記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年5月20日(金曜日)9時23分 於:官邸エントランスホール)

沖縄県うるま市の女性行方不明事件

【記者】昨日,沖縄県のうるま市で起きた事件について,昨日ケネディ大使とも対談されましたが,改めて政府としての受け止めをお願いいたします。

【岸田外務大臣】昨19日,15時10分頃,沖縄県警は死体遺棄の容疑で米軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者を逮捕したものと承知をしております。まず,将来ある若き女性に対する米軍属の卑劣な行為による,極めて残忍で凶悪な事件の発生は,極めて遺憾であります。このような事件の発生は言語道断であり,強い憤りを覚えます。  昨19日,深夜,私(大臣)からケネディ米国大使に対して,また中谷防衛大臣からドーラン在日米軍司令官に対して,今述べたような内容を伝え,そして強く抗議をいたしました。そして併せて,まずは捜査に対する全面的な協力,そして綱紀粛正,更には再発防止,これを強く求めた次第です。

【記者】今のに関連してお伺いしますが,米軍関係者の事件というのは,相次いでいるわけですけれども,この中で死体遺棄とか殺人の可能性も出てきているようですけれども,事件のレベルとしてはかなり高いものであるという中で,沖縄県内での世論等でもですね,改めて米軍がこれだけ偏重していることに対しての不満,あるいは辺野古移設に対しての影響というのも指摘されるわけですけれども,改めてその影響についてお伺いできますか。

【岸田外務大臣】まず戦後70年以上を経た今に至っても,沖縄に大きな負担を負っていただいているという現状については,現状を是認できるものではないと思いますし,その負担軽減を図ること,これは政府の大きな責任であると考えます。政府としましては,今後とも沖縄県民の皆様方の思いに寄り添いながら,できることは全て行う,こうした方針で負担軽減に全力で取り組んでいかなければならないと考えます。

【記者】今回の事件は,沖縄県警側がですね,身柄拘束しておりますので,直接関係があるわけではないですけれども,その地位協定をめぐる状態についてもですね,沖縄県民を中心に反発強いわけですけれども,政府としては今後その取組について何か従前と変えるような点,ありますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,本件のような事件はあってはならないことであり,昨晩,米国側に強い抗議を行ったわけでありますが,今はまずは,米国側の誠意ある対応を求めなければならないと思っています。先ほども申し上げましたが,捜査への協力,綱紀粛正,そして再発防止,この3点について具体的な対応を求めることが,まず第一に重要であると考えています。

【記者】閣議で総理の方から,何かこの件で発言はあったのでしょうか。

【岸田外務大臣】閣議の内容については,官房長官とそれから後は議事録等において明らかになるものだと思います。私(大臣)の方からは控えます。

【記者】来週オバマ大統領が来日して,日米首脳会談も行われますけれども,この件については話合いはされるんでしょうか。

【岸田外務大臣】それは日米首脳会談の中でこれを話すかということかと思いますが,日米首脳会談につきましては,まだ日時ですとか,あるいは内容ですとか,調整中であり,今現在何も決定はしておりません。いずれにしましても様々なレベル,機会を通じて,今回の事件について米側の誠意ある対応を求めていかなければならないと考えます。

【記者】昨日ケネディ大使に求められた説得力のある再発防止策,これは期限を定めて要求されたんでしょうか。

【岸田外務大臣】これはもう期限云々ではなくして,できるだけ迅速に,我々の納得のできる,県民の皆さんの心に寄り添った対応を求めているということであります。できるだけ早く,そうした対応を求めるというのがあるべき姿だと思います。

【記者】オバマ大統領の広島訪問に対するこの事件が与える影響については,何か関連するかどうか,どうお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】オバマ大統領の広島訪問については,被爆の犠牲者を慰霊し,そして「核兵器のない世界」を作っていこうという国際的な気運を盛り上げていくという意味で,歴史的な機会であると考えています。このことは全く変わらないとは思います。ただ,日本とアメリカの関係をこれからも安定して発展させていくためには,日米双方が引き続き努力をしていかなければならないと思っています。

蔡英文氏の台湾総統就任

【記者】本日,台湾において総統就任式がありまして,民進党蔡英文(さい・えいぶん)氏が就任されます。新政権発足に当たって政府として,改めて受け止め,また期待することがあればお伺いしたいのと,あと台湾をめぐってはですね,馬英九(ば・えいきゅう)政権の後半に沖ノ鳥島の問題ですとか,慰安婦についての建設などですね,改めて問題が少し出てきた部分がありますが,その点については対応について期待する点がありますか。

【岸田外務大臣】まず,蔡英文氏の総統就任を歓迎いたします。台湾は我が国にとって基本的な価値を共有し,そして緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり,大切な友人であると考えます。政府としては台湾との関係,非政府間の実務関係として維持していく,こうした立場を踏まえて日台間の協力と,交流の更なる進化を図っていきたいと存じます。こうした考え方,方針に基づいて様々な課題についても取り組んでいきたいと考えます。

【記者】先ほどの質問の一部になります,沖ノ鳥島やそういう慰安婦問題に関して,蔡英文さんが総統になられたら,台湾側の態度も少し変わるという期待はあるでしょうか。

【岸田外務大臣】今申し上げた方針に基づいて,様々な課題についても意思疎通を図っていきたいと考えます。

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