記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年9月2日(金曜日)9時35分 於:官邸エントランスホール)

日露関係

【記者】今日午後,日露首脳会談がウラジオストクで開催されますが,この会談に期待する成果というのはどのようなものがあるでしょうか。

【岸田外務大臣】今回の日露首脳会談においては,今後のプーチン大統領の訪日も念頭に,日露関係全般について議論が行われるものと思います。その中で特に平和条約締結問題の前進は,首脳間の率直なやり取りが不可欠であり,安倍総理もそうした強い思いで議論に臨まれるものだと思っております。

【記者】平和条約締結交渉,つまり北方領土の話がメインになってくるかと思うのですけれども,昨日外務省が発表しましたロシア人を対象にした世論調査の結果,四島の帰属が日本にあるべきという回答された人が1%ということで,非常に認識としては,ロシアの方々は,これはロシアのものだというふうに思っているんですけれど,そんな中で,どうやってこの領土交渉を進めていくべきだと思いますか。

【岸田外務大臣】ご指摘の世論調査については,ご指摘のような結果ももちろんありますが,同じその調査の中において,両国が相互に合意すべきであるという答えが32%から42%に増えていると,こういった結果も出ています。 いずれにしても今年5月ソチで行われました日露首脳会談において,新しいアプローチに基づいて交渉を精力的に進めていく,こういった点で両国首脳は一致をしています。是非,今回の首脳会談においても前向きな議論が行われることを期待したいと思っています。

日中関係

【記者】日中関係なんですけれども,尖閣周辺での衝突を回避するための空海連絡メカニズムというのを日中間で年内にもまとめたいという報道が出ているんですけれども,最終調整に入ったという報道がありまして,今度の日中首脳会談でそういったものが焦点の一つになるんでしょうか。

【岸田外務大臣】日中首脳会談,要はG20の際のバイ会談については,まだ調整中です。よってその中身についても調整中です。まだ中身について決まってはおりません。

【記者】今,尖閣周辺での危機的な状況は,いったんは今,おさまってるかと思うんですけれど,そうした連絡メカニズムといったものは早期に締結されるべきというのが,多分日本政府の立場でもあると思うんですけれども,そういった話合いは今引き続き行っているのでしょうか。どういう状況になっているのでしょうか。

【岸田外務大臣】日本としては海空連絡メカニズム,これが運用開始されるべきであると考えて,働きかけを様々なレベルで続けてきております。

【記者】年内妥結という目処というのはあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】これは今申し上げた姿勢で日本は臨んでいます。様々な両国間での話合い,意思疎通,これは大変重要であり,海空連絡メカニズムも重要であると考えます。

【記者】日中についてお伺いします。大臣はですね,王毅(おう・き)外相との外相会談において,尖閣を含め東シナ海での事態の沈静化を求めたのですが,それが事態の改善が見られれば,G20での首脳会談についても大局的な観点から検討していくというふうにおっしゃっていました。それで現在調整中であるというふうにお話しでしたけれども,公船の方の侵入が一時接続水域にいなくなったりとかですね,そういう動きがありましたけれども,現状の状況についてはどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

【岸田外務大臣】尖閣周辺の状況については,引き続き注視をしています。一方で従来から我が国は対話のドアはオープンであると言い続けています。両国間の意思疎通は重要だと思っています。

日露関係

【記者】日露に戻ってなんですが,昨日,一部報道でですね,日露の領土問題に関してですけれども,2島先行返還論について日露両政府内で再浮上しているということがありましたけれども,現在の政府としての事実関係の認識についてお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】報道のような事実については,何も決まっていない,そういった事実はないと思っています。引き続き,様々なレベルで交渉の前進を図るべく努力は続けています。いずれにせよ北方領土問題について,今日の首脳会談の状況もしっかり見守っていきたいと思っています。首脳間で率直な意見交換が行われることを期待したいと思います。

【記者】昨日,ペスコフ,ロシアの報道官が今回の首脳会談の主要議題は領土問題ではなくて,貿易・経済協力の発展だというふうに発言しています。国内には領土問題が進展しない中で,経済問題だけが進んでしまうという懸念もあるかと思いますが,どのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,北方領土問題,これは戦後の日本において残された最大の外交課題の一つであり,日露関係における最大の懸案であると思っています。そして安倍総理とプーチン大統領の間でも戦後70年以上たって,なお平和条約が結ばれていない,こうした状態は異常であるという認識で一致をしています。この問題の前進には,先ほども申し上げましたが,首脳間の率直なやり取りが不可欠であり,今回の首脳会談においても,当然主要テーマとして取り上げられるであろうと考えています。我が国としましては経済分野も含め,幅広い分野で両国の関係を国益に資するような形で進めていき,その中で四島の帰属の問題を解決し,平和条約を締結すべく粘り強く交渉を続けていきたいと考えます。

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