記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年9月30日(金曜日)8時37分 於:官邸エントランスホール)

米国ニュージャージー州列車衝突事故

【記者】ニュージャージー州でですね,大規模な列車事故がありました。日本人の方もお一人巻き込まれたと聞いております。現状把握している現状と外務省としての対応をお願いいたします。

【岸田外務大臣】29日,現地時間午前9時頃ですが,ご指摘の列車衝突事故が発生いたしました。現地の報道によれば少なくとも1人死亡,約100名の負傷者が発生していると承知をしております。その中にあって邦人の方の被害ですが,在ニューヨーク総領事館によりますと,50代の在留邦人男性1名が負傷し,病院にて手当を受けている,こういったことが確認されています。命には別状がないということを承知しております。
 在ニューヨーク総領事館から当該負傷者の関係者等と連絡を取り,必要な支援を行っております。また在ニューヨーク総領事館から現地在留邦人に対しまして,本件事故の情報提供,そして事故現場に近づかないように注意喚起,こうした対応を行っております。

慰安婦問題(日本側の「感性的な措置」)

【記者】日韓関係についてお聞きいたします。韓国外務省の報道官がですね,元慰安婦の方の心の傷を癒やす「感性的な措置」を期待するという発言をしていまして,安倍総理からの手紙というのを念頭に置いた発言と思われるんですが,これに対する外務省の対応をお願いいたします。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の点は承知しております。そして6月19日にも日韓外相会談を行いました。こうした会談も含めて累次にわたって,日韓合意の着実な実施が重要であるということにおいて,日韓で一致をしてきております。そしてその日韓合意ですが,昨年12月に発表されたとおりであり,それ以上でもそれ以下でもありません。そしてその追加的な措置については,一切合意はされていないと考えています。
 いずれにせよ昨年末の合意について,日韓それぞれが合意の内容について実施していく,このことが重要であると認識をいたします。

米大統領選挙関連

【記者】アメリカ大統領選についてお伺いします。今週初めてのテレビ討論会が行われまして,両候補者の論戦がスタートしました。その点まず所見を,期待することをお伺いしたいのと,論戦に期待したい点をまず一点お伺いしたいのと,もう一点ですが,日米同盟についても今回争点になっていまして,トランプ候補については初のテレビ討論会でも在日米軍駐留経費の負担増について改めて求める主張をしました。一方で日本側としては,約7割の負担をしておりまして,実態とは離れているんじゃないかという指摘もあります。クリントン候補に対しては,ニューヨークで安倍総理の方から政策について直接対話する機会がありましたけれども,トランプ候補に対しては日本政府としてどのような対応しているのか,あるいはどのように対応していくのか,お考えがありましたら教えてください。

【岸田外務大臣】まず,大統領の討論会に対する期待ということですが,米国の大統領選挙ですので,選挙が行われている最中でもありますし,それについて具体的に何か申し上げるのは控えなければなりませんが,いずれにせよ米国の大統領選の行方というのは,世界に様々な影響を与える選挙であると考えますし,こうした討論会というのは,米国の民主主義のダイナミズムを感じさせる取組であるというふうに感じます。注視をしていきたいと思います。
 それから在日米軍駐留費については,その発言についても今申し上げたように,何かコメントすることは控えたいと思いますが,いずれにせよ在日米軍の駐留経費についてですが,安全保障環境が厳しさを増す中にあって,日米同盟の重要性はますます高まっていくと考えます。そしてその中にあって日米安保体制は,日米いずれかの国のみが利益を享受するという枠組みではないと考えています。したがって米軍の駐留経費についても日米間で適切な分担が図られるべきものであると考えます。
 そしてクリントン候補と会ったではないかということですが,あれは先方からの要請に基づいての対応であります。これはトランプ候補,クリントン候補,どちらが勝ったとしても日米同盟の重要性は変わらないわけですので,今現状,選挙の動きについては注視していきたいと思いますが,それぞれの陣営の人脈との接点は引き続き探っていかなければいけないのではないか,このように思います。

日露関係

【記者】来月から年末にかけてですね,日露政府の要人の往来が活発化すると思います。日露の領土問題の決着に向けてということだと思いますが,ご自身も訪露を控えてですね,意気込みを改めてお願いします。

【岸田外務大臣】日露関係において,北方領土問題,そして平和条約締結問題,これは最大の課題であり,そして日本の外交を考えましても北方領土問題,平和条約締結問題,これは最も重要な外交課題の一つであると認識をしております。日露の間において12月15日,プーチン大統領の訪日ということで一致をしているわけでありますが,そういった日程もにらみながら,引き続き日露間で精力的にこの問題に取り組んでいかなければならないと考えています。相手のあることであり,予断することは控えますが,是非,日本としてもしっかり取り組んでいきたい,こう強く思っています。

記者会見へ戻る