記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年9月6日(火曜日)10時15分 於:官邸エントランスホール)
日中首脳会談
【記者】まず,昨日行われました日中首脳会談の受け止め,ご所感をお願いします。そして中国の海洋進出に明確に総理は抗議されましたが,今後,中国は自制するとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】5日,日中首脳会談が行われました。そして両首脳は戦略的互恵関係の考え方に基づいて,対話と協力を推進する,そして来年の国交正常化45周年,そして再来年の日中平和友好条約締結40周年,こうした年を見据えながら交流を拡大していく,そして相互の信頼を高め,国民感情を改善していく,こういった点について一致をいたしました。
そして東シナ海についてですが,東シナ海については安倍総理から一方的に緊張を高める行動をなくし,状況を改善するよう求めました。これに対しまして習近平(しゅう・きんぺい)主席からは,東シナ海の平和と安定を維持していく旨の発言がありました。そして両首脳は,防衛当局間の海空連絡メカニズムの協議を加速化し,東シナ海資源開発に関する「2008年合意」に基づく交渉の再開について協議をしていく,こうしたことで一致をいたしました。東シナ海の状況については,こうした両首脳間の協議,また一致した点,こういったものも念頭に状況を注視していきたい,このように考えます。
日露首脳会談
【記者】今度は日露についてお聞きします。プーチン大統領が北方領土問題について,日ソ共同宣言に沿って交渉を進めていくことを表明されました。岸田大臣のその受け止めをお願いします。
【岸田外務大臣】まず,プーチン大統領の発言,承知しております。2日のウラジオストクで行われました日露首脳会談においては,この北方領土問題について両首脳間で時間をかけて,そして真剣な中にも打ち解けた雰囲気で,「新しいアプローチ」に基づく交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような議論が行われたと承知をしています。是非,こうした首脳間のやり取りを受けて,我が国の基本的な立場であります四島の帰属の問題,これを解決して平和条約を締結していく,こうした立場に立って,引き続き粘り強く交渉していかなければならないと考えます。
【記者】プーチン大統領が12月に訪日するわけですけれども,外務大臣として,それに向けて取り組むことを教えてください。
【岸田外務大臣】12月15日にプーチン大統領が訪日する,こういった点について両首脳間で一致をし,これを明らかにしたわけですが,日程はそう明らかにされたものの,協議の中身等については,これからしっかり様々なレベルにおいて準備をし,協議をしていかなければならないと考えます。是非,こうした日程もにらみながら様々なレベルで準備をしっかりと進めていきたいと考えます。
日中首脳会談
【記者】東シナ海の共同開発についてですが,今回の事務レベル協議の日本側の目指すゴールというのはどのようなものでしょうか。そして海空連絡メカニズムも含めてですね,今後の見通しはいかがですか。
【岸田外務大臣】今回ですね,資源開発の方については9月14日に広島で高級事務レベル海洋協議を開催し,その機会に東シナ海資源開発に関する「2008年合意」に基づく国際約束締結に関する交渉の再開,これについて協議をする,こういった点で一致をしています。9月14日の高級事務レベル海洋協議の議論を見守っていかなければならないと思いますが,「2008年の合意」,これにつきましては2010年に第1回の会合が行われた後,一度も行われていません。こうした中で交渉再開できるかどうかについて,高級事務レベル海洋協議の機会に協議をするということになったことは,一定の進展であると受け止めています。
そして東シナ海については,平和・協力・友好の海とする,あるいは東シナ海の平和と安定を維持していく,こうしたやり取りが両首脳間で行われています。是非,こうした首脳間のやり取りを念頭に状況を引き続き注視していきたい,このように思います。
【記者】海空連絡メカニズムについては,もう最終段階になっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】海空連絡メカニズムにつきましても,東シナ海の現状・現場の状況を考えますときに,こうした協議の場,これは大変重要なものであると考えます。昨年11月のソウルでの李克強(り・こくきょう)総理との会談でも海空連絡メカニズム早期運用開始に向けて,互いに積極的に努力をしていく,こういった点で一致をしています。今回は習近平主席との間で早期運用開始のために協議を加速する,こういったことで一致をしたということです。これは有意義なことであると思っています。
【記者】海空連絡メカニズムについて追加でお伺いしますが,早期運用開始に向けて協議加速化で一致をしたということなんですけれども,日本側としてはその時期については,例えば年内とか,ある一定程度の目処をもって交渉に臨まれるのでしょうか。
【岸田外務大臣】これは相手のある話です。早期に運用開始をする,できるだけ早期に運用が開始されるよう努力する,日本としては当然そういったことで努力をしていきたいと思います。
日露首脳会談
【記者】日露について戻ってお伺いしますけれども,プーチン大統領の訪日時期について決まったわけですが,今回,ウラジオの会談では道筋が見えてくるような会談であったというお話でした。12月に向けて,12月の段階ではどのような成果を日本政府としては期待していますか。
【岸田外務大臣】この中身については,首脳会談でもありますので,今の段階で何か予断を持って申し上げるのは控えたいと思いますが,12月の訪日が大きな成果につながるべく,これからしっかり努力をしなければならないと思っています。11月にも日露の首脳間で会うという話も出たと承知をしています。こうした首脳会議の日程も見ながら,様々なレベルでしっかりと準備をしていかなければならない課題です。私(大臣)自身も,そして外務省としましてもしっかり努力をしていきたい,このように思います。
パリ協定
【記者】パリ協定についてなんですけども,米中で批准しましたけれども,これに関して日本としてどう受け止めているのか,日本としてこの枠組みにどういうふうに責任を負っていくのか,併せて日本側の批准のスケジュール,どう描いていらっしゃるのか・・・。
【岸田外務大臣】パリ協定につきましては,我が国も大変重要であると重視をしております。そして先日のG7伊勢志摩サミットの首脳宣言の中にも,本年中の同協定の発効という目標に向けて取り組みつつ,早期妥結を目指しているところです。具体的な締結時期については,今,検討中ではあります。国会への提出についてもできるだけ早期に行いたいとは思っております。