記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年6月21日(火曜日)10時19分 於:官邸エントランスホール)

中国海軍ドンディアオ情報収集艦の動向について

【記者】中国の艦船がですね,先週16日にも接続水域に侵入し,20日にかけて接続水域ではないですが日本周辺を航行するということがありました。こうした中国艦船の相次ぐこういった事態について,また政府としてどういった受け止めをされているのでしょうか。

【岸田外務大臣】防衛省によりますと,海上自衛隊が6月19日17時頃から20日14時頃にかけて,尖閣諸島南方の接続水域の外側の海域を,東西に複数回往復して航行する中国海軍の情報収集艦1隻,これを確認したということです。
 これを受けまして20日の午後になりますが,外務省アジア大洋州局長から在京中国大使館次席に対して,先般の中国海軍戦闘艦艇による尖閣諸島接続水域への入域に続いて,情報収集艦による我が国領海や接続水域の航行が行われ,そして今回,同艦艇が接続水域の外側の海域とはいえ,尖閣諸島南方海域で特異な航行を行ったということにつきまして,我が国周辺海域で緊張を高め得る一方的な行動を継続している,こうした中国軍の活動全般に対して懸念を申し入れました。
 我が国政府としましては,引き続きこの周辺海域における中国艦艇の動きを含めて,中国軍の動向について注視をしていきたいと考えます。

英国のEU残留・離脱を問う国民投票

【記者】ヨーロッパでですね,イギリスでは23日にEUの離脱の是非を問う国民投票が予定されています。これ今,拮抗している状況だというふうにメディアでは報じられていますけれども,いずれにしても日本への影響については,どのように受け止めておられますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,これはあくまでも英国の国民の皆様が,決められることであります。しかし日本の国益に関わるものでもあるとは考えており,日本としては英国がEUに残留することが望ましいと考えております。政府としましては,英国,更には欧州が引き続き国際舞台で影響力を有する存在として,国際社会の平和や安定にしっかり貢献していくことを期待をしております。

【記者】この問題をめぐっては,イギリスでは下院議員がですね,撃たれて亡くなるというようなレベルまでヒートアップしているような状況ですけれども,ここまでイギリスの中でですね,世論が二分している状況について,同じ価値観を共有するG7の盟友の国,一国としてはどのように受け止めておられますでしょうか。

【岸田外務大臣】あくまでも英国の国民投票でありますので,英国の国民の皆さんの判断であり,対応であります。それについて我が国の立場から何か申し上げるのは,控えるべきではないかと考えます。

中国の国連海洋法条約脱退

【記者】一部報道で,中国が国連海洋法条約,UNCLOSからの脱退を検討しているという報道がありますけれども,日本政府に現状入っている,把握している状況いかがでしょうか。

【岸田外務大臣】今の点につきましては,私(大臣)自身,確たる情報を持っておりませんので,今一度,確認したいと思います。

沖縄関連(日米地位協定)

【記者】沖縄の事件を受けて再発防止策の日米間での交渉が行われていると思いますけれども,今の検討状況はどうなっているのでしょうか。

【岸田外務大臣】日米間においては,先の防衛相会談において一致した点,すなわち軍属を含む日米地位協定の地位を有する米国人の扱いについて見直しを行う,こうした点等について協議を行っております。引き続き協議は続いております。ただスピード感を持って対応していきたいと思っています。また併せて,政府独自の対応としまして,沖縄地域安全パトロール隊,これは設置が既に行われており,パトロールは開始されています。こうした対応もしっかりと行いながら,こうした事件が再発しないようにしっかりと対応をしていかなければならない,このように考えています。

【記者】今の協議に関連してですが,スピードを上げて協議を進めておられるということですけれども,妥結の時期ですね,特に参議院選挙との前後関係について,何か今の時点で目処として分かっている点がありますでしょうか。

【岸田外務大臣】これは相手がある話です。そして協議は今続いています。その結論が出る時期について予断をもって申し上げることはできないと思いますが,これはいつまでも時間をかけて行うべきものではなく,スピード感を持って対応しなければなりません。できるだけ早期に結論を出すべく努力すべき課題であると考えます。

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