記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年8月2日(火曜日)10時40分 於:本省会見室)

冒頭発言

バングラデシュ・ダッカテロ襲撃事件関連

【岸田外務大臣】本日,7月1日に発生したダッカにおけるテロ事件で亡くなられた方々の「合同追悼式」が行われ,私(大臣)も出席する予定にしております。改めて,犠牲になられた方々とその御家族に対しまして,深い弔意を捧げさせていただくとともに,被害にあわれた方々に,心からお見舞いを申し上げます。
 政府として,バングラデシュを始め,開発途上国への支援を続けていく決意でありますが,そのためには関係者の安全対策見直し,これが急務です。私(大臣)の下に立ち上げた「国際協力事業安全対策会議」において,民間関係者の皆様方からの意見もお伺いしながら議論を進めており,昨日,「中間報告」を受け取ったところです。
 「中間報告」において示されました方向性に沿って,8月中に最終報告を受けるために,引き続きしっかりと作業を進めていきたいと考えております。
 また,在外邦人一般の安全対策についても,私(大臣)から併せて昨年まとめた対策の実施状況を点検するように指示をいたしましたが,本日,濵地外務大臣政務官から報告書の提出を受ける予定にしております。
 我が国として,テロは断じて許容することはできません。テロの根絶と,在外邦人の安全確保のため,国際社会とも協力しながら,全力で取り組んでいきたいと考えます。

バングラデシュ・ダッカテロ襲撃事件関連

【TBS 深井記者】日本のODAによる石炭火力発電所の入札,バングラデシュのですね,入札等が延期されるなど,結構影響も出ていますけれども,今後も入札をどうするかとか,今後バングラデシュに対する支援をどうしていくかという部分,ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】我が国としましては,開発途上国に対する開発協力など,様々な支援や貢献を行っていくという方針,これは全く変りはありません。我が国が国際社会において外交を進めていく上において,こうした様々な支援や協力は大変重要な取組であり,しっかりと進めていかなければならないと考えます。そしてその大前提として関係者,あるいは邦人の安全確保が重要であるということで,様々な検討を行い,あるいは点検を行い,今作業を進めているところです。
 ご指摘の具体的な案件についての取組は,それぞれ国において,また案件によって事情は様々でありますので,一つ一つ丁寧に対応していかなければならないと思いますが,基本的な考え方,今申し上げたような考え方,これはこれからもしっかりと国際社会の中で訴えながら,我が国としてできる限りの努力を続けていきたいと考えます。

【朝日新聞 武田記者】バングラデシュのテロ事件に関連してなんですが,今回,当初政府としてはですね,犠牲になられた方の氏名の公表というのを控えておられました。改めてなんですが,その理由とですね,今後,同種事案が発生したとき,これは同じように氏名は出さないという対応をされるのでしょうか,それともケースバイケースになるのでしょうか。

【岸田外務大臣】今回もそうでありますが,こうした事件が発生した際には,被害者の方々,そして,そのご家族のプライバシーですとか,何よりも大変厳しい状況に置かれているご家族の方々のご意向を尊重するという考え方は重要であると考え,今回も皆様方ご案内のとおりの対応をしたということであります。こうした情報提供のあり方につきまして,できるだけ国民の皆様に必要な情報を提供していくということは大切なことでありますが,一方で今申し上げたような点にも配慮しなければならない,このバランスが重要であると考えます。
 今回の対応もそのバランスの中で判断した結果であります。具体的なケースは,その案件ごとに様々でありますが,今後とも今申し上げましたような考え方,このバランスの中で適切に対応していきたいと考えます。

東京都知事選関連・外交面での新知事の役割について

【フリーランス 上出氏】都知事選のことについてお伺いします。小池百合子新知事が誕生しました。その前任のですね,舛添さんは大変都市外交ということを掲げておりまして,いろんなことをやっておられてその結果,高額の海外出張旅費がですね,批判されたということになっております。そこで質問なんですが,簡単に二つ。小池百合子さんも外国語がご堪能だとか,国際面には大変ご関心のある方かと思うんですが,大臣からご覧になって2020年のオリンピック,これはもちろん大きな課題ですが,それも含めまして,新知事に対しての何か要望,あるいは期待みたいなものがあるのかどうか,それを聞きたいのが1点。もう1点,これとも関係するんですけれども,政府と東京都の外交面における連携の在り方といいますか,この点で何か特に大臣として,これまでいろんなことをご覧になっていて,いろんな民主党時代にはぎくしゃくもあったりしたんですけども,強調されたい点,何か連携についてですね,両者の連携について,これがございましたらご所見をおうかがいしたいと思います。

【岸田外務大臣】2020年の東京五輪の開催にあたっては,開催地もちろんですが,政府全体としてもオールジャパンで取り組み,そして成功に結びつけていかなければならないと考えます。それぞれがしっかり責任を果たしていかなければなりません。開催都市である東京にもしっかりとご協力をいただき,全体として成功を実現できるよう協力をしていかなければならない,このように考えます。
 そして外交全体ということで申し上げるならば,政府と中央都市との連携は,極めて重要であると考えます。舛添前知事は都市外交という言葉を使われておられました。そして小池新知事も,これまで様々な豊富な外交経験をお持ちの方だと承知をしております。小池新知事の外交への取組方,姿勢についてはこれからしっかりとお話をお伺いした上で,政府としてどんな連携ができるのかを具体的に考えていくことになると考えます。今日,初登庁されたと聞いております。外交面においてどのような取組をされるのか,是非その考え方に注目をしていきたいと考えます。

日中韓外相会談

【共同通信 大熊記者】8月下旬頃に予定されている日中韓外相会談の日程の調整状況と,どのような議論を期待しているのかというのをお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず昨年,日中韓の外相会談,そしてサミットが久方ぶりに行われ,今年日本が日中韓のサミット・外相会談の議長を務めることが決まっております。今年中に日中韓サミットを我が国で開催するべく努力を続けているわけですが,その前提として日中韓外相会談を開催させていただくべく,調整を続けているところです。
 具体的な日程については,今現在まだ調整中であります。まだ確定はしておりません。しかし是非,日中韓サミットにつながる議論を日中韓外相会談で行いたいと思っています。日中韓3カ国における様々な協力案件,また様々な課題についても率直な意見交換が行われる,こういった会議にしたいと考えています。具体的な議論の中身等についても,日程と合わせてこれから調整をし,詰めていかなければならないと考えています。

内閣改造

【NHK 栗原記者】明日ですね,内閣改造,党役員人事が行われるとされていますけれども,今の安倍政権の閣僚のお一人としてですね,今,日本を取り巻く課題,いろんな課題がありますけれども,次の内閣というのはどのような内閣が相応しいというふうにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】私の立場で内閣全体の有り様について何か申し上げるのは適切なのかどうか分かりませんが,総理自身も発言しておられるように,先の参議院選挙において与党は多くの国民の皆様から期待をされ,支持を頂きました。それにしっかり応えていかなければならないと思います。その期待の中身,様々な中身が含まれていたと承知をしていますが,やはり経済を始め,日本の社会の活力,こうしたものに対して政府がしっかりと取り組んでもらいたいという期待は大きかったのではないかと思います。
 いずれにしましても,こうした先の参議院選挙において期待された事柄,国民の皆様から示された期待される事柄,こういったものにしっかり応えていく内閣でなければならないとは考えます。いずれにしろ次の内閣の取組ですので,総理を始め,次の内閣においてしっかりと具体的に検討されるものであると承知をいたします。

慰安婦問題に関する日韓合意関連

【NHK 栗原記者】別の話題なんですが,先ほど自民党の部会がありまして,韓国の財団,慰安婦の関係の財団をめぐってですね,日韓の合意の履行にあたって,少女像の撤去というのが重要な要素だとかですね,少女像の撤去に向けて韓国側に働きかけるべきだという意見が出たということなんですけれども,この財団の設立と,あと,大臣ご自身が行われました日韓の合意の履行に向けてですね,韓国側の課題だけではなくて,日本側にもやっぱり説明をしないといけないというプロセスがあると思うんですが,大臣,どのように国内の自民党の先生方ですとか,国内向けに説明をされる,少女像の撤去とか,こういうことに関しては説明をされていきたいお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘の点については,まず日韓合意に基づいて,7月28日に財団が設立されました。そして,その財団の事業の実施などについて,今,日韓両政府の間で調整中であります。こうした事業の実施の中身ですとか,あるいは合意の中に盛り込まれております日本側の資金の支出のタイミングなどは,まだ未定であるというのが現状です。
 そして財団と少女像の移転の話についてご質問がありましたが,いずれにしましても,昨年12月の日韓合意の中身は,両国外相が共同記者発表の中で発言したこと,これが全てであります。その中身を両国政府が誠実に責任を持って実施することが重要であります。そして,その取組を両国の国民の皆様方に丁寧に説明をしていく,こういった努力を続けていきたいと考えます。日本側においても,合意内容の実施に向けて責任を持って取り組んでいかなければなりません。その過程の中で,是非,日本の国民の皆様方,また関係者にも丁寧に説明を続けていきたいと考えます。

内閣改造

【朝日新聞 安倍記者】明日,内閣改造が行われるわけですけれども,大臣は将来の首相候補としての評価が,だいぶ定着しているかと思いますが,その意味で,今回の閣僚人事の中で,総理から何らかの打診があった場合にですね,大臣として,あえて閣外に出るか,そういった選択肢というのはあった,もしくはあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】人事というものは正式に発表されるまでは,様々な判断があり,やり取りがあり,そして何よりもこれは総理が判断されるものであると考えます。まだ正式な発表が行われる前の段階においてですね,私(大臣)が何か申し上げるのは適切ではないと思います。正式な発表があるまで,私(大臣)は人事についてはコメントは控えたいと思っております。

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