田外務大臣)結論として,この東シナ海,南シナ海を含むアジア太平洋地域の安定というものは米国,日本の相互にとって,これは大変重要なことであるという認識,これは政権が変わっても基本的には変わらないと思います。そのために日米で協力し,連携し,そしてそれぞれ果たすべき努力を行っていく。これはこれからもしっかりと求められるところだと思います。ただ具体的にどういった行動をとるのか,対応するのか,これは政権の判断,そして,そもそも状況は刻々と変化する訳ですから,単純に比較することは出来ないでしょう。ただ先ほど言いました基本的な重要性の認識,そして基本的な姿勢は政権が変わっても同様であると感じていますし,そう信じています。

(記者)新しい政権の下でのアジア太平洋地域での取り組みというのは,何か新しいものを打ち出したということはないですか。

(岸田外務大臣)基本的なこの認識,そしてこの地域の安定の重要性,これについては新しい政権でも同様であるということはしっかり確認できたと思います。ただ状況が変化する中で新しい政権が具体的にどんな政策をとるのか,これは今後新政権が本格的に始動してから,様子を見ていかなければならないと思います。ただ基本的な認識や取り組みを確認出来たことは大変重要だと思いますし,是非日本もそうした認識を共有しながら,我が国として果たすべきことをやってかなきゃいけないと思います。

(記者)日本が果たすべき役割というものは,もし具体的に何かありましたら。

(岸田外務大臣)具体的にはこれは状況の変化を見ながら,そして米側とも認識を共有しながら考えていくべきものだと思います。今,何か具体的なものだけ一つ取り上げて,これをやります,やらない,やりません,そういうことはなかなか言えるものではないと思います。

(記者)TPPについてお伺いしたいんですけども,外相会談の中で大臣から戦略的,経済的意義,TPPについて説明をされたというふうに伺いました。まず,トランプ政権が離脱を表明している中でこれを取り上げられた理由と,さらにそのティラーソン国務長官から日米二国間の経済環境を発展させることの重要性について返答があったというふうに伺ったんですけれども,それはTPPへの否定ととるべきなのか,どういう意図と大臣はとらえられたのかという2点をお願いします。

(岸田外務大臣)まずTPPをなぜ取り上げたかということですが,当然のことながら新政権のTPPに対する立場は承知している訳ですが,TPPの戦略的意味合いに触れながら,TPPの戦略的,経済的意味合いについて述べたということであるということであります。我が国の基本的な認識や考え方を説明した,ということです。そして後半の方の質問,ティラソン長官の発言については,いずれにせよ首脳会議の方で今後経済対話を麻生副総理とペンス副大統領の下で議論を進めることを確認しているわけですから,こうした議論の中で具体的な有り様は決まっていくものだと思います。決して今までのやりとりを否定したとか,そういうものではないと思います。これから議論していく中にあっての基本的な考え方を長官は述べられたのではないかと認識します。

(記者)ティラソン長官の訪日なのですが,だいたいどのぐらいの時期になるのか,また,2+2についてですが,どのような課題でいつ頃開催されるのでしょうか。

(岸田外務大臣)ティラソン長官の訪日については,是非東京で話し合いましょうと長官の方から発言はありましたが,現段階で具体的な日時につきましては何も明らかになっておりません。2+2においては,従来から日米間の意思疎通として重視されていた枠組みであり,引き続きこれからも重視していくべき枠組みであると思いますが,これもまた日時等についてはこれからだと思っています。こうした2+2の重要性に対する意識は共有しているわけですから,できる限り早く2+2の実施についても調整を進めていきたいと思います。

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