記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年11月1日(火曜日)8時46分 於:官邸エントランスホール)

日露関係

【記者】昨日の,ロシア経済分野協力推進会議で12月の首脳会談成功に向けて準備加速が指示されました。APECも控えていますが,大臣のロシア訪問の調整状況はどのようになっていますでしょうか。またプーチン大統領は,日本との平和条約の締結交渉について期限を定めるのは不可能と述べ,また今朝の報道では,ロシアの上院議長が二島返還で決着すべきとの考えも示して,日本側を牽制した形ですが,大臣としてどのように対応する考えでしょうか。

【岸田外務大臣】まず1点目ですが,12月のプーチン大統領の訪日を念頭に,経済分野そして政治分野,様々な調整・準備を今進めています。そしてその中で私(大臣)自身としましては,11月中に日露貿易経済政府間委員会,シュヴァロフ露第一副首相を日本にお迎えして,開催することを考えています。また準備の一環として,私(大臣)自身事情が許せば訪露して,ラヴロフ外相との外相会談,行いたいと考えていますが,その時期等につきましては,プーチン大統領の訪日の準備の進み具合によって決まってくるものであると考えます。よって,その具体的な日時については,まだ確たるものを今申し上げることは難しいと考えています。
 2点目のご質問ですが,様々な発言等について報じられていること,当然承知をしております。ただ日露首脳間においては,戦後71年たった今に至っても,隣国同士平和条約を結んでいない,こういった状況は異常な状況であるということで一致をしています。日本政府としましては,四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する,この基本方針に全く変わりはありません。この基本方針に基づいて,粘り強く引き続き交渉を続けていきたいと考えます。

日韓秘密情報保護協定(GSOMIA)

【記者】今日,日韓GSOMIAについて実務協議が始まりますが,早期締結を目指すお考えだと思いますけれど,どのように調整していくお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘のように,本日,日韓間で協議を行います。そして北朝鮮の核・ミサイル問題等を考えますときに,日韓間の安全保障上の協力,大変重要であると認識をしています。よってご指摘のGSOMIAの早期締結を含めて日韓間の安全保障協力,是非しっかりと進めていきたいと思っています。ただ具体的な今後の日程については交渉次第でありますので,いつまでとか,今の段階で何か確たるものを申し上げるのは控えたいと思います。是非,日韓間の安全保障協力の重要性にかんがみて,こうした取組は進めていきたいと思っています。

東シナ海資源開発問題

【記者】東シナ海のガス田開発をめぐって,新たな動きがと報じられています。現状の認識と,あと政府の対応,お願いします。

【岸田外務大臣】東シナ海の日中中間線の中国側海域において,中国が移動式掘削船を停船させ,何らかの作業を行っている,こうしたことを確認しており,海上保安庁は付近航行船舶の安全を確保するため,10月28日に航行警報を発出いたしました。これまでも累次の申入れにもかかわらず,中国側が日中間の海洋の境界,まだ確定していない状況において一方的な開発に向けた行為を継続していること,極めて遺憾に思っています。外交ルートを通じ,中国側に今回の件についても直ちに抗議を行いました。これまでも我が国としまして,中国側に対してこうした試みを中止するよう,強く求めてきており,今後も求めていきたい,このように考えます。

イラクにおける邦人渡航者の拘束疑い事案

【記者】ジャーナリストの常岡浩介さんがイラクで拘束されたとの報道があります。現時点で政府として把握していること,常岡さんの容態と安否も含めてお願いします。

【岸田外務大臣】常岡氏は現在,クルド地域政府当局に拘束されていると承知をしています。政府としましては,邦人保護の観点から必要な対応を行っています。在イラク日本大使館から領事面会を申し入れるなど,必要な対応を行っているところです。そして今現在,本件については現地当局において取調中でありますので,詳細については控えたいと思います。いずれにせよ政府としましては,邦人保護の観点から必要な対応を行っているところであります。

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