記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年8月5日(金曜日)9時25分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
岸田外務大臣のフィリピン訪問
【岸田外務大臣】諸般の事情が許せば,8月10日から12日の日程で,フィリピンを訪問いたします。本年は日比国交正常化60周年の節目の年になります。フィリピン新政権との間で両国の「戦略的パートナーシップ」強化に取り組むことを確認するとともに,安全保障,経済関係,ミンダナオ支援を含む様々な分野での協力等について議論を行いたいと考えています。
岸田外務大臣のフィリピン訪問
【記者】まず,フィリピンでは誰と会談をする予定でいらっしゃいますか。
【岸田外務大臣】もちろん,カウンターパートであります外務大臣との会談は行いたいと思っています。加えて大統領との会談も調整を行っています。
靖国神社参拝
【記者】ちょっと気の早い話なんですけれども,終戦の日が,また今年も近づいてきました。まず大臣自身が参拝をされることを考えていらっしゃるかというのと,併せて新しく就任した稲田防衛大臣,今年も例年どおり参拝されると,防衛大臣ということもあって中国・韓国の反発,より強まると考えられますが,このことについて大臣,どのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】まず私(大臣)自身の話については,安倍内閣の一員として,そして日本の外務大臣として適切に対応をいたします。これは毎年お答えしているとおりであります。
それから稲田大臣についてご質問がありましたが,これは仮定の話ですので,仮定の話について申し上げるのは控えます。いずれにしましても稲田大臣も内閣の一員として適切に対応されるものであると考えます。
北朝鮮のミサイル発射関連
【記者】弾道ミサイルを発射した北朝鮮への対応についてお伺いします。国連安全保障理事会が3月に強い内容の制裁決議を出しましたけれども,北朝鮮はその後自制の動きを見せてません。各国がその決議に基づき発動している制裁が十分に効果を発揮しているかどうか,また関係国が決議を踏まえて誠実に履行しているという認識をお持ちかどうかお伺いしたいのと,さらに3月の制裁決議では,新たに核実験や弾道ミサイルの発射を実施した場合は,更なる重大な措置を取るというふうに明記をしています。この点についてどう受け止めているか,この3点についてよろしくお願いします。
【岸田外務大臣】まず1点目の話ですが,3月に国連決議2270,大変強い内容の決議が採択されています。併せて関係国は,それぞれ独自の強い措置も決定をしております。今現在は,そうした決議や制裁案の中身をしっかり履行することが重要であると考えます。履行の確保に向けてそれぞれが努力をしている,今現在そういう段階にあると認識をしています。
そして併せて国連の安保理としましても,強い意思を示すこと,これが重要であるということで国連の場においても努力を続けている,こうした段階にあると考えています。
更なる重大な措置については,今申し上げたようにですね,今は決議の内容等の履行の確保に努める段階にあると思います。それをしっかりと行った上で,北朝鮮から前向きな態度を引き出すためには,何が効果的なのかを考えていく,これがあるべき対応でないかと思っています。
【記者】その関連なんですけれども,国連の安保理の緊急会合で中国が異議を唱える形となり,非難する声明の発表にいまだに至っていません。先ほど大臣は強い意思を示すことが大事で,努力を続けているということだったんですけれども,こういった中国が異議を唱えて,いまだに発表に至っていないということをどういうふうに受け止めているかということと,今後日本として,どのように働きかけをしていくかということをお願いします。
【岸田外務大臣】日本としては,安保理の場においても強い意思,メッセージを発するべきだということで,働きかけを続けていきたいと思います。そして今現在,やり取りが行われ調整中でありますので,その内容について具体的に何か申し上げるのは控えます。是非,引き続き努力は続けていきたい,このように考えています。
米国の核実験禁止に関する安保理決議案の提出
【記者】アメリカがですね,核実験の禁止を呼びかける安保理決議案の提出を検討していると報道されました。新たなアメリカの核政策の検討の一環だと思うのですが,どのように評価されるか,お考えをお聞かせください。
【岸田外務大臣】まずですね,そうした報道については承知をしています。そして我が国としては,CTBTを促進していくという立場に立ち,そして促進調整国としての役割も果たしてきています。こういった立場から,これまでも米国と様々な意思疎通を図ってきました。そしてご指摘の点については,米国自体,何も公式には発表していない段階ですので,発言は控えなければなりませんが,引き続き米国とは意思疎通を図っていきたい,このように思っています。
【記者】事実だとすれば,爆発を伴わない新型核実験も含めるべきだとお考えですか。
【岸田外務大臣】これは,仮定の問題にはお答えいたしません。
【記者】関連してなんですが,もし,発表後になるんですが,共同提案国になるというのは,十分検討の可能性があるのでしょうか。
【岸田外務大臣】米国とは,先ほど申し上げたような我が国の立場に立って,今までも意思疎通を図ってきました。そしてご指摘の点については,やはり仮定の話になります。今後のことについて,仮定に基づいて日本の方から何か申し上げるのは控えます。
岸田外務大臣のフィリピン訪問
【記者】フィリピンに訪問されるのは,元々予定されていたのか,それとも仲裁裁判との関係があるのか・・・。
【岸田外務大臣】元々というのがどこまで遡って元々か分かりませんが,フィリピンは新政権がスタートしました。新政権との意思疎通は大変重要であると認識をしてきました。そういった考えに基づいて訪問の機会を検討してきた結果であると思います。
【記者】南シナ海の話ももちろん出ると・・・。
【岸田外務大臣】ほど申し上げましたように,様々な分野,「戦略的パートナー」として,様々な分野にわたり意見交換を行ってきたいと思います。日比国交正常化60周年という年にあたって,両国の友好関係をしっかりと確認をしてきたい,このように思っています。