記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成28年7月5日(火曜日)16時08分 於:本省大臣接見室前)

冒頭発言

【岸田外務大臣】今回の卑劣なテロ事件を受けたODA事業の安全対策について申し上げます。今回の事件により開発途上国の発展に貢献されてきた大切な同志を亡くしましたが,開発途上国の開発に真剣に取り組む政府の決意に変わりはございません。このためにも,我が国が様々な途上国で展開をしているODA事業に従事する方々の安全対策について,改めて検討する必要があります。
 そこで,これまでの取組を今一度検証し,新たな安全対策を策定するため,私の下に,外務省とJICAの間で「国際協力事業安全対策会議」を立ち上げることといたしました。同会議において今後,具体策を早急に検討し,来月中にはその結果を公表したいと考えます。
 また,国民一般を対象とする海外邦人安全対策については,昨年のシリアにおける邦人人質殺害事件の後,「在外邦人の安全対策強化にかかる検討チーム」を立ち上げて,提言をまとめ,累次の措置を講じてきたところであります。今回の事件など邦人安全をめぐる最近の状況の変化を踏まえて,提言の再点検を行うよう指示をしたところであります。こちらも,来月中を目処に結論を出したいと考えます。
 次に,今回の事件の被害にあわれた方々のご家族への支援について申し上げます。外務省としては,引き続き,ご家族のお気持ちに寄り添ってできる限りの支援を行っていく考えです。こうした観点から,本日,ご家族それぞれに一人ずつ十分な領事経験を有する外務省職員を指名し支援体制を整えました。外務省として引き続ききめ細かな対応を行っていきたいと考えます。

質疑応答

【記者】国際協力事業安全対策会議についてなんですが,来月中には結果を公表するということで,かなり時間は限られていると思うのですけれども,だいたいどれくらいの頻度というか回数,会議を開催する予定でしょうか。

【岸田外務大臣】これは,来月中を目処に結論を出すために必要な取組を行いたいと思います。具体的には,これから議論を進めながら,回数等も決まっていくのではないかと思います。当初から何回と決めているものではありません。

【記者】この検討会議なのですが,メンバーはどういう方が入って,主な柱となるテーマももし・・・。

【岸田外務大臣】まず,メンバーは先ほど申しましたように,外務省,そしてJICAが中心になります。もちろん議論の過程においては,外部の方の話も聞かせていただく,こういったことも必要かと思います。そして,メインになるテーマ,これは言うまでもなくODA事業の安全対策ということであります。国として開発途上国の開発に引き続き真剣に取り組んでいかなければならない,その際に安全対策というものを今一度しっかりと検討し,必要な対応をしていかなければいけない,そのための議論というのがこの会議の主要なテーマです。

【記者】ODA事業をめぐる最近の情勢,状況の変化ということを大臣はご指摘されましたけれども,具体的にどういった時代に応じた変化であって,どういうところを根底の認識として,どういう問題意識があるかということについてちょっとご紹介いただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】状況の変化と言ったのは後者の方に関して申し上げたのですが,いずれにしましても,さまざまな事柄は刻々と変化しています。ODA事業においては,まずはコンサルタントですとか建設など,幅広い分野の関係者が参加をします。官民合わせて多くの関係者が参加をしてチームを作る,こういった状況もありますし,そもそも中小企業の参加も多いというのも1つ特色として挙げられると思います。さらには,こうした多くの官民の関係者,JICAとして全体をどこまでグリップするか,こういった問題意識もあると思います。こういったODA事業の現状を念頭に安全対策を考えた場合に,どうした取組が必要なのか,どういった工夫が必要なのか,こういった議論が必要なのではないか,こうした問題意識に基づいてこうした会議の立ち上げを考えた次第です。

【記者】対策会議ですけれど,第一回はいつを目処にしているのかという点と,あと二つ目は今回の事件を受けて,バングラデシュで展開しているJICAの活動,安全性が確保されるまで縮小するとか,そこら辺の対応に変化があるような考えを・・・。

【岸田外務大臣】第一回目の会合は準備ができ次第,第一回の会合を始めたいと思います。

【記者】週内ですか。

【岸田外務大臣】いや,準備ができ次第です。今,早急に行います。できるだけ早く1回目を行います。そして,バングラデシュの対応については,具体的な対応はJICA等の判断もあります。現状をしっかり把握した上で安全対策を重視しながら具体的にどう対応するのか,これはJICA中心に早急に検討してもらわなければならないと考えます。その検討の末,具体的な対応を早急に判断したいと考えます。

【記者】今回の事件,ラマダン期間中の金曜日に発生したのですが,そこは外務省としても注意を呼びかけていたという経緯もあるのですが,今回の事件の安全対策がどういった課題があるかとか,そういった検証というのは今回の会議でされるのでしょうか。

【岸田外務大臣】もちろん,ODA事業の安全対策ということでありますので,あらゆる課題について,そしてあらゆる例について議論を行わなければならないとは考えます。ただ,具体的な中身については,まだ今立ち上げを指示した段階です。予断を持って何か具体的にこれを取り上げる,取り上げない,これを申し上げるのは控えるべきではないかと思います。いずれにしましても,あらゆる内容につきまして,さまざまな関係者の活発な議論を期待いたします。

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