記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成28年11月18日(金曜日)14時11分 於:在ニューヨーク日本国総領事公邸)

冒頭発言

【記者】まず,今日の会談の内容ですが,特に一致点やまた興味深かった点をお願いします。

【岸田外務大臣】先ほどまで,ハース外交問題評議会会長と昼食をとりながら意見交換を行いました。ハース会長はトランプ次期大統領にもブリーフをしている著名な国家安全保障の専門家の一人であり,日米同盟の良き理解者でもあります。私からは世界の経済成長の原動力であるアジア太平洋地域の平和と安定は日米にとっての利益であり,厳しさを増す地域の安全保障環境に日米が結束して対応することが重要であることなど,日米同盟の意義について話をさせていただきました。それに対してハース会長からは,まず,昨日のトランプ次期大統領と安倍総理の会談については誠に時宜を得た良いタイミングで行われた会談であった,大変よかったという評価があり,さらには,ロシア,中国,北朝鮮について,有益な意見を承り,そして有意義な意見交換ができたと受け止めています。トランプ政権の発足を念頭に幅広い問題について忌憚なく有意義な議論を行うことができたと思っています。

質疑応答

【記者】冒頭ですね,我々が入っていた中でも(先方から,トランプ次期大統領と安倍総理の会談は)時宜を得たものであったとの発言がありましたけれども,どういう意味あいでハース会長は有意義であるという点を紹介したのか,ご紹介していただけたらと思うんですが。

【岸田外務大臣】早い段階で日本の考え方,立場をインプットする点において有意義であるという風にいっておられました。

【記者】また,今日は中国,北朝鮮,ロシア,それぞれですねどのような政策をとっていくのか,ハース会長から見方が示されたんじゃないかと思うんですが,その点についてお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】今日の意見交換は内容については公にしないという約束の下にお話させていただきました。結果として大変具体的な突っ込んだ意見交換ができたと受け止めていますが,結果としてこうした公の場でお話をさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。

【記者】今日,国家安全保障担当大統領補佐官にマイケル・フリン氏が指名されるということが発表になりました。それに対する受け止めと,また,昨日,総理とトランプ次期大統領との会談を踏まえ,次期トランプ政権との間でどのような外交・安全保障政策を進めるか,岸田大臣からどのように現時点で見ておられるかお伺いしたいと思います。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の,今回,国家安全保障担当大統領補佐官に指名されたフリン氏ですが,様々な機会に日米同盟の重要性について言及している方であるということは承知しています。日米同盟は言うまでもなく我が国外交にとりまして基軸であり,フリン次期国家安全保障担当大統領補佐官とは私の指示ですでに十分な関係を構築してきており,今後一層の関係強化に努めていきたいと考えます。そして,昨日のトランプ次期大統領と安倍総理の会談についてですが,昨日の会談,大変暖かい雰囲気の中で行われました。両者間で時間をかけて様々な課題について率直な意見交換が行われたと聞いています。時間をかけてと申し上げましたが,当初45分の予定であったものが,結果として1時間30分,予定の2倍の長さに及んだという報告を受けています。今後両国の首脳間で強い信頼関係を築いていく上で大きな一歩を踏み出す良い会談で会ったと考えています。この点についてはトランプ次期大統領もfacebookで大変良かった,という評価をしておられると聞いています。そして,この会談が次期政権の政策につながるのかどうか,という話ですが,これはまさに今の段階で具体的な政策について予断を持って申し上げるのは控えるべきだと思っています。

【記者】関連になりますけども,トランプ次期大統領,これまでの選挙戦中日本に対してわりかし厳しい発言とってこられたわけですけども,昨日の会談を受けまして総理から,トランプ氏に対して信頼できる相手だとこういった発言まで出てきたわけですけれども,トランプ氏の対日政策について不安感というものは,今日も含めてでいいんですけれども,払拭されたと考えていいのでしょうか。

【岸田外務大臣】これはもう従来から申し上げているように,トランプ次期大統領,選挙期間中いろんな発言をされておられるということについては承知をしています。ただ具体的にどういった政策を進めるかということについて,今の段階で申し上げることは控えるべきであると考えます。今の段階ではそういった対応をしていくべきだと思います。

【記者】大臣ご自身は総理と同じ見解でトランプ氏は信頼できるとお考えですか。

【岸田外務大臣】日本政府としてそういう見解でおります。

【記者】信頼できるということでしょうか。

【岸田外務大臣】もちろん総理の受け止めについて報告を受けております。日本政府としてそういった総理が受け止められたということを承知しておりますし,そうした受け止めを基にこれからしっかり両国関係を具体的に進めていかなければならない,このように思っています。

【記者】ちょっと重なりますけれども,まだ国務長官,カウンターパート決まっていませんけども,その方とどのような関係を築いていかれるおつもりでしょうか。

【岸田外務大臣】新しい政権になったとしても従来どおり日本外交にとって日米同盟は基軸であります。そして,日米両国は戦後71年間,自由,民主主義,法の支配,人権といった基本的な価値に基づいて,この日米同盟をしっかりと構築してきました。そして今,しっかりとした関係を築くことができたと思います。こうした歴史の積み重ねに基づいて,より一層この大切な日米同盟を発展させていかなければならない,こういった思いは日米で共有していくことができるのではないか,このように思っています。是非そういった思いで日米同盟,しっかりと前進させていきたいと考えます。

【記者】昨日の会談について確認なんですけど,総理と何か話し合いをされたのか,もしくはそれを受けて総理から何か。

【岸田外務大臣】総理とは直接話はしておりません。総理は今日の早朝,ニューヨークからリマへ出発されました。私はリマからニューヨークへ入ってきました。直接は話はしておりませんが,内容について報告はしっかりと受けております。報告に基づいてこれからしっかり対応を考えていきたいと思っております。

【記者】海外メディアでなぜ日本は急いでトランプ次期大統領に会ったのかという論調がありますが。

【岸田外務大臣】急いでではなくして,今まで構築してきた人間関係の上に立って,こうした会談を持つことができました。結果として世界が注目する会談につながったと思っています。

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