記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年8月24日(水曜日)13時05分 於:飯倉公館)
冒頭発言
【岸田外務大臣】先ほど共同記者発表を行いましたが,簡単に冒頭発言させていただきます。本日の日中韓外相会議ですが,約5年ぶりに議長国として開催することができました。大変うれしく思っています。そして,この内容としましては,日中韓三か国の協力について,そしてもう一つは地域・国際情勢について,大きく分けますとその二つが大きなテーマでありました。三か国協力につきましては,特に,防災,環境,青少年交流,そして経済,こうしたことについて一層の協力を進めていく,こうした議論を行いました。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ三か国が,幅広い分野で協力することの重要性について認識を共有することができたと考えています。そして,地域情勢につきましては,特に北朝鮮情勢について忌憚のない議論が行われたと感じています。北朝鮮の核・ミサイル問題について本日朝のSLBMと考えられる弾道ミサイルの発射を含め北朝鮮の挑発行動,これは断じて容認できない,このことでは一致をいたしました。そして日中韓で国連安保理を含む,国際社会の取り組みを主導し,北朝鮮に対して挑発行動の自制,そして安保理決議の遵守,これを強く求めていくこうしたことも確認できました。また,安倍政権の最重要課題である拉致問題について,私の方から中韓両国に理解と協力を求めました。今後とも三か国の協力を通じて,今年の日中韓サミットにおいてしかるべき成果が出せるようにしっかりと努力を続けていきたいと考えています。私からは以上です。
質疑応答
【記者】日中韓サミットについてですが,中国王毅外交部長から具体的にどのような話があったのでしょうか。
【岸田外務大臣】サミットについては,昨年11月,ソウルで開催された日中韓サミットにおいて定例化の再確認が行われています。今年,日中韓サミット開催に向けて,引き続き,三か国で協力をしていく,そうしたふさわしい環境を作っていく,こうしたことについては中国も含めて三か国で一致をいたしました。そういった内容の発言がありました。
【記者】共同記者発表で政治的英知を結集してという話もありましたけれども,北朝鮮の問題に対してですね,具体的にどのようなことで今後三か国協力をしていきたいという話があったのでしょうか。
【岸田外務大臣】北朝鮮につきましては,先ほど申しましたように,本日のSLBMと思われる弾道ミサイルの発射を含めて北朝鮮の挑発行動は断じて容認できない,こういったことについては一致をしましたし,日中韓で国際的な取り組みを主導していく,こうしたことも確認をしました。北朝鮮に対してこうした挑発行動を自制するということ,そして安保理決議の遵守を強く求めていく,こうしたことを確認した次第です。国連の安保理における動きですが,これにつきましても,適時適切な方法によって安保理の意思を表明すること,こうしたことは重要であり,緊密に連携していきたいと考えています。そして中国に対しては,責任ある安保理常任理事国としてしっかり対応を行うよう,今日の会議においても私の方から提起をした,こういったやりとりがありました。
【記者】安保理での責任ある対応について王毅さんからどのようなリアクションがあったのでしょうか。
【岸田外務大臣】これに関しては中国の王毅部長からは,こうした北朝鮮の弾道ミサイル発射等の挑発行動については明確に反対する,ということ。そして,安保理決議の遵守、これは大変重要であるという認識,こうしたことが示されました。基本的にはそういった発言があり,それ以上の詳細については控えます。
【記者】中国側は北朝鮮問題について自制を促すと同時に,北朝鮮以外の国からの行動についても控えるように述べています。THAAD配備問題についても中国は明確に反対しているわけですけども,今日の日中韓の中でTHAAD問題については。
【岸田外務大臣】本日の日中韓外相会議の中ではTHAAD問題は取り上げられておりません。そういった発言は全くありませんでした。
【記者】あともう一件,すいません。尹炳世長官も仰っていましたけれども,この三国間協力の枠組みが二国間関係の改善にもつながるという発言がありました。日本としても今回日本開催をできたことによって,日韓はもちろんですけど日中ですね,この関係改善に資するのではないかという意見もありますが,大臣として開催してみての感想または手応えなどは。
【岸田外務大臣】二国間関係,日中関係を考えましても,これまでも申し上げてきたように,協力案件については,ぜひ積極的に前向きに取り組み,懸案については率直に意見交換を行ってコントロールをしていく,こういった姿勢が重要だというふうに考えております。その中でこうした協力案件について具体的な意見交換を行い,これからも前向きに取り組んでいこうという姿勢を確認するということは大変重要なことだと思いますし,それが日中韓外相会議の中でできたと感じています。このことがバイ会談,二国間関係においても,前向きな影響が出ることを期待しています。