記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年6月7日(火曜日)10時45分 於:本省会見室)

米国大統領選挙関連

【読売新聞 森藤記者】アメリカの大統領選の関係でお伺いします。民主党でクリントン前国務長官の指名獲得が確実になりました。大臣は国務長官時代にクリントン候補とも会談をされているかと思いますけれども,その時の印象や,今回指名獲得が確実になったことの受け止めがあればよろしくお願いします。

【岸田外務大臣】まず,クリントン氏とは私(大臣)が就任した翌月まで米国の国務長官でいらっしゃいました。一度電話会談をし,一度お会いをした,こういったことがございます。大変エネルギッシュで明るい方だったという印象は持っております。
 ただ,大統領の予備選挙の結果については,米国の選挙であり,また,まだ選挙も行われている最中でありますので,逐次コメントすることは差し控えたいと思います。また今,ご指摘の点,民主党の候補の指名獲得の件につきましては,見ておりますと,獲得代議員数について,現時点で様々な報道があるようです。そういった状況でもありますので,なおさらコメントは控えたいと思いますが,いずれにせよ今後とも注目はしていきたいと思います。

沖縄県議会議員選挙及び日米地位協定関連

【フリー 上出氏】今回行われた沖縄県議選の結果についてどう受け止めらるかという質問です。その背景にはですね,翁長さんの与党が勝利した形になっております。やはり基地問題で,特に最近,元米兵,それから現役の米兵が不祥事を相次いで起こしたということに対して,世論の強い怒りみたいなのがあったのではないかと。地位協定そのものの改定を,翁長さんも含めて沖縄の世論は強く求めております。これについて,結果の受け止めと,地位協定について見直しまで踏み込んでご検討されるつもりがあるのか,もし検討できないとしたら,それはどういう理由かということをお伺いしたいと思います。

【岸田外務大臣】まず,沖縄県議会議員選挙につきましては,基本的には地方自治体の選挙ですので,政府としてコメントすることは従来から控えていたと思います。その上で一般論として申し上げるならば,地方自治体の選挙,これは地方経済の動向ですとか,あるいは住民生活の向上ですとか,様々な論点について,それぞれの候補者が主張を行い,選挙が行われるものであると考えます。今般の沖縄県議会議員選挙につきましても,そうした選挙戦の結果であると考えます。そしてその中にあって,在日米軍の軍人,軍属等による事故・事件,これはあってはならないことであり,大変遺憾なことであると考えます。
 日米両政府,これは軍属を含む日米地位協定上の地位を有する米軍人の扱いの見直し等について,日米で協議を進めていく,こういった点では一致をいたしました。速やかに,再発防止策を策定できるように努力をしていかなければならない,このように思っています。日米地位協定については大きな法体系であり,手当てすべき事項の性格に応じて,効果的,そして機敏に対応する,最も適切な方法を考えていかなければならないと考えます。こうした取組を通じて,一つ一つ具体的な問題に対応してきており,今後ともそのような取組を積み上げていくこと,これが重要であると考えます。

【フリー 上出氏】今の岸田大臣のご説明は,以前からお聞きしております。地位協定そのものには踏み込まない,改定そのものは検討の対象にはなっていないということで受け止めてよろしいでしょうか。

【岸田外務大臣】この4日の日米防衛大臣会合において,実効的な再発防止策を策定するために緊密に連携していくことを確認したわけですが,その再発防止策については,軍属を含む日米地位協定上の地位を有する米国人に関し,その扱いを見直す,そして現状のモニタリングを強化する,そして教育・研修の強化等の分野を対象とする,こういったことについて一致をしております。こうした方針に基づいてスピード感を持って対応していきたいと考えます。

海洋安全保障関連

【共同通信 大熊記者】フィリピンが中国を相手に申し立てた南シナ海をめぐる仲裁手続きの判断が,近く出されるという情報があるんですけれども,伊勢志摩サミットでは,仲裁を含む法的手続きを通じた紛争の解決の重要性を確認している中で,中国は判断の拒絶を宣言しています。日本政府として,改めて,仲裁手続きに対する見解と,それからフィリピンと中国をめぐる現状について,どうご覧になるかお聞かせください。

【岸田外務大臣】ご指摘の中国の発言については,報道等によって承知をしております。この南シナ海をめぐる問題は,これはこの地域の平和や繁栄に直結する問題であり,我が国を含む国際社会共通の関心事項であると考えます。国際社会が連携をし,そして法の支配が尊重され,自由で平和な海が確保されなければならないと考えています。
 G7伊勢志摩サミットにおいても海洋の安全保障について,G7の首脳間において,国際法の諸原則に基づく海洋秩序の維持,また,航行上空飛行の自由へのコミットメント,そして仲裁を含む法的手続き等の平和的手段による,紛争解決の重要性,更には東シナ海,南シナ海における状況への懸念,こういった点において一致をしています。今,申し上げた点についてはG7各国の議論の結果,一致をしているわけですので,日本政府としましては,引き続き海における法の支配の実現に向けて,関係国と連携を強化していく,そして平和的に解決をしていく,こうした方向に向けて努力をしていきたい,このように考えます。

日米地位協定関連

【NHK 栗原記者】先ほどの沖縄のですね,アメリカ軍の再発防止のお話に戻るんですけれども,大臣はかねてから,当初,事件が起こったときからですね,この再発防止策に関して地元にとって納得できる,そして実効性のある再発防止策策定というのを求めてきました。今回の日米の地位協定上の地位を有するアメリカ人の扱いを見直すということ自体が,これが地元が納得できる再発防止策であるのか,それとも本当に実効性のある再発防止策であるのかということについて,その点の認識,どうお考えなのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げたように,4日の日米防衛相会談においては,ご指摘の軍属を含む日米地位協定上の地位を有する米国人に関し,その扱いを見直すということ,そして併せて現状のモニタリングを強化すること,そして教育研修の強化を対象とすること,こういったことについて一致をしました。ただ,これ,それぞれについてこれからしっかり,具体的なもの,実効性をしっかり感じてもらえるものをまとめなければなりません。今,申し上げた3点について,至急,スピード感を持って取りまとめることによって,理解を得られるよう努力をしていきたいと考えます。まずは今の3点を中心に,実効的な再発防止策を早急に取りまとめたいと考えています。

韓国THAAD配備に対する中国の反応

【フジテレビ 藤田記者】先ほど出ましたアジア安全保障会議の中で,韓国にTHAAD,アメリカの迎撃ミサイルシステムを設置することに対して,中国側が明確に反対を表明したんですけれども,こういった他国の自衛のための措置に対して,中国は反対を申し立てたということに対して,どういう受け止めがありますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,韓国は我が国と戦略的利益を共有する最も大切な隣国であると考えます。ご指摘の点につきまして,米韓で協力が進むということは,地域の平和と安定に資するものであります。そして従来から申し上げておりますが,我が国としても支持をしております。ご指摘の点については,このように考えます。

在沖縄米海軍兵による飲酒運転事故

【朝日新聞 安倍記者】沖縄で先日,飲酒運転起こした,逮捕された軍の女性がいましたけども,これを受けて,アメリカ軍は国内全ての海軍兵に飲酒を禁止したという,異例の処置をとりましたけども,禁酒令について大臣,どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,米海軍の公表については承知をしています。政府としましては,この米側の取る措置によって,米軍人等の事故あるいは事件,これが再発しないよう,米側の努力を引き続き期待をしております。こうした米国側の努力,これもしっかり注目をしていきたいと考えます。

沖縄かりゆし

【共同通信 下江記者】今日,かりゆし閣議ということでですね,大臣ご自身,かりゆしに何か込められた思いとか,昨今の沖縄の現状とか,そんなこといろいろ,どんなことをお考えになっておられるかお聞かせいただけますか。

【岸田外務大臣】沖縄かりゆしにつきましては,私もかつて沖縄担当大臣を務めたことがあります。沖縄において様々な仕事に取り組み,また沖縄に多くの友人もいます。そうした経験や話の中に,かりゆしについてもいろいろな歴史があり,思いがある,そんな話を聞かせていただいてきました。
 このかりゆしというもの,沖縄の皆様の様々な思いや歴史が込められているものであると思い,私も今日こうして着させていただいておりますが,こうしたかりゆしというものに,様々な思いや重みがあること,改めて感じています。
 こうした素晴らしい文化や歴史を持つ沖縄は,未来に向けても様々な可能性のある地域であります。今後とも政府として,沖縄の平和や繁栄のために,しっかり努力をしていかなければならない,このように考えます。

記者会見へ戻る