記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年10月7日(金曜日)9時39分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

日露戦略対話の実施

【岸田外務大臣】9月の国連総会の際の日露外相会談において,私(大臣)とラヴロフ外相との間で,日露間の外交当局間の対話を更に緊密化するという観点から,日露戦略対話を実施することで一致をいたしました。これを受けて日程を調整してきたところ,10月13日に本対話をモスクワで行うこととなりました。
 日本側代表を務める杉山次官には,チトフ露外務省第一次官との間で,日露双方が戦略的関心を有する喫緊の国際問題及び二国間問題について,大所高所から話し合ってもらいたいと考えています。

日露関係

【記者】ロシア外務省の報道官が北方領土問題について,四島はロシアに帰属するもので,ロシアが主権を有することに何ら疑いの余地はないという趣旨の発言をされたんですけれども,大臣はどのように受け止められましたでしょうか。

【岸田外務大臣】北方領土が我が国固有の領土であるという立場,これは全く変わりはありません。その上に立って四島の帰属の問題を解決して,平和条約を締結していく,こうした基本方針も全く変化がないと考えています。

【記者】今後,交渉の中でも四島の帰属というところの基本姿勢は,何ら変更はないという…。

【岸田外務大臣】四島の帰属問題を明らかにする,そしてそもそも北方領土は日本固有の領土であるという立場に立っているわけですから,日本への帰属を求めていく,こうした方針は全く変わりはありません。

【記者】日露の関係ですけれども,戦略対話に関する位置づけなんですけれども,年内の内に外相会談,あるいは首脳会談も,2回予定されています。この戦略対話,日露の交渉の中でどういうふうに位置づけたい,どういうことを期待したいとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】日露戦略対話,まず基本的に両国の外務当局間の間で意思疎通を図るということで,北朝鮮問題ですとか,シリア問題ですとか,双方が戦略的関心を持つ国際問題について議論をするのが中心となります。併せて二国間問題についても議論は行われることになると考えています。ですから,北方領土問題,あるいは平和条約問題についても二国間問題を議論する中で触れられることは当然あるとは思います。
 ただ,これはあくまでも外務当局間の意思疎通であり,中心は国際問題でありますので,平和条約交渉とは別であるという位置づけになると考えます。

北朝鮮関連

【記者】北朝鮮の関係ですが,一部報道でですね,9月の上旬,北朝鮮の当局者と日本の外務省幹部が接触したという報道があります。まず事実関係を…。

【岸田外務大臣】そういった報道は承知していますが,そういった事実はありません。引き続き対話と圧力,行動対行動の方針に基づき,ストックホルム合意に基づきながら,拉致被害者全員の帰国に向けて努力を続けていきたい,このように思います。

【記者】その過程で,やはり対話をする,接触を持つというルートは否定しないという可能性は…。

【岸田外務大臣】拉致被害者の方々全員の帰国を実現するということを考えた場合に,対話という要素,これはどうしても必要になってくると考えています。だからこそ,ストックホルム合意を我が国から否定することはありません。今,現状の中でしっかり圧力をかけながら,対話と圧力,そして行動対行動の原則に基づいて取り組んでいきたいと思います。

【記者】北朝鮮に関連してなんですけれども,北朝鮮外務省が声明でですね,北朝鮮に対する圧力をかけることについて強く非難した上で,アメリカに対してですね,そのアメリカは近い将来,身震いするような現実に直面すると強く威嚇をしました。10月10日には朝鮮労働党の創建記念日を控えているわけですけども,今回の声明等の受け止め,あるいは新たな挑発行動も懸念されているわけですけれども,現状の政府の認識,対応についてお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】まずご指摘の点,そうした声明が発表された点,承知をしています。そして北朝鮮に関しましては,引き続き強い関心を持って情報収集・分析に当たっています。ただ,具体的な内容については,こうした場では控えなければならないと思います。そしていずれにしましても引き続き関係国と連携しながら,情報収集・分析には当たっていかなければなりませんし,いかなる状況にも対応できるように警戒・監視,強めていかなければならない,このように考えます。

自民党総裁任期延長

【記者】自民党の総裁の任期が延長される方向ですけども,この受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】今,党においても精力的に議論を行っていると承知をしています。結論が出たというふうには承知していませんが,こうした議論,活発な議論が行われることは歓迎すべきことではないかと思います。議論の行方,見守っていきたいと思います。

【記者】延長されることについての賛否はいかがですか。

【岸田外務大臣】これは,議論が続いています。議論の行方を見守りたいと思います。

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