記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年11月23日(水曜日)10時56分 於:宮城県松島町磯島)
冒頭発言
【岸田外務大臣】昨日朝,ここ東北地方において地震が発生し,そして津波が発生しました。影響を受けられました全ての方々に,心からお見舞いを申し上げさせていただきます。政府としましては,関係自治体ともしっかり連携しながら,対応に万全を尽くしてまいります。そして,こうした地震の直後でありますが,こうした復興を後押しすること,これは大変重要であるという認識の下に,今日は宮城県を訪問させていただきました。今回の訪問,これ地方の魅力をグローバルに発信する新たなプロジェクトを立ち上げるということで,プロジェクト、「地方を世界へ」というこのプロジェクトの第一弾としての取組であります。私自らが,各国の大使を始め,外交団の皆さんと共に,地方を訪れさせていただきまして,地方の方々と対話をさせていただくなどを通じて,地方の魅力を世界に発信し,そしてそのことが地域の更なる活性化につながっていく,こうしたことを目指すものであります。
外務省としましては,こうした取組に加えて,昨年3月,仙台で開かれました国連防災世界会議の結果を踏まえて,国際的な防災協力にも一層,力を尽くしていきたいと考えております。そして,本日のこの取組ですが,この後,東北大学におけるシンポジウムを行い,地方産品の販路拡大,訪日観光の促進,そして国際交流の促進,この3つの柱からなる我が国の地方の魅力を世界に発信するための新たなアクションプランを発表させていただきたいと考えます。外務省としましては,来年以降もこうしたプロジェクト,取組,一層進化させながら継続をしていきたい,このように考えております。
そしてもう1点,冒頭発言させていただきます。本日23日ですが,ソウルにおきまして,日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)への署名を行いました。北朝鮮の核ミサイル問題の進展,これは今までとは次元の異なる脅威となっています。日韓の安全保障分野での協力,これまでにも増して,今,重要性が高まっています。このような状況の中で,本協定が本日締結されましたこと,これは大変重要な意義を有していると考えます。この協定により,日韓両政府間で更に円滑かつ迅速な安全保障関連情報の交換が行われることが期待されます。
質疑応答
【記者】今日このお祭りをご覧になって,また,牡蠣も。お食べになってですね,復興の状況としてはどのようなふうにお感じになったのか所感をお願いします。
【岸田外務大臣】実際の復興に関しましては,まだまだ多くの皆さんがご苦労されて,ご努力をされていると承知はしておりますが,今日,祭りのこの会場に来させていただきまして,皆さんの大変明るい笑顔に勇気づけられるような気がいたします。皆さんの元気も感じさせていただいています。是非,こうした祭りを通じての,皆さんのこうした元気や明るさを一つのエネルギーとして,復興が一層進むことを期待していますし,政府の関係者としましても,こうした皆さんの姿をしっかり見させていただき,感じさせていただきながら,政府の立場から復興について努力も続けていかなければならない,こんなことを感じています。
その際に,やはり地元の皆さんの思いを直接聞かせていただく,思いを共有させていただく,こういったことが大事だと思います。今回のこのプロジェクトは,私自身,この外交団の皆さんと共に現地に足を運ばせていただき,地方の魅力を世界に発信するというと取組であり,こうした地元の皆さんと直接触れさせていただく機会としては,これは大事な取組の一つになるのではないかと期待をしています。
【記者】今日はご覧になったばかりなんですけど,改めて外務省として,世界に発信する上で,どのあたりが宮城の祭りに限定しちゃうと難しいかもしれませんけど,どのあたりが強みであり,武器であるなというのを今日は大使館の方々の反応見ながらお感じになられましたか。
【岸田外務大臣】外務省の大切な役割として,日本の魅力を世界に発信するということがあるわけですが,日本の地方には,いろんな個性があって,いろんな特色があります。この地方の魅力を海外に発信することこそ,日本の魅力を世界に発信する大変重要な取組ではないか。そういったことから地方に焦点を当てて,これまでもいろんな取組をしてきました。この地方の,魅力そして特色,あるいは強み,こういったものを実際,足を運ばせていただくことによって,より直接,実感として感じさせていただく。こういった機会になればと思って,今日,来させていただいていますが,この魅力というのは本当に,些細なこと,いろんなところに存在します。是非,こうした触れあいを通じまして,この小さな魅力でもですね,海外の方から見ると素晴らしい魅力に見えることがたくさんあります。こうした多くの魅力を探しだす機会にもさせていただければというふうに思います。そして,地方の皆さんには,是非,それぞれの地方が持っている魅力,自信を持ってアピールしていただければ,我々もしっかりとそれを世界にアピールするべく努力をしていきたいというふうに思っています。
【記者】もし,ワンポイントでもその魅力でも一端を教えていただければ。
【岸田外務大臣】地方にはそれぞれ魅力がありますから,その中から一点というのはなかなか難しいですが。
【記者】例えば,この祭りだとか。
【岸田外務大臣】これは,その中でやはり日本の魅力の中で,「食」,日本食は世界無形遺産にも登録されましたし,今,世界中で日本食ブームが起こっています。ただ,日本食と言っても海外から言いますと,割合,定番の,お寿司であったり天麩羅であったり,こういったものが有名ですが,ただ,「食」,今日のカキを始めですね,地方には「食」においても大変なバラエティがありますし,いろんな魅力があります。このオーソドックスな日本食に限らない,地方の「食」の魅力,これも世界にアピールする大変重要なポイントなのではないか,そんなふうに思います。【記者】日露関係なんですけども,ロシアのメディアが国後,択捉に地対艦ミサイルを配備したということが出ていました。これに対して,日本政府として何か対応されているんでしょうか。また,プーチン大統領が来月訪問するということで,領土交渉が本格化する中で,こうした動きが出たということは,どのように受け止めているんでしょうか。
【岸田外務大臣】北方領土を巡るご指摘の動き等については,もちろん承知をしておりますし,こうした動きにつきまして今後とも注視をしていきたいと思います。そして,こうした問題が指摘をされているわけですが,こうした問題を解決するためにも,北方領土問題,これをですねしっかりと解決していかなければならないという思いを強くしています。北方領土問題を解決して平和条約を締結する,戦後71年経った今日までですね続く,日本外交にとって最大の外交課題の一つです。是非,これを前進させたいということを強く思っています。そのために12月に予定されていますプーチン大統領の訪日に向けて,しっかり準備を続けていかなければならないと考えます。
【記者】政府として抗議などの動きはないんでしょうか。また領土問題解決の前進に向けては,影響はないという受け止めでしょうか。
【岸田外務大臣】そうした動きについては,しっかり注視をしていますし,確認した上で,適切な対応を考えていきたいと思っています。いずれにせよ,北方領土問題全体を動かしていくことが重要であると思います。その際に,そうした現地における具体的な動き,これも注視した上で,それを念頭に対応を考えていきたいと思っています。
【記者】今回は地方から世界へということで,初めてのプロジェクトだと思うんですけども,外務省として,政治家の岸田大臣としても,国内に活動を知らしめるいい機会だと思うんですが,今,離党問題で二階幹事長との意見の対立などありますが,今後,総理を目指す派閥の会長として,どのような思いがあるのか改めてお考えを伺いたいのと,今後,どのように二階幹事長との意見対立に関して対応していくのか,お聞かせください。
【岸田外務大臣】まず,今日の取組は我が国の外務省として地方を世界に発信していく,こうした取組であります。そして,この取組,こうした地方を世界に発信する取組は今日までも飯倉公館や在外公館を使いながら続けてきた取組であり,それを一歩これは前進させて,こっちから自ら足を運んで地方を世界に発信していこうという取組であります。こうした外務省としての取組の一環であるということ,これはしっかり強調していきたいと思います。
その中で,二階幹事長との確執という話がありましたが,昨日も党本部に足を運びまして,二階幹事長と話をさせていただきました。同じ自民党の人間として引き続き,党政拡張のために、あるいは国政発展のために努力をし,協力をしていきたいというふうに思っています。以上です。