記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年10月21日(金曜日)9時30分 於:本省会見室)

冒頭発言

日米韓次官協議及び日印外務次官対話の開催

【岸田外務大臣】今月27日に,東京において日米韓次官協議を開催いたします。昨日も北朝鮮が中距離ミサイル「ムスダン」と推定される弾道ミサイルを発射し,失敗するなど,挑発行動を続ける中,北朝鮮問題への対応を中心に,3か国の緊密な協力を3か国の次官で確認する考えです。また,28日には,インドのニューデリーにおいて第12回日印外務次官対話が開催され,モディ首相訪日に向けて,幅広く意見交換を行う予定です。

ドゥテルテ・フィリピン大統領の中国訪問

【フジテレビ 藤田記者】現在,中国を訪問中のフィリピンのドゥテルテ大統領が会見で,アメリカとは軍事的にも経済的にも決別するという発言をしています。日本にとってもこの地域での安全保障上,フィリピンとアメリカの関係が悪化することは,ふさわしくない,良くないという考えかと思いますが,この発言を受けてどのような受け止めをされているでしょうか。

【岸田外務大臣】ドゥテルテ大統領,様々な発言をされておられます。様々な発言について様々な評価がされていますが,我が国としては,来週,ドゥテルテ大統領のご訪日を予定しています。是非,直接お話を伺い,意思疎通をすることが大切であると考えます。私(大臣)も初日の25日,ドゥテルテ大統領と夕食会を予定しております。直接お話をしながら,しっかり意思疎通を図っていきたいと考えます。

【読売新聞 森藤記者】ドゥテルテ大統領は習近平(しゅう・きんぺい)国家主席との会談の中で,南シナ海の問題に関して対話の道に戻ることで合意したということで,これは事実上の棚上げという見方もあります。来日を控えている中で,今後日本としてこの南シナ海問題をどう取り上げていくのかということと,この習近平国家主席との会談での南シナ海問題の対話の道に戻ることの合意への受け止め,お願いします。

【岸田外務大臣】ご指摘の点,比中仲裁判断を一時的に棚上げするということについて,中国側が明らかにしたという報道は承知しております。8月に私(大臣)はダバオでドゥテルテ大統領とお会いをいたしました。表敬をさせていただき,直接話をさせていただきました。その際には海における法の支配の重視ということで一致をしております。いずれにせよ是非,来週,ドゥテルテ大統領をお迎えした際に,日本側としましても,しっかり意思疎通を図ることをしていきたいと思います。私(大臣)も先ほど申し上げましたように,夕食会等で直接お話をする機会があります。しっかりと意思疎通を図っていきたい,このように思います。

【時事通信 市川記者】安倍総理とドゥテルテ大統領との会談の中でも,南シナ海問題で中国に対して,一致して対応していくことを求めていかれるのでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げましたように,これまでも日本とフィリピンの間においては,海における法の支配の重要性については一致をしていると考えています。そして来週,首脳会談でどんなやり取りをするのかということについてですね,私(大臣)の立場から首脳会談での中身について,何か予断を持って申し上げるのは控えるべきだと思います。いずれにしましても,首脳間でしっかりとした意思疎通を図ることは大切であると考えます。忌憚のない意見交換が行われることを期待したいと思っています。

TPP協定関連

【朝日新聞 小林記者】TPPのことで質問なんですが,現在,野党側となかなか調整がつかない状態だと思うんですが,そのきっかけとなった山本農水大臣の強硬採決をめぐる発言についての受け止めと,今国会中の成立を目指すにはなかなか採決のタイミングが難しいと思うんですが,大臣として採決のあり方についてどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】まず山本大臣の発言については,山本大臣自身がTPPの委員会の場,公の場においてご自身がその発言を撤回し,そして謝罪をしています。そして審議のあり方については基本的に国会で判断されることではありますが,政府としましてはTPP協定についてご承認をいただくべく,十分な審議をしていただくために,引き続き丁寧にしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。

米国大統領選挙

【朝日新聞 下司記者】アメリカの大統領選のことでお伺いします。昨日,3回目の討論がありまして,特にトランプ候補から日本の負担についての言及がありました。このことについての受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】基本的にはアメリカ大統領選挙,引き続き選挙戦が行われています。その一人の候補の発言について具体的に何か申し上げるというのは,政府の立場,あるいは私(大臣)の立場からは控えなければならないと思います。それ以上,具体的なことに触れるのは控えます。

自民党総裁任期延長関連

【NHK 瀧川記者】外交とは異なる質問で恐縮なんですけれど,2点ほどお聞きいたします。自民党で行われている総裁任期延長の議論,大詰めを迎えてまして,任期6年が延長されるのが確実になっております。まず,この議論の受け止めと,それからポスト安倍の有力な一人とされている大臣ですけれども,今後総裁になられてどういったことに取り組んでいきたいのか,その点の考えをお聞きしたいと思います。

【岸田外務大臣】まず,総裁任期については,まだ引き続き議論が行われていると承知をしています。平場での議論も行われることが予定されていると承知をしています。議論が続いております。議論を注視していきたいと思っています。それから選挙にあたって,総裁になって何をやりたいか,仮定のご質問にはお答えを控えさせて頂きます。

【NHK 瀧川記者】ご自身の長所というか,強み,それからウィークポイント,それぞれ大臣としてはどういう点にあるとお考えですか伺えますでしょうか。

【岸田外務大臣】強みはですね,政治家をやっておりますと色々なことがありますが,何事も前向きにとらえようと努力をする,前向きにとらえる,これは長所だと思います。短所はですね,時々用心深く慎重になる,そういった面がある,以上です。

北朝鮮関連

【毎日新聞 小田中記者】1点目,北朝鮮問題の関係でなんですけれども,先ほど,日米韓次官協議を開催するということでお話しがありましたが,安保理制裁については現在,議論が続いていると思うのですけれども,当初ですね,日米韓で独自制裁についても協調した姿勢が重要ではないのかというお話がありました。その点について,今どういった議論がされているのか,どういった検討されているのかというのが一つと,あと昨日ですね,参院外防委員会の方で質問でセカンダリーサンクションについて質疑があった際に,大臣の方から参考にしつつ検討をしたいというお話がありましたが,具体的な検討状況についてお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,基本的には安保理において新たな制裁を含む新たな決議の採択に向けて,今関係国と連携しながら努力を続けています。そしてそれと並行しながら我が国としましても,独自の措置についても検討を続けています。検討,その中身ですが,今現在も我が国は,北朝鮮に対して独自の強い措置を実施しています。その拡充等も含めて,そして今ご指摘の委員会でのやり取りも含めて,あらゆる可能性について,今検討をしているというのが現状です。
 タイミングは国連安保理の決議の採択の状況,あるいは他の関係国の独自の措置の状況等も見ながら,最も効果的なタイミングを考えていかなければならないと思っています。そういったことを考えながら,今,引き続き検討を行っている,これが現状です。

日本シリーズ

【毎日新聞 小田中記者】もう1点,全く外交関係なくて恐縮なんですけれども,明日から日本シリーズが始まりまして,ご地元の広島東洋カープが25年ぶりに日本シリーズ進出になったわけですけれども,ご地元の代議士として期待するところ,エールがあればお伺いできますか。

【岸田外務大臣】地元としては日本シリーズ出場25年ぶりですが,日本シリーズ制覇は確か32年ぶりだったかと思います。是非,日本シリーズ制覇,日本一目指して選手の皆さんには頑張っていただきたいと思いますし,地元あげてしっかり応援をさせていただきたいと考えています。日本一になることを我々は信じております。

国連総会における核兵器禁止条約関連

【朝日新聞 武田記者】今,ニューヨークで開かれています国連総会の第一委員会,ここでの核軍縮の議論について2点お伺いします。一つは,オーストリアとかメキシコがですね,核兵器禁止条約の交渉開始決議というのを提案しています。これは40か国ぐらいが共同提案国になって日本も賛同を求められているんですが,広島,長崎からも賛同の要望があるというところなんですが,これに対しての対応をどうされるか伺いたいと思います。もう1点は日本が出している決議なんですが,去年は米仏が棄権をして核兵器国からの賛同というのが得られなかったんですが,今年の見通し,手ごたえを教えていただけないでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の第一委員会での決議の採択については,我が国を含めて各国が,関係国が決議の提出を行っています。我が国としてまず考えなければならないのは,我が国が提出した決議にどれだけ多くの賛成を得ることができるのか。そしてご指摘のように,核兵器国の賛成というのも大変重要なことだと思います。基本的に核兵器のない世界を目指すにためには,核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を出すことはできないという基本的な立場,これは従来から再三強調してきたところです。そういった立場に立った際に,まず我が国の決議に多くの賛成国を得るべく努力をする。そして核兵器国の協力もできるだけ得るように努力をする。これがまず第一だと思います。
 その上で,他国の提出した決議への態度は,今申し上げた核兵器国と非核兵器国の協力を実現する観点からどうあるべきかを考えていくことになると考えます。いずれにしましても,まずは我が国の決議への賛成をより多く得るため,しっかり努力を続けていきたい,このように考えます。

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