記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年5月19日(木曜日)23時21分 於:本省中央玄関)
冒頭発言
【岸田外務大臣】沖縄県における米軍属の卑劣な行為による極めて残忍で凶悪な事件に関し,先ほど,ケネディ駐日米国大使を外務省に招致をし,抗議を行いました。私からは,ケネディ大使に極めて強い遺憾の意を伝えて,強く抗議するとともに,このような事件が発生したことは,言語道断であり強い憤りを覚える,こうした旨伝えました。また,現在も継続中の捜査に対し,最大限の協力を求めるとともに,米軍事,軍属の綱紀粛正と事件・事故の再発防止を徹底するよう強く求めました。これに対し,ケネディ大使からは,米国政府は本件を大変深刻に受け止めており,亡くなられた被害者と御遺族に思いを寄せ,心から悲しみを表明する,そして,日本当局の捜査に全面的に協力を約束する,このような事件が二度と起こらないよう努力を倍加する,こうした発言がありました。このように極めて残忍で凶悪な事件の発生は言語道断です。私からも犠牲者にお悔やみを申し上げ,ご冥福をお祈りいたします。こうした事件が二度と起こらないようにするため,米側の協力が重要であり,米側には,実効的かつ説得力のある再発防止策を速やかに策定することを強く求めました。同時に,政府としても,効果的な事件・事故の再発防止策が着実に実施されるよう一層取り組んでいく考えです。
質疑応答
【記者】日米関係をめぐってはですね,先日の広島外相会合でケリー国務長官がですね,慰霊碑の献花ですとか原爆ドームを訪れたりですね,日米関係がより深化しているというような象徴しているような出来事が最近起きてますけれども,こうした日米関係に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】いずれにしましても,このような残忍で凶悪な事件,これはあってはならないことです。こうした事件が二度と起こらないように,まず米国の努力を求めなければいけませんが,日本政府も引き続き,こうした再発防止策が着実に実施されるよう努力をしていかなければなりません。こうした事件が二度と起こらないように日米双方にしっかりとした努力が求められると思います。
【記者】ケネディ大使は今日会談でですね,悲しみを表明されるとともに,再発防止策ですとか綱紀粛正策の検討を約束されましたけれども,こうした米側の対応についてはどのように受け止められますか。
【岸田外務大臣】ぜひ米側の対応,今日はそうした対応を行う,こうした表明はありましたが,具体的な中身,対応はこれからです。ぜひ具体的で説得力のある対応を求めなければならないと考えます。
【記者】一方で沖縄県内では辺野古移設の工事がですね一時中断して裁判にもなっている状態,難しい状態になっています。これがその米軍基地の再編に与える影響,この事件が米軍基地の再編計画に与える影響については,どのように受け止められますでしょうか。
【岸田外務大臣】まずは米側にご遺族,そして沖縄県民の皆さんの心に寄り添って誠意のあるしっかりとした対応を求めていかなければなりません。米側の対応をしっかりと見守っていきたいと思います。
【記者】政府として沖縄側,説明の仕方というのも求められると思いますけれども,それについては何か今の時点で念頭にあるものはありますでしょうか。
【岸田外務大臣】政府としましても,この米側の取組も含めてしっかりと状況を説明していかなければならないと思います。さまざまな機会を捉えて政府としても努力をしたいと思います。
【記者】同様の事件,沖縄で何度も起きていますけれども,冒頭ではケネディ大使より哀悼の意という表現はありましたが,謝罪はありませんでした。その後,謝罪というのはアメリカ政府としてはあったのでしょうか。そして,無かったとすれば,その点,大臣はいかがお考えですか。
【岸田外務大臣】大使からは,米国民と米政府を代表して,ご遺族に思いを寄せ,深い悲しみを表明する,こうした発言がありました。また,ご遺族に対しても,自分の気持ちをお伝えしたい,こういった発言がありました。今日,具体的な発言としては,そういう発言がありました。以上です。
【記者】つまり謝罪はないと。謝罪はないということですか。
【岸田外務大臣】こうした発言がありました。
【記者】オバマ大統領の広島訪問が迫っているわけですけども,こういった日米関係の,その同盟関係の深さということを再三強調されてこられましたが,オバマ大統領の広島訪問に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】オバマ大統領の広島訪問が実現すれば,「核兵器のない世界」を作っていこうという国際的な機運を盛り上げる歴史的な機会になると考えています。そうした考えについては変わりはありません。日米関係については,引き続き,双方で大切な二国間関係を進めていく上で努力していかなければならないと考えます。
【記者】来週,日米首脳会談もあると思うんですけれども,日本政府として,この問題を日米首脳会談で地位協定も含めて,あと沖縄の在日米軍の問題も含めて話し合うご意向というのは日本政府としてありますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,この問題については,米側のしっかりとした対応を求めていきたいと思います。それがまず第一である,第一に重要であると考えます。