記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成28年6月29日(水曜日)17時45分 於:本省中央玄関ホール)

冒頭発言

日EU外相電話会談・日英外相電話会談の開催

【記者】本日行われた電話会談の内容についてお願いします。

【岸田外務大臣】本日15時30分から約30分間,モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表,そして16時から約30分間,ハモンド英外務・英連邦大臣とそれぞれ電話会談を行いました。

 モゲリーニ上級代表に対しては,自分からは,英国のEU離脱に関し,今後の新たなEU英関係への移行プロセスが円滑に進むことへの期待を申し上げるとともに,引き続き国際社会の平和と繁栄のためにEUと緊密に協力・連携していきたい旨伝達をいたしました。
 また,日本企業をはじめ多くの我が国関係者は今後の展開に関心を有しているので,EUとの間で緊密に情報交換していきたい,このように述べました。
 さらに,現在交渉中の日EU・EPA及び日EU・SPAの交渉も引き続き年内早期妥結に向け共に努力していくことを確認いたしました。

 これに対し,モゲリーニ上級代表より,現在の状況下でG7議長国の日本と認識を共有し連携していくことは重要である,そして,英国国民投票の結果は尊重するが残念なものである,また,EUとしては迅速に必要な対応を行い,市場を含む不安感を解消したい,EUは結束し,強くあり続けることが重要である,このように述べられました。

 また,モゲリーニ上級代表からは,
昨日公表したEUのグローバル戦略に基づきEUが結束して国際社会で対応していくことが重要である,この中で日本のようなパートナーとしっかり協力していきたいということ,
また,現時点でEUは何も変わっていない。英国も離脱交渉がまとまるまでEUの加盟国として貢献をするということ,
そして,英国との間では,まだ交渉は始まっていないが,離脱交渉の中で,欧州の一員としての緊密な関係を作っていくことになろう。
 さらには,日EUのEPA及びSPAを可能な限り早く合意に向けて交渉を進めていくことを確認したい,
こういった発言がモゲリーニ上級代表からありました。

 そして,次にハモンド英外務・英連邦大臣に対しましては,欧州へのゲートウェイとして英国に進出している日本企業の声によく耳を傾け,これら日系企業がこれまでどおり活動できるよう心を砕いてもらうよう,そして英国が今後とも世界的な自由貿易の推進役を引き続き担うよう要請をいたしました。
 また,我が国としては,英国がEUを離脱した後も,アジアを含む国際社会でのルールに基づく平和と安定に引き続き積極的に貢献することを強く期待しており,引き続き日英関係の維持・強化に努めていきたい旨伝達をいたしました。

 これに対し,ハモンド外相より,
強い英国経済を維持したく,そのような観点からEUとの関係を構築するつもりであるということ,
そして,日系企業を含む外国企業の意見をよく聞いた上で,EUの離脱交渉に臨みたい。今後もしばらくは,少なくとも2年はEU加盟国であり続けるので,日EU・EPAの主要な支援国であり続けたいという発言,
さらには,国際社会において外向きの英国であり続けたく,ルールに基づく国際社会に今後とも貢献していきたい,
そして,日英関係の重要性に言及した,私(大臣)の外務大臣談話に感謝する。近年特に進展している安全保障・防衛分野を含め,幅広い分野で日本との協力関係を強化していきたい,
このような発言がハモンド大臣からありました。
私からは以上です。

質疑応答

【記者】主にイギリスにつきましては,日本企業の観点に重点が置かれていますけれども,それ以外の部分でいろいろお伝えになったことですとか,日本から特に一番懸念というか,伝えた部分というのはどこなのでしょうか。企業以外の部分で。

【岸田外務大臣】いずれにせよ,まず英国とEUとの交渉が円滑に進むことを期待するということ,そしてさらには,国際的な平和や安定,繁栄にぜひ今後ともしっかりと関与し貢献してもらいたいということ,こういった点につきましては申し上げ,そして確認をさせていただきました,一致をいたしました。

【記者】実際にハモンド外相と電話で会談をしてみて大臣として何か得たものといいましょうか,今後の向こう側のイギリス側の決意というか,何かそういったもので今後展望が開けそうな部分で何か感じたことはありますでしょうか。

岸田外務大臣】今申し上げたように,今後とも内向きになることなく国際社会の平和や安定や繁栄にしっかり関与していく,貢献していく,こういった発言,さらには少なくとも今後2年間はEUの一員であることからして,日EU・EPA,そしてSPA,この早期妥結に向けて協力をしていく,こういった点は我が国として評価できると考えております。

【記者】今,イギリスが今後のスケジュール感でいうと,いつ通告をしてどのようなタイムスケジュールで離脱に向けたことを進めていくのかということについて意見交換というのはありましたでしょうか。

【岸田外務大臣具体的なものはありません。まさに欧州理事会において,その点が議論されたと承知をしております。その上で,EUの発言として,英国側から少し時間がかかるという説明があったというような発言が対外的にあったということは承知をしております。

【記者】杉山外務次官が戻られると思いますけれども,金曜日に。その報告を受けてからだと思いますけれども,今もありましたがG7というこの枠組みの中で,今後何かイギリスの離脱に対してG7の枠組みで何か今後考えていらっしゃることとかは議長国として何かございますでしょうか。

【岸田外務大臣】G7の枠組み,普遍的な価値を共有するこのG7の枠組みは,引き続き大変重要であると認識をしております。G7の議長国としてG7の連携をこれからもしっかりと重視しながら,さまざまな課題に取り組んでいきたいと考えます。

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