記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年11月25日(金曜日)8時26分 於:官邸エントランスホール)

日露関係

【記者】来月の日露首脳会談の前にですね,岸田大臣の訪露を調整されていると思うのですが,最新の調整状況を教えてください。

【岸田外務大臣】今年の9月,国連総会の際に行われた日露外相会談で,12月に予定されているプーチン大統領の訪日の準備の一環として私(大臣)が訪露をさせていただく,こういったことで一致をいたしました。その合意に基づいて調整を行っているところです。今,最終的な調整を行っております。できるだけ早く日程も確定したいと思っています。

【記者】今,準備の一環というお話がありましたけれども,大臣の訪露の位置づけですね,首脳会談を前にした位置づけ,あと,ラヴロフ外務大臣は領土問題で強硬な発言を繰り返していますけれども,ラヴロフ外務大臣を相手にして大臣の役回り,どういったものがあるとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】経済を始めとする幅広い分野を底上げする中にあって,四島の帰属の問題を解決し,平和条約を締結する,これが我が国の基本的な立場です。こうした基本的な立場に立って状況を前進させたいということで,首脳間において会議を重ね,そしてプーチン大統領の訪日も予定されているということです。その準備の一環として,私(大臣)の訪露も今,調整を行っているところですが,是非,平和条約締結問題についてもしっかりとした議論を行いたいと思っています。

核兵器禁止条約関連

【記者】核兵器禁止条約制定に向けた議論についてお伺いします。昨日,広島市長らが要請書を市長がいらして提出されたと思いますけれども,受け止め,まずお願いします。

【岸田外務大臣】昨日は,平和首長会議の国内総会においてとりまとめた要請書を頂きました。その中で,先日の核兵器禁止条約に関する決議について要請がなされたわけですが,我が国の基本的な立場,核兵器国と非核兵器国の協力の下に,現実的・実践的な取組を進めていく,こういった立場を説明させていただき,また我が国の立場は絶えず一貫しているということも申し上げさせていただきました。今後もその立場に基づいて,「核兵器のない世界」に向けて努力を続けていく,こういった説明をさせていただきました。

【記者】来年3月以降に,大きな議論が始まると思うのですが,核保有国,非核保有国の橋渡しをするという具体的な戦略というと,どういうふうに動いているでしょうか。

【岸田外務大臣】核兵器禁止条約について交渉が始まるということは,決議によって決定をいたしました。議論が始まるのであるならば,我が国の基本的な立場に立って,唯一の戦争被爆国として主張すべきことは主張すべきであると,こういった思いでこうした議論に臨んでいかなければならないと思っています。核兵器国と非核兵器国が協力しなければ具体的な結果にはつながらない,これはこれまで何度も痛感したところです。単なる議論ではなくして,具体的な結果を出すためにはどうあるべきなのか,そのために核兵器国と非核兵器国が協力することの大切さ,こういったものをしっかり訴えていくことによって,「核兵器のない世界」に向けての前進を図る,こうした態度で議論に臨んでいきたいと思います。

北朝鮮関連

【記者】北朝鮮問題についてお伺いします。報道でですね,安保理制裁について米中が合意したという報道がされています。来週にも非公式会合が安保理でも,もたれるのではないのかという話もありますが,最新の状況について現状認識を,まずお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】9月の北朝鮮の核実験を受けて,国連安保理におきましては関係国,安保理決議の採択に向けて様々な協議・調整が行われてきました。我が国も非常任理事国の一国として,米国を始め関係国と連携しながら,こうした協議・調整に貢献をしてきたわけですが,その調整・協議につきましては大詰めを迎えていると報告を受けています。ただ,大詰めを迎えると言いながら,まだ調整は続いておりますので,具体的な中身については今の段階では控えたいと思います。

【記者】あと,日本の独自制裁なんですけれども,安保理制裁の制裁メニューによって独自制裁についても影響を及ぼすと思うのですけれども,現在そちらの方の調整状況,あるいは制裁について決定時期についてはどのような見通しをもっていらっしゃるのでしょうか。

【岸田外務大臣】我が国の独自の措置につきましても検討は続けております。これはご指摘の安保理決議,あるいは他の国の独自の措置,こうしたものとの関係も考えながら最終的な決定をしなければならないと思います。是非,様々な状況をしっかり確認した上で我が国の措置を決定していきたいと思います。

【記者】日本の独自制裁というのは,安保理の決議が出たら速やかにというか,タイミング的にはどうお考えですか。

【岸田外務大臣】だからその辺のタイミングも他国の措置等も見ながら,適切なタイミングを考えていかなければならないと思っています。

日中韓サミット

【記者】日中韓についてなんですけれども,韓国国内では朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾決議に向けてですね,早ければ来月の頭にも弾劾決議案が提出されるのではないかという見通しがありますが,朴槿恵大統領が職務停止になると,日中韓サミットをする場合の出席にも影響を与えると思いますが,今のところ日本政府として現状をどのように,日中韓サミットについては対応をされていますか。

【岸田外務大臣】まず日本政府としましては,日中韓サミット,大変重要な会議であり,議長国として日中韓サミット,年内に開催するべく努力を続けています。韓国の情勢については,当然関心を持って注視をしておりますが,他国の内政のことであり,なおかつ予断をもって,私(大臣)の立場から申し上げるのは控えなければならないと思います。議長国としてサミット開催には引き続き全力で努力したいと考えます。

【記者】国務総理が出席しても日中韓サミットというのは,国務総理が出席するような形になったとしても…。

【岸田外務大臣】これは今申し上げましたように,他国の内政の話ですので,それを予断をもって申し上げるのは控えます。サミットの開催は重要だと認識をしているということであります。

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