記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年2月7日(火曜日)8時38分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)日米電話外相会談

【岸田外務大臣】本日,7時30分から15分間,国務長官に就任したレックス・ティラソン米国国務長官と電話会談を行いました。
 まず,私から,ティラソン国務長官の就任に祝意を伝えつつ,21世紀の世界の平和と繁栄には,米国の力強いリーダーシップが必要であるとして,地域の平和と繁栄の礎である日米同盟の重要性を強調しました。これに対しティラソン国務長官からは,謝意が表明され,互いに緊密に協力して,日米同盟の更なる強化に不断の努力を傾けること,また,近く会談を行うことで一致をいたしました。
 更に地域情勢に関するやり取りの中で尖閣諸島について触れ,ティラソン国務長官から,尖閣諸島は日本の施政下にある領域であり,日米安全保障条約第5条の適用範囲である,米国は,尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する旨発言がありました。マティス国防長官に続き,ティラソン国務長官がこうした立場を表明し,米国の外務・防衛当局が一致して明確に立場を明らかにしたことは心強く,この点を含め,良いスタートが切れたと思います。
 そして今後は,お互いを「フミオ」「レックス」と呼び合うことといたしました。本日のやり取りを通じて,ティラソン国務長官は,非常に誠実で,アジア太平洋地域と日米同盟の重要性をよく理解されている,こうした印象を受けた次第です。

(2)共同経済活動関連協議会

 昨年12月の日露首脳会談により協議を開始することとされた,北方四島における共同経済活動に関し,具体的案件を形成していくため,私(大臣),外務大臣を座長とする,関係省庁の代表者から構成される「共同経済活動関連協議会」を設置し,本日夕方,初めての会合を開催いたします。
 スピード感を持って,具体的な成果を出せるよう,政府一丸となって,しっかり取り組んでいきたいと考えます。

日米電話外相会談

【記者】先ほど,近く会談することで一致したとありましたけれども,10日のワシントンでの日米外相会談の調整状況はいかがでしょうか。また,先ほどの電話会談では10日の首脳会談に向けて,こうしたことを議論したいといった,そういった話はありましたでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,10日の外相会談については,まだ調整中です。私の訪米についても,まず国会の了承と手続を進めていかなければなりません。ですからまだ何も決まっていない,これが実情です。
 首脳会談に向けては,首脳会談に対する期待,こういったやり取りは行いました。しかし,詳細については控えたいと思います。

【記者】外相会談についても最終調整段階ということでよろしいでしょうか。

【岸田外務大臣】最終かどうか,調整中です。今,国会開会中でありますし,国会の了解もいただかなければ,私(大臣)自身,総理に同行することはできませんし,その辺も含めて全体として調整中であります。

日韓関係

【記者】韓国の大使の帰任の件なんですが,一時帰国から間もなく1か月という長期に及んでいますが,率直な受け止めと,今後の見通しについて改めてお願いします。

【岸田外務大臣】ご指摘の点については,対応,諸般の状況,総合的に検討し,勘案して判断していくことになります。いずれにしましても韓国政府に対して,粘り強く日韓合意の重要性,そして実施,これを訴えていきたいと考えています。現状,そこまでです。

日米電話外相会談

【記者】日米の方に戻ってですが,近く会談の調整ということで合意したということなんですけれども,今度,相対して,お会いになられて会談する際には,初の本格会談という形になるわけですけれども,どのような点を大臣としては,確認,あるいは強調していきたいというふうにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど言いましたように,近く会談したいと思っています。そして本日の電話会談,大変良い雰囲気で会談ができたと思っていますが,これから重要な日米同盟を更に深化・発展するために,ティラソン国務長官と私(大臣)との間の様々な意思疎通,あるいは協議,これは大変重要であると思います。その重要な対話の基礎である信頼関係をよりしっかりとしたものにしていかなければなりません。最初の電話会談は行いましたが,実際にはまだ会っていないわけですから,就任後最初の会談においては,まずはその土台となるしっかりとした信頼関係,人間関係を作っていくことが何よりも大事ではないか,このように思います。その土台をしっかり築いた上で,具体的な案件について一つ一つ対応していきたいと考えます。

共同経済活動関連協議会

【記者】先ほど発表のあった日露の協議会の関係なんですけれども,これは構成メンバーについてはどのようになっているのかが一つと,あと,スピード感を持って検討していきたいという話でしたが,総理の訪露やですね,各種外交日程も想定されるわけですけれども,どのぐらいのめどでまとめていくとか,そういうお考えはあるのですか。

【岸田外務大臣】構成メンバーはですね,私(大臣)が座長,世耕ロシア経済分野協力担当大臣が座長代理,そして野上官房副長官が副座長,その下に谷地国家安全保障局長,長谷川総理補佐官,秋葉外務審議官が総括をするという体制です。本日の会合には,関係省庁から,国家安全保障局,内閣府,外務省,財務省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,こうした各省の代表者が出席する予定になっています。
 スケジュール感については,ご指摘の総理の訪露,総理はできるだけ早く訪露したいという意向を持っています。それから9月の東方経済フォーラムの出席も予定されています。こうした政治日程を念頭に,議論を行うということだと思います。たちまち今日一回目を立ち上げて,事務レベルでの様々な努力を行い,その進捗状況を見ながら次回会合を考えるということでスタートを切りたいと思っています。

日米電話外相会談

【記者】ティラソンさんとの電話会談の中で,北朝鮮や南シナ海の問題については言及はあったのでしょうか。

【岸田外務大臣】地域情勢については意見交換を行いました。北朝鮮を始め,地域情勢については意見交換は行いましたが,それ以上,詳細は控えます。限られた時間ではありましたが,そういったやり取りは行いました。

日韓関係

【記者】慰安婦問題の関連なんですけれども,帰すタイミングというのは,政府として非常に見つけ出すのは難しい状況になっているのではないでしょうか。それについてはどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど言いました。今まだ何も決まっていません。そして総合的な検討を行った上で判断しなければならないと思います。引き続き,状況は注視していきたいと思いますが,韓国政府に対しては,粘り強い働きかけもしっかり続けていきたいと思います。

【記者】この場合,1か月を超えたことも特に外交の面では支障はないということなんでしょうか。大使が一時帰国が長引いているとしても。

【岸田外務大臣】是非,両国関係に支障がないように,しっかりと対応していかなければなりませんが,大使の帰国問題については,今,申し上げたとおりであります。

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