記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年10月4日(火曜日)8時42分 於:官邸エントランスホール)

日露関係

【記者】日露交渉についてお伺いをします。昨日,総理が予算委員会でですね,領土交渉の中でクリミアの話はしない,つまりウクライナ制裁と領土交渉を切り離して考えるということだと思うのですが,ウクライナ制裁をめぐっては,日本政府もG7と連携を重視されていますが,アメリカの理解というのは,基本的に得られているとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】アメリカとの間において,具体的なやり取り,様々なやり取りを行っています。意思疎通を平素から図っています。その具体的なやり取りについては控えますが,安倍総理も,オバマ大統領,あるいはバイデン副大統領と会談を行うなど,様々な形で意思疎通を図っています。日本側の取組についてもしっかりと伝えていくと考えています。

【記者】先月のニューヨークで日露外相会談の際に,日露戦略対話,杉山次官の訪露ということも合意をされていると思いますが,この日程の調整状況とですね,改めてこの協議の中で話をされる内容,平和条約締結交渉,8項目の協力プラン,こういったことも話をされるのでしょうか。

【岸田外務大臣】日露の戦略対話についてはおっしゃるように,先日の日露外相会談で私(大臣)の方から提案をさせていただき,実施することが決まっています。ただ今まだ,日時等については調整中です。杉山次官とチトフ第一次官との間での対話ということを考えています。これは外務当局間における全般的な意思疎通ということになります。様々な課題について議論を行うことになると想像をしています。是非,近日中に開催したいと思います。

【記者】次官級の協議ではですね,原田大使と次官級協議と,この枠組みと2つあるかと思うんですけども,それぞれの役割,位置づけ,そして大臣の訪露に向けたステップとしてはどういった意味合いがあるでしょうか。

【岸田外務大臣】今言ったように,戦略対話の方は外交当局間の対話ということですので,全般的な様々な分野について議論を行うということになると思います。
 原田大使の方は平和条約交渉ということで,テーマをしぼっての議論ということになります。それぞれ役割があると考えています。 そして外相訪露については,先般の日露外相会談の中でも言ったように,12月15日のプーチン大統領訪日に向けての準備の一環として考えています。ですので,まだ日程等は全く決まっていない。

日韓合意関連

【記者】慰安婦をめぐる日韓合意に関連して韓国側が総理のお詫びの手紙を出してほしいと,総理はそれを毛頭考えていないと,その総理の発言に対して再び韓国の一部世論が反発しているようなんですけれども,また韓国政府がゴールポストを動かすというような懸念の兆しも出てきているのかなと思いますが,日本政府,大臣としてどのように対応されますか。

【岸田外務大臣】いずれにせよ日韓合意は昨年の12月に,日韓両国の外相が共同発表を通じて発表した内容に尽きています。それ以上でもそれ以下でもありません。何よりも両国政府がその内容を誠実に実行することが重要であると考えています。

シリア情勢

【記者】シリア情勢についてお伺いしたいのですけども,アメリカがロシアとの停戦協議の打切りを発表しました。この日本政府としての受け止めと,また今後12月に向けて日本政府は,プーチン大統領の来日に向けて準備を進めているわけですけれども,日露交渉に与える影響について何かありましたらお願いします。

【岸田外務大臣】まずシリアについては,先日私(大臣)も国連総会の際に開催された様々な会議に出席をし,何よりも停戦の実施と,そして人道アクセスが重要であると考え,訴えてきました。是非,停戦が実施に移されるよう国際社会の努力が引き続き求められると思っています。
 それが北方領土交渉に影響が出るか,それぞれが重要な課題であります。その北方領土交渉,あるいは平和友好条約交渉の中で,そういった話が出てくることはないのではないかと考えます。

記者会見へ戻る