記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年5月31日(火曜日)10時23分 於:本省会見室)

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北朝鮮による弾道ミサイル発射の報道

【テレビ朝日 千々岩記者】北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。日本政府として今得ている情報,それから対応をお願いします。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の点,報道については承知をしております。こうした北朝鮮による累次にわたる弾道ミサイルの発射は,我が国を含む国際社会に対する重大な挑発行為であり,これは断じて容認することはできません。政府としましては関係各国と連携しながら,引き続き挑発行動の自制,そして累次の安保理決議等の遵守をしっかり求めていかなければならないと思いますし,併せて万が一の場合にも,いかなる事態にも備えられるように,しっかりと緊張感を持って情報収集,あるいは警戒監視に努めていかなければならない,このように考えています。

【テレビ朝日 千々岩記者】関連ですけれども,北朝鮮側への抗議,それから今回発射した狙いというか,意図というか,そのあたりはどう分析されてますでしょうか。

【岸田外務大臣】北朝鮮に関しましては,言うまでもなく重大な関心を持って平素から情報収集・分析に当たっています。ただ,こうした情報収集・分析の内容につきましては,我が国の情報収集能力にも係わる問題でありますので,コメントは控えたいと思っています。いずれにしましても引き続き情報収集・分析に努め,警戒監視の努力を続けていきたいと考えます。

【テレビ朝日 千々岩記者】大臣,抗議は…。

【岸田外務大臣】それ以上のことは申し上げません。詳細は控えます。

G7伊勢志摩サミット関連

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 平山記者】先日閉幕したG7伊勢志摩サミットについてお伺いします。安倍総理はですね,サミットの会合の中で4枚の資料を用いて,現在の世界経済の状況について,リーマンショック前と似ているという見方を示したと思うのですが,この見方について,海外メディア中心に批判的な論評が目立ちます。安倍総理が示した4枚の資料については,外務省がとりまとめをしたというふうに聞いているのですけれども,岸田大臣ご自身も現在の世界経済の状況は,総理と同じようにリーマンショック前と似ているとお考えでしょうか。またそうした見方を批判する海外メディアの報道に関して,受け止めがありましたらご見解をお願いいたします。

【岸田外務大臣】今回の伊勢志摩サミットにおいては26日,世界経済について議論するセッションが設けられました。このセッションの中で安倍総理の方から,世界経済の状況について部分的に明るい指標もあるものの,様々な下方リスクを抱えている,こういった指摘をしたと承知をしています。そしてこうしたリスクの兆候について,参考データ,ご指摘の資料だと思いますが,このデータを用いて説明した,こういったことでありました。そして安倍総理は,このG7各国首脳に対しまして「新たな危機に陥ることを回避するため,適時に全ての政策対応を行うことにより,現在の経済状況に対応するための努力を強化する必要性について説明した」,こうした説明を行った次第です。そして,この後半の部分,今申し上げました「新たな危機に陥ることを回避するため,適時に全ての政策対応を行うことによって,現在の経済状況に対応するための努力を強化する」,この部分は成果文書,G7のコミュニケの中にこのまま明記されています。要はこの部分においては,日本のみならず各国で意見が一致した部分だと承知をしております。
 こういった説明を行い,そして各国で意見の一致を見たというのが,26日の経済セッションの議論と,そして今回のG7の全体の成果だったと認識をしています。こうしたことについて,総理としましては現在の世界経済について様々な議論がある中で,冷静に分析し説明したと認識をしておりますし,そして成果文書は日本のみならず,各国一致したからこそ文書になっているわけですので,こういった成果が出たということであります。こうした議論を行い,そして意見の一致を見たことは世界経済に対する一つの重要なメッセージを発することにつながった,というふうに私(大臣)は認識をしております。

北朝鮮による弾道ミサイル発射の報道

【共同通信 吉浦記者】北朝鮮のミサイルに話題が戻ってしまうのですが,報道は承知しているとのことでしたが,現時点で日本の安全に影響がある,出るような状況というのを確認されているかどうかということが一点と,今回,ミサイルが発射されたかどうかにかかわらず,北朝鮮は核・ミサイル開発を続ける動きを止めていないわけですが,これまでの安保理決議による制裁の効果に照らしてですね,更なる制裁が必要かどうかということについて見解をお聞かせいただければと思います。

【岸田外務大臣】まず,情報収集・分析には努めていますが,具体的なことを申し上げるということは,我が国の情報収集能力を明かすことにもなりますので,控えるというのが基本的な立場であります。ただ,我が国の国民に対して直接何か危険が生じているというような情報については,私(大臣)は接してはおりません。
 そして更なる制裁等が必要かというご質問でありますが,北朝鮮に対しましては,核開発,ミサイル開発,そして拉致問題等,こうした問題を包括的に解決するために,「対話と圧力」,そして「行動対行動」,この原則で臨んできています。そして圧力の部分については,先日国連の安保理において強い内容の決議が採択をされました。そして米国,韓国,そして我が国も独自の措置を発表しています。まずはこの措置の実効性をしっかり確保することが大事であると考えます。国連安保理におきましては,北朝鮮制裁委員会,あるいは専門パネル,こういったものが設けられます。こうした取組を通じて,実効性をしっかり確保して,北朝鮮にこうした制裁がしっかり届いていく,こういったことが重要であると考えます。まずはこれに専念するべきであり,その上で北朝鮮の反応を見た上で,更に何か効果的な対応が必要なのかどうかを考えていく,これが順番ではないか,このように考えます。

オバマ大統領の広島訪問

【朝日新聞 武田記者】先日のオバマ大統領の広島訪問に関連してなんですが,歴史的な訪問だったと思うのですが,安倍首相も演説をされてですね,日本としても「核兵器のない世界」の実現を必ず目指すと,そういう表明をされました。そこで「核なき世界」の到達を加速化させるために,日本としてどのような取組を今後なされていくのかということとですね,もう一つ,ジュネーブの国連の作業部会の方では核兵器禁止条約の交渉開始を求める提案もあるんですが,そこに日本政府としてどう対処されるのか,この二点を教えていただければと思います。

【岸田外務大臣】今回のオバマ大統領の広島訪問ですが,先日のG7外相会談において発出した「広島宣言」等とも相まって,「核兵器のない世界」を作っていこうという国際的な機運を盛り上げるために,重要なメッセージを発することにつながっていくことを期待しています。そして我が国として,今後どう取り組むかということでありますが,こうした機会をとらえ,この機会を気運を盛り上げる反転攻勢に転ずる機会にしなければならないと思っております。そのために,まずは具体的には今申し上げました「広島宣言」,これは核兵器国と非核兵器国,共に含まれるG7の枠組みの中で合意ができた内容が盛り込まれています。この内容をベースにしながら,国際社会に対して現実的,実践的な取組を促していかなければなりません。
 ご指摘の作業部会の議論においても,こうした核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を得ることはできません。是非,こうした「広島宣言」,核兵器国と非核兵器国の間においても,それぞれの主要国の中でここまでは合意ができたという,この文書をベースにしながらですね,双方が協力していく,こうした環境や雰囲気を作っていくことが重要ではないかと思います。日本としてはそういった役割を果たしていくのが,具体的な次の取組なのではないかと考えます。

G7伊勢志摩サミット関連

【産経新聞 田北記者】一部報道であるんですけれども,G7の首脳宣言で,南シナ海のことに言及したことについて,中国の方が北京の日本大使館の方に抗議したとあるんですけれども,この事実関係を教えてください。また日本側として,その抗議に対して反論したのかどうか教えてください。

【岸田外務大臣】27日,G7伊勢志摩サミットに関し,中国としての考え方が伝えられた,これは事実であります。我が方からは,中国側の考え方の問題点を縷々指摘した上で,G7の総意としての首脳宣言の関連部分について説明しつつ,しかるべく反論をいたしました。中国側は,中国外交部定例記者会見において,今般のG7サミットにおける南シナ海問題の取り上げ方について,強い不満を表明していますが,南シナ海問題は国際社会共通の懸念であり,中国を含む関係国がG7伊勢志摩首脳宣言の関連部分を真摯に受け止めることを期待しております。とりあえず今のところ,そこまでです。

【産経新聞 田北記者】関連してなんですけど,G7の前後でですね,王毅(おう・き)外相が,要するにG7が時代錯誤というか,基本的に時代の流れがG20だみたいなことを言っていましたけれども,これに対して,大臣どう思われますか。

【岸田外務大臣】はい。G20もそれなりの役割は担っておられると思いますが,G7は特に自由,民主主義,法の支配,人権といった基本的な価値観を共有する主要国の枠組みであると思います。国際社会が経済も含めて不透明化する中にあってですね,こうした基本的な価値観を共有する主要国の枠組み,この枠組みの意義,存在感は益々高まっていくのではないか,このように思っています。G7も大変重要な枠組みであるということについては,これからも変わりませんし,よりその重要性は高まっていくのではないか,このように認識をしております。

慰安婦問題(財団設立準備委員会の設立)

【毎日新聞 田所記者】今日,日韓合意に基づいて,財団設立の準備会が開かれますが,それについて2点お尋ねいたしますが,大臣としては,来月の財団設立も含めて,今後順調に進むとみているかという点が一つ,もう一つは日本大使館前の少女像について,移転が10億円拠出の前提になるという考え方に対して,改めてどうお考えなのかお尋ねします。

【岸田外務大臣】まず,韓国で財団設立の準備委員会が設立されるということでありますが,その件について承知をしております。これは昨年末の日韓合意において,韓国政府は元慰安婦の方々の支援を目的として財団を設立することになっています。ご指摘の準備委員会の設立は,財団設立に向けた準備の一環であると,このように認識をしております。この合意につきましては,日韓それぞれが,それぞれの責任を実施していく,合意に従って実施をしていく,これが何よりも重要であると考えます。
 前提条件云々のご指摘もありましたが,日韓合意は,昨年12月28日,双方の外務大臣が共同記者発表の中で発言した内容が全てであります。その内容をそれぞれ,日韓それぞれが責任を持って実施していく,これが重要であると認識をしております。

G7伊勢志摩サミット関連

【朝日新聞 安倍記者】先ほどサミットについての総理の発言と共同文書のお話がありましたけれども,関連してなんですが,世界経済の現状を基に,総理は消費税の増税時期を2年半延期すると周囲に伝えているということですが,大臣,宏池会という政策集団を率いていらっしゃるわけですけれども,増税の延期については,大臣として,どのような評価,認識でいらっしゃるのでしょうか。

【岸田外務大臣】世界経済の認識,そして,我が国経済の状況,そして,消費税の増税の可否,あるいは時期,こういったものにつきましては様々な議論が引き続き行われています。与党・自民党におきましても,本日,政調全体会議等が行われ,こうした議論が行われれるものであると承知をしております。この,様々な議論があり,難しい判断ではありますが,最後は総理として,与党の総裁として,総理が決断をされていくものであると思ってはおりますが。是非,関係者がしっかりとした建設的な議論を行った上で,方向性を出していくことが重要であると考えます。引き続き,こうした議論,見守っていきたいと考えます。

消費税増税の再延期

【テレビ東京 鵜飼記者】全く,関連してなんですけれども,もし可能であれば,議論を見守っていきたいということですけれども,経済重視を宏池会としては打ち出していると思うんですけれど,会長としてで結構なんですけれど,岸田大臣,消費税増税延期のお考えを,大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

【岸田外務大臣】ご指摘の消費税増税の議論,これは,それこそ野党時代の3党合意から,ずっと 延々と続いている議論であります。そして,消費税につきましても,第1段階,8%への引き上げが行われ,そしてその中で様々な経済の動きがあります。経済というものは生き物でありますので,それをどう判断をしていくのか,状況も判断も刻々と変化していくものであると思います。その中でのかじ取り,大変難しいものがあると認識をしています。
 是非,しっかりとした議論の下に,最後はしっかり責任をもって判断しなければならない課題であるとは認識をしていますが,その大切な判断をしていく際でありますので,議論の最中に関係者がばらばらなことを言っては,益々混乱をしてしまいます。是非,しっかりとした判断に向けてそれぞれの立場で議論するべきであると思います。少なくとも外務大臣,内閣の一員が今の時点で何か断定的なことを申し上げるのは控えるべきであると考えます。

内閣支持率の上昇

【読売新聞 森藤記者】週末に報道各社が行った世論調査で,軒並み内閣支持率が上昇しています。これはオバマ大統領の広島訪問や伊勢志摩サミットの影響ではないかとも言われていますけれども,大臣自身,どのように受け止めていらっしゃるかということと,参院選に向けての影響をどのように考えていらっしゃるかお願いします。

【岸田外務大臣】内閣支持率につきましては各社の様々な数字,拝見しております。そして世論調査の中で,特に,外交部分については,伊勢志摩サミット,そしてオバマ大統領の広島訪問,多くの国民の皆さんが前向きに捉え,評価していただいている。これは,認識しておりますし,大変これは嬉しいことであると思っています。ただ,これが内閣支持率全体の底上げにどこまでプラスになっているか,これについては私自身,はっきりとした材料は持っていませんが,少なからず支持率押し上げに役立っているのであるならば,これは大変ありがたいことであるとは考えます。ただ,これが選挙にどう影響するのかということについては,なかなか軽々に語ることはできないと思います。支持率が上がること,これは歓迎すべきことでありますが,選挙というのは様々な要素が絡んできます。これから,投票日までまだ時間もあります。様々な動きが合わさった上で,選挙結果が出てくるわけですので,引き続き気を引き締めて,政府・与党としては選挙に臨んでいかなければならない,このように思っています。

シリアにおける邦人ジャーナリスト拘束疑い事案

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 平山記者】シリアで拘束されているとみられるジャーナリストの安田純平さんの新しい画像が公開されたことについて,この画像の分析ですとか,先方との今後の交渉等,政府として対応,明らかにできることがあれば教えてください。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の安田さんの事案につきましては,報道等は,当然,承知をしております。ただし,政府としては当然のことながら邦人の安全確保,これは最も重要な責務だという認識の下で,引き続き様々な情報網を駆使しながら,全力で対応していきたいとは思っていますが,事案の性質上ですね。これ以上詳細に何か申し上げることは控えるべきではないかと思います。ご本人の安全等もしっかりと勘案しながら,引き続き全力で取り組んでいきたい,このように考えます。

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